じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] パイナップルリリーの花穂が伸びてきた。チョコレート色と緑色の2種類あり。植えっぱなしでもよく育つ。


7月9日(水)

【ちょっと思ったこと】

「久しぶりにマツイ無し」とNHKのスポーツ中継

 7/6の日記で「NHKの松井偏重報道はいつまで続くのか」と書いたところであるが、7月10日朝のスポーツコーナーは久しぶりに「マツイ無し」となった。
  • 朝5時台のスポーツコーナー
    • 女子自転車競技で大菅が優勝、アテネ五輪での日本出場枠を獲得。
    • 大相撲。武蔵丸連敗の映像。
    • 大リーグ。イチロー、打率.350でトップまであと僅か→BS中継の宣伝
    • プロ野球結果のみ
  • 朝6時30分すぎのスポーツコーナー
    • 大相撲。千代大海四連勝、武蔵丸連敗の映像。
    • プロ野球まるごとフラッシュ。5試合。パ・リーグ→セ・リーグ。
    • 女子自転車競技で大菅が優勝、アテネ五輪での日本出場枠を獲得。
    • テニス男子シングル優勝者の里帰り。
 試合が無かったためなのか、活躍しなかったためなのか不明だが、とにかく、マツイに時間枠を取られないと番組がこれだけ豊富な内容になるという良い事例になると思う。

 1つだけ小言を言うならば、5時台のスポーツコーナーで、イチロー2安打にどれだけ情報的価値があったのかどうかは疑問。打率トップになったというなら話は別だが。11時から行われるという衛星放送・大リーグ中継の宣伝目的であるような気がしてならない。

 余談だが、8日、NHKの会長に海老沢勝二氏が3選されたという。翌9日の朝日新聞記事によれば、民放キー局がいずれも減収の中、NHK単体の事業収入は6647億円で前年度より71億円増。その97%は受信料。また特殊法人であるため税は固定資産税などの30億円のみ。これに対して民放の日本テレビは178億5000万円も税金を納めているという。

 同記事ではこのほかゴールデンタイム(19時〜22時)の年間視聴率が13.9%となり、従来の4位から2位に浮上したこと、日本テレビが独占していた巨人主催ゲームのうちの5〜6試合を昨年から地上波で流していること、このようなスポーツ放送権料のつり上げで民方を圧迫している可能性などが指摘されていた。

 7月7日の日記にも書いたが、スポーツ中継は民放がやれば十分。ま、民放がそっぽを向いている大相撲中継ぐらいはあってもよいと思うけれど。
【思ったこと】
_30709(水)[心理]「凶悪化と低年齢化」をワンパターンに論じてはならない

 長崎市の4歳の幼稚園児が1日に連れ出され立体駐車場から突き落とされた事件で、長崎県警捜査本部は9日、市内の中学1年の男子生徒(12)を補導、児童相談所に通告したという。

 7/10の朝のニュースでは、少年による凶悪犯罪の事例として、神戸のサカキバラ事件、ホームレス殺人事件、沖縄での集団暴行殺人事件などが紹介され、また、
  • 刑法犯罪に関わって検挙された少年は16万2000人であり、2年連続で増加
  • 殺人事件に関わったとして検挙された数は52人で、昨年同月に比べて3倍に増えている
といった数字を挙げていた。

 殺人事件が起こった直後は「最近凶悪犯罪が増えている」という印象を持ちやすいところにあって、こういう数字を出されると、あたかも少年の犯罪が増加し、かつ凶悪化していると納得しがちである。しかし、実際はどうだろうか。

 まず数が増えているといっても、16万2000人という規模での増減と凶悪犯罪に関わった52人という規模での増減は切り離して考えるべきだろう。検挙総数が減っても凶悪犯罪が増えることも、その逆もありうる。もっと事実を正確に捉えるべきである。

 そしてさらに問題なのは、今回の事件の凶悪性を、集団暴行事件、あるいはサカキバラ事件と安易に同一視してしまっていることである。確かに、立体駐車場から突き落として殺害したという部分については、それが事実であるとすれば、きわめて残虐な行為であることに異論をはさむ余地は無い。しかし、商店街の防犯ビデオには、その生徒が幼児と一緒に手をつないで歩いている場面が写っており、その時点では無理矢理連れられている様子ではなかったと伝えられている。とすると、殺害行為という凶悪性は共通していても、恨みによる暴行殺人や、サカキバラ事件のような計画性とは明らかに異質なものであることが分かる。

 このことをめぐって、9日夜や10日朝のTVニュースでさっそく「犯罪学者」や「犯罪精神医学者」がコメントを寄せていた。
  • 犯罪学者:精神的な問題やフラストレーションを抱えながらそれをどういう方向に持って行くのかが分からず、破壊的行動に走るという傾向は世界的に共通している
  • 犯罪精神医学者:いろんな悩みやストレス、人間関係が希薄、家庭での居場所が無い、などが今回のような凶悪犯罪の背景にある
というような内容であったが[長谷川のメモに基づく]、さて、どんなもんかなあ。「犯罪学者」がいう「破壊的行動」が当てはまるかどうか定かではないし、「犯罪精神医学者」の言うような問題は、単に一般的な背景を指摘しただけであって、それを改善すれば犯罪が減るかどうかさえ分からない。

 この種の事件の取り上げ方や識者のコメントについての意見はこちらの連載その他で何度か取り上げている。凶悪な犯罪に対しては「どうしてそんなことが起こるのだろう」という不安が生じ、その慰め役として「識者」が解説する。それはそれなりの役割を果たしているだろうが、事件の取り調べも進んでいないうちから、あれやこれやと、まことしやかな「説明」をするのはいかがかと思う。

 余談だが、今回の事件は、息子が4〜5歳の頃に一緒に歩いた思い出のある場所の近くで起こった。ご遺族の悲しみの大きさは言葉に尽くせないと思う。