じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] 講義棟正面の植え込みに咲く鉄砲百合。誰かがこっそり植えたのか(←私は植えていないぞ)、近くの同種の百合の種をばらまいたのかは不明。なお、この写真は日曜日に撮影したため、構内は静まりかえっている。平日はこの周りに自転車があふれる。


7月29日(火)

【ちょっと思ったこと】

前期授業終了/統計とは

 火曜日夕刻に、心理学研究法(基礎)の授業が行われた。この授業は、心理学講座の各教員が6週ずつ分担、ほかに、担当教員全員によるまとめなどが挿入されている。今回は前期末の中間まとめにあたる。

 前期の授業を受けた学生側から、統計が分かりにくいという感想がいくつか出された。かつて行動科学科では1年次に統計学を必修としていた時期があったのだが、理系学生向けの内容であったり、他専攻がかならずしも必要としていないことなどから必修を外した。現在は、非常勤講師が担当する2年次生以上の授業を並行して履修することになっているので、まだまだ身に付いていないようだ。

 統計学の教え方にはいろいろな考えがあると思うが、まずはそれを使う目的が
  • データから得られた複雑多岐にわたる情報を簡潔に要約記述するためなのか
  • 研究対象に限定して、「ほぼ確実に言えることは何か」を明らかにするためなのか
  • 研究対象を何らかのサンプルとして扱い、それをもとにある母集団の性質に言及するのか
をちゃんと見極めることが大切ではないかと思う。それをせずに、無節操に学生を集め、適当にグループ分けして有意差があったかなかったかを機械的に検定するような悪習はやめてもらいたいところだ。

 例えば、記述統計の基本である算術平均などは電卓1つで簡単に求められる。しかし、そもそもそれが、平均を求められるデータなのか(=間隔尺度以上であるのか)、また、求められたとしても、それが代表値としてふさわしいのかどうか(←極端に離れた値がある時には中央値のほうがふさわしい場合もある)などを合わせて考えなければ意味がない。

 無節操に学生を集めて行われる調査や実験では、必ずと言ってよいほど、男女差の比較が行われる。しかし、これだって、本質的な性差を明らかにする研究をめざすのか、男女では違いがありうると分布が偏るので単にチェックしただけなのか、目的を明確にして比較すべきである。1月21日の日記に関連記事があるので参照されたい。





学会準備でくたびれる私

 前期授業がすべて終わったとはいえ、8月3日から5日には、行動分析学会の年次大会が開催される。主催校の責任者として今、頭を悩ませているのが資金難。7/24の日記に“学会年次大会の「経営」を考える”と書いたところであったが、その後いくつか支出が嵩み、当日会員がゼロであった場合は25万7000円ほどの赤字を出す恐れが出てきた。ま、5万ぐらいだったら自腹を切ってもエエが、25万はさすがにキツイ。時計台正面の門に看板でも立てて、当日会員の誘いをかけることにするか。

 昨日は、アルバイト学生と一緒に会場の下見に行ってきた。けっこうもたついたのが、ワイヤレスマイクの音がなかなか出なかったことと、ノートパソコン画面をスクリーンに映し出す操作がうまくいかなかったことだ。当日に同じことがあると非常に困る。なんとか習熟したいものだ。

 会場となる岡山大学創立五十周年記念館は5月末に竣工したばかりの新しい建物。今回の規模の大会にはうってつけのスペースなのだが、よく見ると設計上いくつかの問題点が残っていた。

 1つはホールの巻き上げ式スクリーンにシワができていること。文字の一部がぼやけるおそれがある。

 第二にホールの舞台天井から吊り下げる「○○学会第△△大会」というような看板が、スクリーンを下ろすと隠れてしまうことだ。ふつう、スクリーンより手前に看板を配置すべきものではなかったかなあ。これじゃあ、せっかく業者に頼んで作ってもらった看板が目に触れる機会が少ない。いっそのこと、建物入り口に取り付けたらエエという声もあった。

 3番目は、ノートパソコンとの接続が不便であること。演壇にはRGBの端子が無く、舞台袖の制御板から5mのディスプレイケーブルをひっぱって接続するほかはないことが分かった。ところが、そのケーブルを通すための穴は、舞台側と制御室側がそれぞれ、板でふさがれており、ねじをはずさないとつなぐことができない。どうやらこれは、当初の設計には含まれておらず、竣工直前になって慌てて穴を開けたように見えた。

 4番目は、館内にはLANが敷設されていないこと。参加者の利便をはかるため、Eメイルやブラウザが利用できるパソコンを置いている大会もあるようだが、今回はこれは実現できそうにもない。

 館内の物置には空気浄化装置のようなものがあった。館内に喫煙コーナーを設けて分煙化をはかろうと購入されたものらしい。しかしその後、健康増進法の施行や大学全体の方針により、大学構内全館禁煙の方針が打ち出されてきたことにより、使い道がなくなった。

 館内禁煙は大いに結構だと思うが、いくら嫌煙家の私といえども、愛煙家の参加者に全く配慮しないわけにはいかない。そこで玄関外のスペースにガーデンテーブルを設置し、喫煙コーナーとして利用してもらうことになった。どうしてもという人は、30度を超える暑さを我慢してここでタバコを吸ってもらうほかはない。このテーブルは、日曜日に近くのホームセンターから買ってきたものだが、これは当然私の個人負担である。





「阪神優勝」Tシャツ初めて目撃

 上記の年次大会準備の一環として、昼休みに近くのホームセンターまで紙コップとミネラルウォーター(会場でお茶・コーヒーのサービスをする時に使用)、荷札(クローク用)を買いに行ったところ、店の入り口付近に「阪神優勝」という文字の入ったTシャツが、種々のタイガースグッズと一緒に売られていた。文字の右横には○にRの商標登録があった。千葉県の男性が「阪神優勝」の4文字をロゴとして特許庁に商標登録申請し、昨年2月に認められていたという話題のTシャツはおそらくこれのことだろう。

 文字の背景は黄色と黒で彩られており、また阪神タイガース公認グッズと一緒に売られていることから、どうみてもタイガースを想定した商品であり、「阪神競馬優勝」やお笑いタレントの「阪神」さんの個人優勝を意味するものではなさそう。

 仮にこのTシャツを着て甲子園に行った場合、周囲からはどんなふうに見られるのだろうか。これだけ話題になってしまうと、肩身が狭そうな気がする。

 いっぽう、特許庁が登録を無効とした場合、これらはどうなるのだろうか。一般名詞になっているという理由で登録が無効となった場合は、専有はできなくても、商品として売ることは問題なさそう。但し、○にRの商標表示は外す必要があるのでは? いっぽう、もし阪神球団旗に酷似しているという理由で無効になった場合は、販売禁止になる可能性がある。そうなると、幻の商品としてプレミアがつくかも。どっちにしても私は買わないが。