じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] 秋分の日の彼岸花。お彼岸の日にいちばん見事に咲くとは、さすが彼岸花だ。

9月23日(木)

【思ったこと】
990923(水)[社会]ゴミが降る島と「瀬戸内県」
[豊島の写真]
 台風情報を見ようとTVのスイッチを入れると、たまたま香川県豊島(てしま)の産廃問題に取り組むドキュメンタリー番組をやっていた。「ゴミの島から民主主義」というタイトル。インターネットTVガイドによれば「日本民間放送連盟賞報道部門最優秀賞受賞作品 政治に自ら参加する小さな島・豊島の大きな挑戦に密着▽行政の無謬性を告発」というコメントがついており、おそらく最優秀賞受賞を記念して再放送したものと思われる。

 7月11日の日記に書いたように、岡大ではかつてはこの豊島(てしま)に海の家を開設しており、確か、7〜9年前に3年連続で宿泊したことがあった。写真は92年7月に撮影したもので、息子は7歳、娘は4歳。子どもたちにとっては本格的に海の面白さを知り始めた思い出の場所であった。

 この「海の家」というのは、岡大が職員の福利厚生経費で夏休み期間だけ民間施設の部屋を借り上げているもので、抽選に当たると低価格で利用ができる制度。自炊が原則となっており、インスタント品を持ち込むか現地のスーパーまで食料を調達に行くことになっていたのだが、当時から水道は飲用禁止。大型のポリゴミ容器にどこからか運ばれた飲料水が蓄えられておりこれを柄杓で掬って炊事にあてていた。なぜこんなことをするのか管理人に聞いてみたが、「水道は飲料不適と言われている」程度で詳しい事情は教えてくれなかった。海岸の岩についていた牡蛎も食べてはいけないなどと言われたが理由は今ひとつ不明。実際にはすでに当時から産廃問題が表面化していたようだ。その後、県北・神郷町の「山の家」開設とともにこの「海の家」は廃止。以後5〜6年は全く訪れたことが無かったが、産廃問題がこれほどの大問題になっていたとは知らなかった。

 番組では、外国での研修から戻って新しいタイプの農業を始めたばかり若者が、この産廃問題解決のために立ち上がり、元日弁連会長の中坊弁護士の支援も得て香川県との訴訟、さらには今年4月の県議選で当選するまでの過程を中心に、島の環境を守るために立ち上がった住民たちの10年近くに及ぶ取り組みが描いていた。何度も立ち入り調査をしていながら環境を守るための対策を何もせず結果的に産廃業者サイドに立ってしまった香川県、それに怒りをぶつける島のお年寄りたち、それでもなお、自分たちの落ち度を認めまいとかたくなな態度をとり続ける県。そのコントラストが印象に残った。

 番組の後半では、香川県議選への取り組みの様子が描かれていた。実は豊島というのは独立した町や村ではない。隣の小豆島の一部と一体となって1つの町を構成している。県議選の選挙区も小豆島と一体化されている。豊島の有権者1200人に対して小豆島は28000人。いくら豊島の問題をアピールしても、小豆島島民の支持が得られなければ県議に当選することができないのだ。

 番組は、この若者がめでたく当選して議場に着席する様子、県知事が当選のお祝いに訪れて頭を下げたところで終わっていたが、当選したとは言え議会の中では孤立無援に近い。どこまで豊島の思いを議場に伝えられるかが今後の課題であるように思えた。

 この番組を通じて感じたのは、豊島の産廃問題が本当は瀬戸内海の魚介類全体、さらには地球規模の海洋汚染にも影響を与えかねない問題であるにも関わらず、香川県知事や他に地盤をもつ県議たちは、ローカルな離島の出来事程度にしかとらえていないということ。いや実際、彼らの当選のためには、香川県本土?のこと、あるいは自分たちの地盤の中だけの利益を考えていたほうが遙かにお得。豊島島民の声を聞いたところで1200票しか増えない。そんなところに根本問題があるような気がした。

 今回の番組を制作したのが山陽放送という岡山に本社を置く放送局であるというのもまことに皮肉なことだ(ネットで検索したところ、山陽放送のHPの中にこの番組に関連の深い書籍の紹介があった)。香川県の問題なんだから香川県内に本社を置くマスコミがもっと取り上げてもよいように思うのだが、地元ではあまりにも反発が強すぎるのだろうか。それとそもそも、豊島と高松の間には直行便は無い。唯一のフェリーは、岡山県の宇野から豊島を経て小豆島の土庄(とのしょう)を結ぶ便だ。豊島島民が高松に行くためには、小豆島まで行って高松行きに乗り換えるか、いったん岡山まで行って宇高フェリーに乗り換えるしか方法がない。こうした航路上の隔たりも香川県本土から見た豊島の「離島化」にもつながっているように思える。

 もし香川県が産廃による瀬戸内海の汚染をこの程度にしか考えていないとするなら、もはや瀬戸内海の島々を統治する資格はない。と言っても、兵庫県、岡山県、広島県、愛媛県、山口県といった瀬戸内近隣の他県が特別に環境重視の政策を実行するとも思えない。むしろ瀬戸内海の主立った島々で「瀬戸内県」というような名前の独立した県でも作ったら、いくらかは海洋の問題に真剣に取り組んでもらえるような気もする。財政基盤は危ういが、このさい、海域全体を湖と考えて県の面積に算入し、「県内」を航行する船から一定の税金を取れるようにする。、もちろん本州四国を結ぶ橋やその付属施設も県内にあたる。こんなこともあってもよいのではないかとふと思った。
【イランで思ったこと(17)】世界最大の難民受入国?

[イランの写真]  イラン関連サイトを検索していたところ、こちらのサイト
イランは、1996年初め現在で、世界最大の難民受け入れ国であり、200万人以上を受け入れていました。イラン政府によると、アフガン難民140万人とイラク難民60万人がまだ国内にとどまっており、その他にも合計で4万8000人(タジク人、ボスニア人、アゼリ人、エリトリア人、ソマリア人など)の難民がいます。
と記されてあることに気づく。現在1999年時点でどうなっているのかは分からないが、たとえ一時期であったにせよイランが世界最大の難民受け入れ国になっていたとは全く知らなかった(←日本は何人受け入れていたっけなあ)。

 写真はイスファハンのホテル近くにあったユニセフの募金箱。最初は郵便ポストだと思っていたが葉書を入れる穴がない。ガイドさんに聞いてやっと正体が分かった。すべてペルシャ文字で書かれてあるところからみて、外国人向けではなく国内向けの募金活動をしているように見える。意外といっては失礼だが、国際協力に熱心なお国であるとの印象を受けた。
【今日の畑仕事】
ミニトマト、ナス、人参、サツマイモを収穫。ネギ苗植え付け。大根種まき。台風に備えて鉢移動。
【スクラップブック】