じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] ニゲラ。花言葉は「夢路の愛情」だそうだが、たくさんのニゲラが霧の中に咲いていたらそんな気分になりそうだ。写真ではピンクと白が写っているが、青系統の花も美しい。花後の子房はドライフラワーとして有用。





5月19日(日)

【ちょっと思ったこと】

「清掃ボランティア」と「環境整備ボランティア」の違い

 岡山地域のローカルニュースによれば、蒜山高原から大山に向かう観光道路(スカイライン)で19日、四輪駆動車の愛好家のグループが清掃ボランティア活動に参加、2時間で3トンのゴミを回収したという。少し前にも鳥取砂丘で、市民参加による大がかりな清掃活動が行われたと聞いた。

 この種の報道でいつも疑問に思うのだが、参加者たちはどのような気持ちでこのボランティア活動に参加しているのだろうか。「きれいになってよかった」だけなのだろうか。

 ニュースで流れる映像を見ても分かるように、回収されるゴミの大部分は、心ない一部の観光客たちが捨てた空き缶、吸い殻、弁当などのプラスチック容器など。稀に、不法投棄された粗大ゴミやタイヤなども含まれている。つまり、見方によっては、清掃ボランティアというのは、心ない人たちの犯罪行為の尻ぬぐいをしているに過ぎない。この点では、団地内の雑草の刈り取りや、花壇づくりの運動とは本質的に異なる。犯罪者たちとの闘いと言っても過言ではない。

 しかも始末の悪いことに、ゴミを不法投棄する犯罪者たちは、清掃ボランティア活動に感謝さえしない(←感謝するぐらいならゴミを捨てないはず)。ヘタをすれば、いくら汚してもどうせ誰かが片づけてくれるはずだ、とますます思い上がる恐れもある。

 となると、清掃ボランティアに参加した人たちは、単に「綺麗になってよかった、よかった」で満足すべきではない。犯罪者たちの行為に怒り、もし投棄の現場を目撃したら取り囲んで土下座させるぐらいの意気込みがあってもよいのではないかと思う。

 岡山市内でも時たま、車の窓から吸い殻や菓子類の包装紙を投げ捨てている運転者を見かけることがある。下校途中の男子生徒たちが空き缶を道路沿いの民家に投げ込んでいる場面を目撃したこともあった。まずはそういう犯罪行為を徹底的に糾弾し、ある種の怒りを原点に清掃活動に取り組まなければ根本的な解決には繋がらないと思う。



「自虐的」発言と「売国奴」批判

 民主党の調査で、副領事が事件直後に中国側に電話をした事実が明らかになったことについて、小泉首相は「いまの時点で日本の非をあげつらう(←誤植ご指摘ありがとうございました。nm様)のは自虐的だ。そんなに中国がいいんですか」というような発言をされた。これに対して、民主党の鳩山代表は、「真実を国民に知ってもらうのが我々の役割だ。多少、日本が傷ついても、それで国際的信用を増す方が大事だ」と反論、また、外務省の調査を「かつての大本営発表のようで、都合の悪いことは全部隠しているかのようだ」と批判したという。

 小泉首相の真意は、おそらく、
いまは公開された事実に矛盾しない範囲で、両国の対面をどう保つかという、つじつま合わせの交渉をしていている段階。できる限り日本に有利な状況を作り出そうとしている最中に、日本側に不利となるような情報を出してもらっては困る
というところにあったのだろう。この気持ちは分からないでもない。刑事裁判でもそうだが、弁護側からわざわざ被告に不利な証拠を持ち出す必要はない。

 とはいえ、「国際的信用を増す方が大事だ」という鳩山代表の指摘は、長期的視点にたって日本の国益を考える上でやはり大切なことだと思う。目先の外交交渉では、互いに合意すれば不利な事実は隠すことができる。しかし、いずれ新たな映像が公開されたり、亡命者たち自身から当時の状況が語られることだろう。その際に交渉結果と異なる事実が明るみに出れば国際的信用はガタ落ちとなる。

 これに関連して、一部の強硬派から「(中国への)ODA即時停止」という主張も出ていると聞くが、これも今の段階で得策とは思えない。すでに先進国の仲間入りしている中国がODAの対象になるかどうかは大いに議論しなければならないが、この場で、「援助してやっているんだから反抗するな」みたいな言い方をすると、お金で圧力をかけて事実をねじ曲げさせているような印象を与えてしまう。いや、水面下の交渉ではそういう切り札も使われるのだろうが、与党の幹部議員がそんなことを大声で叫んでいたのでは逆効果だ。

 5/17の日記にも何度か書いたように、今度の事件は 客観的事実は1つであったとしても、個々人の行動を支配する随伴性は文脈によって異なるのであるという性格を持っている。それゆえ、事実のすべてを明るみに出すことが、解決につながるとは必ずしも言えない。繰り返し言うが、これは交渉なのであって、学術調査ではない。

 ただ、気をつけなければならないのは、外務省の当事者や調査責任者たちが、日本の国益を最優先に報告を行っているかどうかという点だ。国益以上に自己保身を優先して事実隠しに奔走する動きがあれば、それこそ「売国奴」と言わざるをえない。