じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典

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[今日の写真] ウツボカズラ。軒下につるして毎日水をかけてやったところ、捕虫用の袋をいっぱいつけた。かれこれ3〜4年の株であるが、冬越しさえちゃんとしておけば、結構育てやすい植物である。





7月30日(火)

【ちょっと思ったこと】

花苗を植えただけではボランティアとは言えまい

 岡大の南北通りの歩道にはコンクリート製のフラワーポットが設置されている。6月中旬、近所の住民や福祉関連のボランティアたちがこのポットに花の苗を植えているニュースが伝えられていた。しかし、これは一回限りのイベントであり、その後の世話までは計画されていなかったようである。

 7/30の午後、郵便局に行った帰りにそのポットを見たところ、こちらのような惨憺たる状況であった。このところの猛暑と乾燥のため、日日草は萎びて瀕死状態。乾燥にめっぽう強い松葉牡丹のほうは元気に花を咲かせていたものの、まわりは雑草だらけであった。7/28の日記でも取り上げたが、園芸療法あるいは園芸福祉活動のネックは真夏の猛暑である。地元の人たちにしても、こんな暑さの中では水やりや草取りをする元気はあるまい。自然との共生に配慮した環境づくりは、一回限りの「花いっぱい」イベントと本質的に異なるという見本のようなものか。←地元の人たち、ごめんなさい。

鉄腕アトムは何と呼ばれる?

 7/31の朝日新聞(大阪本社版)の一面に「鉄腕アトム」のカラーのイラストがあった。記事によると、来年春にも、新しいストーリーで約20年ぶりにテレビアニメに復活する。「アストロボーイ・鉄腕アトム」として日本で放映し、その後、アジアや米欧で放映する予定であるという。

 鉄腕アトムが米国で「アストロボーイ」と呼ばれたのは、「アトム」が「おなら」という隠語として使われていたことに配慮したものだと言われている。私自身は「アトム」は「禿げている」ことの隠語だと思い込んでいて、「おなら」であることは先日の「クイズ!!赤恥青恥」で初めて知った次第である。

 しかし私が未だ疑問なのは、実際のアニメの中で「アトム」は何と言い換えられていたのかということだ。「アトム君 こんにちは」というところを「Hi! Astro Boy!」では、ちょっと長すぎる。といって、「Hi! Atom!」では元の木阿弥で「おなら君 こんにちは!」になってしまう。海外在住の方、情報をいただければ幸いです。
【思ったこと】
_20730(火)[心理]天狗鼻に太鼓腹

 1日前の話題になるが、NHK地球ふしぎ大自然「天狗鼻に太鼓腹」を視た。テングザルは、愛知県犬山のモンキーパーク(当時)で何度か見たことがあるが、ゴリラやチンパンジーより遙かに人間に似た顔立ちをしている。また、長い鼻ばかりに気をとられて見落としてしまいがちであるが、みな力士のような太鼓腹をしている。今回の番組を視て、やっと、そうした特徴があるわけを知ることができた。

 番組によれば、長い鼻は性的なシンボルのようなもの。オス(一夫多妻)が鼻をピクピクさせ、発情期のメスが短い鼻を動かしてそれに応じた時に交尾が成立するようだ。服を着ている人間と違って、サルたちは全裸の状態。何度か映像に出ていたがオスのペニスはピンとたっている。メスもすべて露出状態だ。しかもボルネオのジャングルとあっては、季節的な変化で発情期を揃えることができない。そういう中にあって、長い鼻は、性行動の優先順位をコントロールする重要な役割を果たしているように思えた。

 もう1つの重要な特徴である太鼓腹は、テングザルの消化機能に関係していた。一般に樹木の葉は毒素を含むため、動物の栄養源としては不適である。ところが、テングザルの場合は、人間の4倍(←長谷川の記憶のため不確か)にも達するような大きな胃があり、その中に共生する細菌の働きで毒素が分解され、また繊維質が破壊される。人間が口にすれば昏睡状態に陥るような有毒な葉でも、これによって美味しそうに食べることができるわけだ。

 テングザルが太鼓腹で樹木の葉だけしか食べないということは、生存競争で追いつめられた種としてのやむを得ぬ選択でもあったようだ。テングザルはキンシコウなどと並んで、世界で4種のみ残ると言われる古いタイプのサルである。果物を食べるオランウータンやカニクイザルと棲み分けていくためには、どうしても葉を食べて生き延びるしかなかったのだろう。

 では樹木の葉を食べて生活できるなら、なんでジャングル全体で大繁殖しなかったのだろうか。番組ではこの点についての詳しい解説は無かったが、おそらく、栄養豊富な水辺に生えている樹木でないと、彼らの栄養を満たすことが出来なかったのであろうと思われる。そして水辺に暮らすということが、指の間の水かきを発達させ、20mの高飛び込みを可能にした。こうして考えてみると、天狗鼻も太鼓腹もすべて、進化と適応の原理で説明できてしまうのだからスゴイ。

 このほか、母親が離乳した1歳のオスのケアを若オス集団に託すというシーンも衝撃的であった。人間なら「子捨て」と見なされる行為であろうが、早期に育児を中止し次の繁殖に入ることのほうが種全体の維持にとってプラスに働くのだろう。

 余談だが、いま私が飼っている観賞魚ベタのオスの場合は、同じ水槽に2匹入れると一方が殺されるまで闘いを続けると言われている。オスだけで仲良し集団を作り、時には「捨て子」の面倒までみるというテングザルとは対照的である。しかし、これも結局は進化と適応のたまものなのだろう。ベタはもともと、熱帯の水たまりのような場所で棲息しているという。水たまりであると食糧資源も限られている。2匹が共倒れになるよりは、さっさと相手をやっつけてその肉さえ喰ってしまうことのほうが遙かに適応的だ。テングザルの場合も、もし、食用となる樹木が限られていたら、もっと排他的な行動が生まれていたに違いない。ま、人間の場合でも、争いというのはたいがい、何かが不足した時に生じるものではあるが。
 テングザルの特徴はそればかりではない。ボルネオの水辺だけに棲む彼らの指には水かきのようなものがついている。20mの高さの木の上から飛び込みができるのも、そうした抜群の水泳力に支えられているためであろう。木から木へと飛び移る敏捷さは天狗そのものである。