じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] メドウ・セージ。セージの中でも紺色が最も美しいと思う。後ろの菊状の花はチコリ。

7月27日(火)

【思ったこと】
990727(火)[心理]街角で心理学者にばったり出会う確率、ネット時代における学会の役割を考える

 昨日の日記で心理士にもいろいろあるという話題を取り上げたが、そもそも心理者というのは全国でどのぐらいの数に達するのであろうか。心理学者であるかどうかという合理的な基準があるわけではないが、とりあえず関連する学会の会員数を調べてみた。ここにとりあげた学会は、日本心理学諸学会連合(1999.5.15.会則制定)に入会している30学会のうち、5/15現在で会員数の報告のあった24学会の会員数をグラフ化したものである。なお、報告がなかったのは、日本バイオフィードバック学会、日本行動計量学会、日本行動療法学会、日本人間性心理学会、日本臨床心理学会、日本特殊教育学会の6学会であった。

グラフはこちらをご覧ください。

 この時点で最大会員数を有するのは臨床心理士の資格認定に関係の深い日本心理臨床学会で8658名。次が日本心理学会で6075名となっていた。会員数の報告のあった学会の中で1000名以上の会員を有するのは8学会。私が理事をつとめている日本行動分析学会は17番目の規模となっている。

 おおざっぱに言って、街角でばったりぶつかった相手が日本心理学会の会員である確率は2万分の1、どれか1つの学会の会員にぶち当たる確率は(複数入会している人が非常に多いので単純合計数よりはかなり少ないと考えて)5000分の1ぐらいではないかと推定される。

 この種の数値は毎年1度ほど目にすることがあるが、記憶に残っている範囲で言えば、やはり日本心理臨床学会の会員数の大幅な増加が目立つように思う。資格認定に関わるとなれば単なる学問的関心ばかりでなくその道を進む者の生活にも直接影響してくる。純粋な研究交流目的だけの学会というのは、「会の活動に参加する」行動を強化する力が弱い。どうしても400〜500人レベルの規模に落ち着いてしまうところがあるように思う。

 ところで私自身は、ここ数年のうちにいくつかの学会を退会している。メイリングリストやホームページなどネットを通じた研究交流が活発になるなかで、年に1回程度集まって研究発表をやったり、ブルーリボン・ジャーナルでリジェクトされたような論文ばかりを集めた機関誌を発行する程度の学会に参加することにどの程度の意義があるかは分からない。これまでの人間関係とか諸々のしがらみがあって躊躇しているところもあるが、あと2学会はできれば退会したいと思っている。
【ちょっと思ったこと】
【新しく知ったこと】
 昨日の日記でとりあげた「心理士」の資格に関連して、いつもお世話になっている、あんくるさんから以下のような情報をいただいたので、少々長くなるが紹介させていただく。例によって改行部分やリスティング部分は長谷川のほうで改変させていただいた。
資格について。
 遠い過去の記憶ですのでかなり曖昧ですが、(土木系)公務員の立場からいいます と、資格は3種類(+1)になります。

1)国家資格
2)公的資格
3)民間資格

1)国家資格
 国が法律で定める資格。医師試験、司法試験、自動車免許、技術士、宅建等。国若しくは法令で定める機関が試験事務を代行。多くは、その資格者のみが行うことのできる特殊技能を認定している。原則として一生モンの資格(更新がない)。
2)公的資格
 下記の民間資格(法人資格、学会認定)のうち、国等が直接間接に、その資格の保持を特定の職種等の要件にしているもの。土木の世界だと、コンクリート技士。あくまで法人資格だが、その資格者がいない生コンクリート業者は、公共事業に参与できない。
3)民間資格
 その法人(協会)、学会等において技能向上等の目的のための目標として設定されるもの。

 厳密にいうと、国にとっては国家資格と民間資格しかありません。
 多くの民間資格(を発行している団体)は、その指導官庁等に対して、(現況で新たな国家資格を設けることは、規制緩和に逆行し、ほとんど無理なので)なんとか公的資格に位置づけて貰えるよう(資格者を活用するよう)に動きます。しかし、人材育成をメインとすると文部省から怒られますし(人材育成=教育は学校=文部省の管轄)、規制緩和の折から(資格者への限定=”規制”)、近年はほとんどありません。よく知りませんが、情報系の場合は既に、国に頼らない”事実上の標準”になっているものもあろうと思います(土木の世界はどうやっても市場の7割以上は公共事業なので(民間が道作ったり河川改修したりしないから)、よくわかりません)。

 民間資格でタチの悪いのが、資格商法です。手口は大まかに二つあって、

 1)デタラメ(に近い)資格を、さもその資格がないと商売できないように言いくるめる。
 2)国家資格と紛らわしい資格の名前にして受講料を巻き上げる。

があります。後者の例としては、国家資格の「施工管理技士」に対する「施工管理技師」があります。

 なお、国の資格の問題は、「一生モン」にあります。未だにブラックジャックの世界の外科医に脳外科手術をされても、(BJはモグリ医者なので初手から違法ですが)違法にはなりません。技術革新の影響が大きい分野の場合、更新がないのは恐怖です。で、いくつかは講習を設けています(資格に期間がないので「更新」はできない。そのかわり講習によって新技術を補完する)。しかし、その更新が形骸化されると、「試験事務を代行する機関」の銭儲けに堕落します。
 ということで、自己研鑽のための資格はよろしいんですが、余録を期待すると、よく調べないとろくな事はないというのが実感です。
 資格、免許、あるいは学位などを含めて、「一生モン」のほうがよいか、一定期間ごとにチェックをして更新を求めるものがよいのか、すでにある諸資格について検討を加えたほうがよいものもあるだろう。このあたりは出張後に「ルール支配行動から生きがいを考える」シリーズで考察していきたいと思っている。
【生活記録】
【今日の畑仕事】
  • 台風の雨で立ち寄れず。
【スクラップブック(翌日朝まで、“ ”部分は原文そのまま。他は長谷川による要約。)】