じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] 岡大七不思議の1つの「落ちない銀杏」がやっと黄葉。週末から氷点下の寒さになるというが、今年はいつ頃まで葉をつけ続けるだろうか。





12月11日(火)

【思ったこと】
_11211(火)[電脳]「インターネット図書館」の意義と「ネット上で見られてしまったものは二度と消せない」という覚悟

 高橋さんの日記(12/9)経由でインターネット・アーカイブ(インターネット図書館)というのがあるのを知った。お互い更新日記(旧称:日記読み日記)(12/10)でも書いたが、日記才人の前身である日記猿人のランキングや登録日記一覧のリストが1997年3月頃から保管されており、タイムマシンで4〜5年前に戻ったような懐かしさを感じた。

 その後、私のHPのurlを入れてみると、4年前に作ったTop画面がよみがえる。昔のTop画面などは常に上書きしてしまっているし、それほど情報的価値があるとも思えないので、特に意識して保管したことがない。どこにも無いと思っていたものに再会できる喜びは格別である。

 しかし、この「インターネット図書館」、昔を懐かしむだけの癒し所ではない。他にもいろいろな活用法があることに気がついた。

 まず、うっかりと過去のファイルを上書きしてしまい、それに気づかずにサーバーにアップしてしまった場合、通常では復活させるのは困難。しかし、もし「インターネット図書館」がこまめにデータを収集してくれるなら、ひょっとして復活できる可能性が残っている(現状では、収集頻度はまばらなようだが)。

 次に考えられるのは、ネット上で誹謗中傷をされ、相手がこっそりその部分を削除して知らん顔をしている場合だ。これも収集頻度がまばらだと役に立たないかもしれないが、数カ月〜半年以上、ひんぱんに悪口を書いているようなサイトだったら確実に証拠が残っているはずである。

 何者かが自分の文章やデザインをパクって知らん顔をしている場合にも、先にアイデアや図柄を公表したのは誰かという証拠になるだろう。

 さらに極端な話、Web日記のファイルを毎日収集してくれるのだったら、個人が自腹をきって50MBや100MBのスペースを借り過去日記を保管する必要がなくなる。私の場合も、アーカイブに移す際には、写真画像はサムネイルのみを残すなどしてサイズ圧縮につとめているが、こういう図書館で確実に画像を残してくれるならば大助かりだ。



 では逆に弊害は無いのだろうか。すぐに思いつくのは
  1. 著作権の問題
  2. 「削除権」という概念
しかし、私はいずれも、ネット図書館を廃止せよという主張には至らないと思う。

 まず1.だが、「ご自由にご覧ください」として不特定多数に公開されているコンテンツが、原型のまま別のところに保管されているからといって、それだけでは侵害にはあたらないと私は思う。このあたりの主張については、こちらの特集をご覧いただきたい。要するに、ネット上で保護されるべきものは、「著作者人格権」(私が書いたものであるという保障)あるいは「同一性保持権」(書いた内容を勝手に変更されない権利)と言われているものに限るべきであり、再配布を制限する権利はないと私は考える。もちろん、営利目的の再配布や、著者の一連の主張の文脈を無視した「つまみぐい」的な転載は論外であるが。

 次に2.だが、何らかの事情でコンテンツを削除した本人にとってみれば、某所に削除前のコンテンツが事前承諾なしに保管され不特定多数に公開され続けているというのは耐え難いことだろう。そのほか、実名でWeb日記を書いていた人が周囲への配慮からハンドルに変更した場合も同様。

 しかし、ネット上での発信は、それなりの自己責任が伴うものだ。いったん発信されてしまったからにはすべてをゼロに戻すことは本来不可能。その仕組みを理解した上で慎重に発信すべきものと考える。

 上述の高橋さんの日記(12/9)によれば、メタタグ内に

META NAME="ROBOTS" CONTENT="NOARCHIVE"

というように記述しておけば、ロボット収集や保管を回避できると紹介されていた。元の説明をまだ読んでいないので詳しいことは分からないのだが、これって、法的な権利を宣言するものなのだろうか。単に特定のロボットによる収集を回避するための技術情報にすぎないのであれば、これを無視する収集が行われても文句は言えないはずである。

 また何が起こるか分からない世界である。「ロボット収集イヤイヤ」というコンテンツばかりを集めたコレクションサイトなんかが出現するかもしれない。

 同じく、高橋さんの日記によれば、直接メイルを出して削除を依頼できるというようなお話があったが、このことでちょっと気になることがある。匿名者が運用していたサイトが「図書館」に保管されていた場合、削除依頼のメイルが本人のものであるかどうかはどうやって確認できるのだろう。また、同じコンテンツについて、削除依頼と保全依頼のメイルが同時に届いた場合は、どちらが優先されるのだろう。

 いずれにせよ、自分の都合だけで好き勝手に削除できるというのは甘えだ。万が一不適切な発言をした場合でも削除という形で回避するのではなく、その事実を残した上で、その後自分がどう対処したのか、どう変わっていったのかを追記していくべきではないだろうか。

 それと、仮に、特定個人の人権を傷つけるようなコンテンツがあったとしても、「インターネット図書館」は削除に応じるべきではない。不特定多数への公開を取りやめる措置をとった上で、事実そのものは記録として保管し、次の世代への資料として受け継ぐべきだ。



 
 いろいろ書いてみたが、結局のところ、われわれ発信者は、「ネット上で見られてしまったものは二度と消せない」ことを肝に銘じて執筆を続けるべきであると考える。

12/12追記]高橋さんからさらに詳しい解説をいただいた。その中で、検索さえも追い返すには、
<meta name="robots" content="noindex,nofollow">
というタグを入れると、文書を辿られないで済むということを教えていただいた。さらに詳しい情報は、高橋さんの12/12の日記をご覧ください。