じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa


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[今日の写真] ビヨウヤナギ。ビヨウヤナギキンシバイによく似ているが、雄しべが長い。大学周辺の道路沿い一面に植えられている。手入れがあまり要らないのだろうか。



6月8日(木)

【思ったこと】
_00608(木)[教育]最近の大学教育論議でおもふこと(21)優秀な大学生に奨学金返還免除

 文部省は8日、問題になっている大学生の学力低下対策の1つとして、優秀な成績をおさめた奨学生を優遇するための基準の検討を始めたという。今回の見直しでは、1998年にいったん大学院生以上に適用範囲を縮小した免除基準を再び大学学部生に広げた上で、例えば4年間の成績が上位10%だった人、目を見張るような研究成果をあげた人、スポーツで成果を上げた人などを対象に含め「努力した人が報われる」制度に改めることが検討されるそうだ[参考記事]。

 「努力した人が報われる」というのは行動分析の基本理念に一致するものであり原則的には賛成できる[努力についての私の意見は、99年7月15日の日記99年9月19日の日記2000年3月15日の日記などをご参照ください。私の言う努力は、「プロセス」と「努力の質」も重視した上での「努力」であることを強調しておく。]。問題があるとすれば、以下の点だろう。
  • 免除対象者が全体の10分の1程度、大部分の人にとっては「努力に応じて結果を得る」ことにはならない。学力低下対策が主目的であるならば、成績上位者に対する優遇ではなく、成績下位者に有効となるような方策をとらなければならない。「どうせ私はダメだ。上位になれるはずがない」と思っている学生にはこの方策は有効ではない。

  • いずれにせよ「努力に応じて」は受給者全員に適用される随伴性でなければ学生全体の学力低下を改善する効果をもたらさない。「0か1か」という二者択一型の全額免除でなく、免除の額が何段階かに分かれるような、量的な関数関係のある随伴性を設定することが望ましい。

  • 「これだけ努力したらこういう結果になる」という具体的な随伴性(ルール)が明示されていなければ、ギャンブルになってしまう。この点では、全体の10分の1というような相対評価よりは絶対評価のほうが望ましいが、その場合には、大学間の格差や厳正な成績評価をどうするかが問題になってくる。TOEICで何点以上...というように、外部試験を多様に採り入れることが公正さを増すことになるかも。

  • いずれにせよ、奨学金返還免除というような金銭的な強化は、本来付加的な随伴性であって、勉学それ自体がもたらす「問題解決」、「未知の現象の解明」、「真理探究」、「知識の集積による外部への働きかけ機会の拡大」、「幅広い教養を身につけることによる人生観、世界観の確立」といった行動内在的な強化随伴性とは異質なものである。「勉学のために奨学金をもらう」ことが「奨学金を免除されるために勉学に励む」というのでは本末転倒。あくまで補助的に導入されるものでなければならない。

【ちょっと思ったこと】

4年の懲役で160年を償えるか

 昨年11月に世田谷区内の東名高速道路で酒を飲んで大型トラックを運転、乗用車2台に衝突して3歳と1歳の姉妹を焼死させるなど計7人を死傷させた56歳の運転手に対して、東京地裁は8日、懲役4年(求刑は懲役5年)の実刑判決を言い渡したという。

 この姉妹の両親の判決直後の記者会見をたまたまテレビで見た。母親は「事故に遭わなければ70年、80年と生きられたはずなのに....。それに対する償いが4年とは...」と語っておられた【私が聞き取った内容なので記憶違いもあるかも】が、確かに、親にとってみれば、計画的な誘拐殺人であれ、飲酒運転による事故であれ、子どもたちを殺されたことには変わりない。罪状は業務上過失致死傷および道路交通法違反(酒酔い運転)となっているが、この運転手の場合、以前より長距離運転の際の飲酒癖があったと指摘されており、「未必の故意」が適用されてもよいように思える。

 テレビや新聞の報道によれば、事故の前、料金所の係員から「ふらついているよ」と言われたのに配達の時間に遅れていたことから運転を続けたというが、明らかに「酒酔い」と分かっていても料金所係員には運転中止指示や警察への通報義務は無いのだろうか。

 もちろん加害者の刑期を10年にしたところで、無期刑にしたところで被害者が生き返るわけではないけれども、事故の再発防止のためには、原因となる飲酒運転に対してもっと厳罰主義でのぞむことが必要。事故の結果の重大さにかかわらず、飲酒運転が発覚した時は、即逮捕、例外なく免許取消、取り消し後は生涯免許取得不可とするぐらいの厳罰があってもよいと思う。
【今日の畑仕事】

インゲン、ジャガイモ、タマネギ、チンゲンサイを収穫。
【スクラップブック】

  • 米国海洋大気局(NOAA)によると、日本時間6月7日の午前0時25分に太陽表面で大きなフレアが発生。高速の荷電粒子(推計数十億トン)が大量に吹き出され、これにより数日以内に磁気嵐が発生する恐れがあるという。北海道でオーロラが見られる可能性も[6/9朝日]