じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa


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[今日の写真] 東京自宅の玄関先の柿の若葉。「柿の葉が3枚開いたらゴボウの種蒔き」というように、古来から柿の葉は季節の変化を知る重要な指標になっているようだ。




4月23日(日)

【思ったこと】
_00423(日)[一般]学会も今やサービスの時代

 某学会(←宗教団体の学会ではなく、心理学関係の学会。念のため)の理事会で総会の運営の仕方、会員移動などについての議論があった。機密漏洩にならない範囲で、私が発言に加わった議論のうち一般性のあるものを2つ挙げてみたいと思う。
  • 総会を形式と見なすか、意義深いものにするか

     大概の学会では年次大会の日程の一部で総会が予定されているが、出席者は理事や物好きな熱心なごくわずかの一般会員に限られる。定足数に達するなどということはまずありえない。とりあえず仮議決としておき、一定期限内に会員の過半数から反対の表明が無ければ自動承認されたものと見なされているようだ。

     そうした現状をふまえ、総会はもともと形式的なものだから、あらかじめ議事要旨を大会会場で配布し、ごく短時間に一括承認で片づけてしまえばよいという意見がある。その一方、もし総会に何らかの意義を見いだそうとするならば、例えば「この一年間に学会でどういう活動が行われたかをビデオや写真で紹介するとか、「3分以内で最も建設的な発言する」コンテストを実施し、優勝者の会費を免除するといった具体策をとる必要がある。

     会場に「○○学会まんじゅう」を備えておき出席者だけに配ればよいという半分冗談めいた提案もあったが、これは基本的に付加的好子出現の随伴性。こういう重要な会議の出席行動は、「参加してよかった」と言わせるような行動内在的な好子出現で強化したいものである。とは言え、今回の理事会の最中に振る舞われたケーキとコーヒーはなかなか強化的であった。がはははh。

  • 会員移動についての議論

     学会の基本的な目的は、研究活動についての情報交換と機関誌上でのハイレベルの研究成果公開にあることは確かだが、会員内のクローズドな情報交換だけでは不十分。会員を増やすとともに、研究の成果を広く社会にアピールしていく使命をになっている。

     しかし、近年ネットの普及により、毎年1回の年次大会と、たまに機関誌配布を受け取るだけでは、学会に入って会費を払い続けるメリットがあまり無くなってきた。現に私なども、ここ数年の間に、3つの学会を退会している。会員数が増加しているとは言え、この○○学会の場合も、「会員である」という行動を多様な形で強化していかなければ存続は危うい。

     席上で私が提案したのは、
    • この学会に入ることでどういうメリットがあるのか、平たく言えば何がお得なのかということを入会案内に具体的に明示すること。
    • 一例として、大学院生が海外の関連研究施設に短期留学するための多様な情報を提供し便宜をはかること。
    • 各種公開講座を全国各地で多様な形で開催。参加費が有料の場合、会員に対して割り引きの得点を与える。
    といった内容。ちなみにこの学会では、だいぶ以前から学会認定資格を設けるかどうかといった議論があるようだがどちらかと言えば消極的だそうだ。職業上の特権を与えるような国家資格を設けることは現実には不可能であろうが、何らかの認定試験を実施することで具体的な修得目標を明示すること自体は大いに結構であろうと思った。

     余談だが、理事会終了後の懇親会である理事が「日本心理学会会員であることのメリットは何だろうか」と言っておられた。確かに

    • 現在日本には専門分野別の心理学関連学会がきめ細かく設立されており()、専門内容に限定した発表や意見交換をするだけなら、グローバルな学会に参加する意義はあまりない。複数の分野に興味のある人はそれぞれに適した学会に入れば済むことである。
      :日本心理学諸学会連合に参加している学会は1999年12月の時点で30学会。なおこの諸学会連合の今後については非常に流動的。
    • 1999年9月5日の日記で紹介させていただいたように、

      • 機関誌『心理学研究』に投稿された論文の第一著者は638名で、これは日本心理学会の最新の会員数の13.5%にすぎない。
      • 著者の推定年齢(←心理学会名簿に大学卒業年が記されている)は33.06歳。最頻値は27歳。投稿者の年齢幅は22歳から67歳まで及ぶが、そのうち20〜39歳の投稿者による論文が全体の82.10%を占めている。
      • 10件以上引用された研究者は38人。殆どの論文は1回程度しか引用されていない。

      ということで実質上、博士号取得や採用人事の要件「レフェリー付きの学術論文○篇以上」を満たす機会として利用されている側面がある。私自身、何のために1万1000円もの会費を払って会員になり続けているのかと聞かれると答えが出てこない。

     シンポやパネルディスカッションのような企画物だったら、別段年次大会に出向かなくても多種多様に行われている。時間切れで言い放しに終わるような年次大会のシンポよりは、ネット上での日常的な議論のほうが実り多いようにも思える。強いて言えば、異なる分野の心理学者たちと顔を合わせる機会があるというメリットぐらいのものだろうか。しかし現実には自分と異なる分野の発表会場まで足を運ぶ会員はそれほど多くないようにも思える。グローバルな議論とか言ったって、方法論があまりにも違いすぎれば短時間の議論でかみ合うはずがない。
     ひょっとしたら、明確な参加意義を見いだせないまま、「この学会をやめてしまったら心理学者としてのアイデンティティが無くなる」といった阻止の随伴性だけで会員であり続けている会員も居られるかもしれない。

【ちょっと思ったこと】
  • 添加物だらけの車内弁当

     昼前に東京自宅を出発、岡山に戻った。新幹線車内のビュッフェで弁当を選ぶが、どれも添加物の多いことに驚く。私が買った五目釜飯を例にとれば、
    • 調味料(アミノ酸等)
    • pH調整剤
    • 保存料(ソルビン酸K)
    • 着色料(銅クロフィルNa、赤106、黄4、青1)
    • 漂白剤(次亜硫酸Na)
    • 酸化防止剤(VC)
    • ソルビット
    • 保存料(ポリリジン)
    という表示あり。このうちの「VC」というのはおそらくビタミンCのことなのでまず害はないと思うけれど、着色料や保存料はけっこう気になるものだ。上京中は近くのスーパーで総菜類をずいぶん買ったけれど、これにも似たような添加物が含まれていた。保存料などは食中毒の防止上やむを得ないところもあるけれど、着色料は本来人の目をごまかす有害無益な添加物。最近では合成着色料に代えて自然色素が使われる傾向もあるようだが、まだまだ不十分。添加物入りと無添加の弁当が両方置かれているならば私個人は絶対に無添加品のほうを選ぶだろうが、車内弁当のように選択肢が限られているケースでは、こちら側の希望で自然食品を手に入れることができない。仕入れ担当者や製造業者に善処を求めるしかできないのが辛いところである。

  • 中国は7連休

     新幹線車内で見た字幕ニュースによれば、中国政府は祝日法を改正し、5月1日からの7連休を実現したという。日本でも5/1を祝日にすることで「祝日と祝日の間は休日」規定を適用して毎年4/29からの7連休以上を実現しようという主張があったと思ったが、最近はどうなっているのだろう。もっとも、個人消費の拡大につながるとの理由からこうした連休の実現を主張するということであれば、これは4/21の日記で取り上げた内山節氏の主張から言えば「労働の自由」ではなく「労働からの自由」という近代的自由観に基づく発想ということになる。


【今日の畑仕事】

 ジャガイモの芽かき。トウモロコシ畑耕す。ホウレンソウ、長ネギ、ニラ、タマネギを収穫。
【スクラップブック】