じぶん更新日記1997年5月6日開設Y.Hasegawa |
ツクシいっぱい。 |
【思ったこと】 _10403(火)[心理]象牙の塔と現場心理学(4)南風原・市川・下山編『心理学研究法入門』(2)研究の意外性 4/1の日記に引き続いて『心理学研究法入門:調査・実験から実践まで』(南風原朝和・市川伸一・下山晴彦、2001、ISBN4-13-012035-2)の中の「第1章 心理学の研究とは何か」(市川伸一氏)について感想を述べたいと思う。 第1章のなかで執筆者の市川氏は「良い研究とは何か」という興味深い節を設けておられる。そんな議論ができるんかい、と思われる方もあるかもしれないが、そういう読者のために、次のような「ことわり書き」がちゃんと書かれている。 はじめに断っておかなくてはならないことは,どういう研究が良い研究かについての評価は,評価者によってきわめてまちまちであり,けっして客観的な基準などないということである.それでも,良い研究とはどのようなものかを論じることに意味があるのは,「研究する」ということをあらためて多角的にとらえ直し,自らの研究の方向を定めるときの指針になるからである.そのうえで市川氏は、良い研究がもつべき価値として
市川氏は、「意外性」の事例として 「「意外性」というのは,(a)Aさんが宝クジで1万円あたった」という情報と,「(b)Aさんが宝クジで5000万円あたった」という情報の違いに相当する.つまり,もともと生じる確率が小さい事象が起こったという(b)のほうが,より大きな情報を得たことになる.を挙げ、研究の情報的価値や確実性もこれに準じて考えることができると指摘しておられた。 しかし市川氏の挙げた事例は、単に希少性を示すだけのものであって、いくら「準じて考える」と言えども必ずしも情報的価値には結びつかないように思う。例えば、皆既日食などは滅多におこらない現象であるが、いつどこでどのくらいの継続時間の日食が観測されるのかということは何百年も先まで予測することができる。その意味では、皆既日食がおこること自体には何の意外性もない。いっぽう、雨が降ること自体はしょっちゅう起こる現象だが、「明日は快晴、降水確率0%」と予報されているにもかかわらず雨が降り出したら大いに意外性があるということになる。要するに、「意外性」とは単なる「希少性」ではなく、人間が能動的な関わりを持つなかで、文脈に依存して規定されるものなのである。このことは、研究の価値自体も、学問の文脈に依存して決まってくることを意味する。時間が無くなったので次回に続く。 |
【ちょっと思ったこと】
大阪の町は暗い 夕食時にNHK「クローズアップ現代」を見た。最近、バイクなどを使って女性のバッグをひったくる事件が多発しているとか。また、この犯罪の検挙者は、少年が多いところに特徴があるという。検挙者数のうち少年の占める割合は69.9%、うち中学生が21.7%であったという。 この番組では、大阪でひったくりが多い原因として、
元のひったくりの問題だが、どのような防止策が有効だろうか。
それから、「検挙者数のうち少年の占める割合は69.9%、うち中学生が21.7%であった」というデータだが、これらはあくまで、検挙された者の比率である点に注意する必要がある。かつては53%あったひったくり事件の検挙率は、最近では20%台に落ち込んでいるという。つまり3/4の事件の犯人の正体ははっきり分からないということだ。もし、少年のほうが逃亡や証拠隠滅がヘタで捕まりやすく、プロの犯罪集団が一度も捕まっていないとすると、じつは被害の多くは少年以外によって引き起こされているという可能性も否定できない。このほか、実行犯が少年であっても、背後でプロが統率している可能性もある。 |
【スクラップブック】
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