じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] このところ朝の散歩が楽しみになっている。散歩の時間帯が日の出前となったので、少し早く起きれば水星や木星が見えるし、10月3日朝のように雲が多い時でも、美しい朝焼けが眺められる時がある。


10月2日(木)

【ちょっと思ったこと】

高速道路より、鉄道・バスの無料化が必要

 民主党の重点政策が2日、明らかになったという。その7つの項目の中には「道路公団廃止と、一部の都市高速を除く高速道路の3年以内無料化」が含まれており、10月3日朝のNHKニュースでは、その部分が特に強調され、公約の目玉になりつつあるような印象を受けた。

 我が家には一応2台の車がある。個人的な損得だけから言えば、高速道路無料化は確かにありがたい。四国・山陰方面などにはもっと遊びに行く機会が増えるだろうし、広島や神戸方面への出張に車を使う機会も増えそうだ。

 しかし、地球環境全体に目を向けるならば、高速道路無料化が本当によい政策と言えるのかどうかはちょっと疑問だ。むしろ、鉄道の普通運賃やバス代、駅前の駐輪場の無料化を優先すべきだろう。

 先週土曜日の海外ニュースで、パリのノーカー・デーの様子が伝えられていた。通行禁止区域の入り口では、無許可車の侵入をめぐって警察官とドライバーとのトラブルが絶えないという内容であったが、それによって得られた静かな街並みは何物にも代え難い素晴らしいものだった。東京都心などは地下鉄と徒歩だけで簡単に移動できる。京都市内なども、残念ながら市電は廃止されてしまったが、バスだけで十分。そういう時代にわざわざ、車の利用者の目先の利益を与えるような政策はどんなものかと思う。


【思ったこと】
_31002(木)[心理]植物の療法的利用の可能性セミナー(4)園芸療法の将来

 公開セミナー「人と植物の触れあいにみる植物の療法的利用の可能性」の参加報告の3回目。講演の後半に行われた、

●「園芸の療法的利用の可能性について」 山根寛・京都大学医療技術短期大学部教授

についての感想の最終回。

 10月3日の各種報道によれば、南海電鉄が旧大阪球場跡地に立てていた「なんばパーク」という複合施設が7日に開業する。その屋上には国内最大級の庭園(約8000平米)が造られているという。少し前に訪れたハウステンボスも、また近場のチボリ公園なども、みな美しい花壇が整備されている。どんな人工環境であっても、多くの人を呼び込むには、植物との触れあいの場が必要。このことからみても、今後、園芸そのもののが低く評価されることは決してあるまいと思う。

 問題は、どういう場で「園芸療法」を活用するかということだ。今回のセミナーでは一部「園芸医療」ということも言われたが、これまでも述べてきたように、医療効果の検証に力を注いでもあまり成果はあがらないのではないかと私自身は考えている。日本では2〜3週間の入院が必要であると言われるような手術でも、オーストラリアでは3日で退院させられると聞いたことがあったが、今後日本でも、入院期間はできる限り減らされる動きにあるように思う。もちろん病院自体の環境整備の一環として、温室や屋上庭園や中庭を作るといった改善(4月21日の日記参照)は必要であろうが、3日程度で退院する患者には園芸療法は要らない[長期の入院者には「退院した時に持って帰る」という鉢植えづくりを実施しているところがあると聞いた]。

 山根氏は、生活環境(公園や街づくり、ヒーリングランドスケープ)→活動環境(コミュニティガーデン、市民菜園、家庭菜園、契約農園)→療法施設(セラピューティックガーデン)という形で園芸を階層化しておられた。おそらく、一般的な生きがいづくりという点から言えば、最も関わりが大きいのは活動環境の部分であろう。しかしそれらは、ある意味では参加者の自主的な取り組みに任せておけばよく、作業療法や心理学があれこれ口を出さなくてもそれなりに維持される。そういう意味では、山根氏の言う「治療、療養、養生、保健、自然」という5段階のうち、特に「療養や養生」の部分に焦点をあてて、園芸活動を実現するための環境整備や、質の高い活動を実現するための心理学的な研究が求められるように思えた。

 なお、園芸療法については来年6月に国際会議が開催されることになっている。今後の発展が期待される。