じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

7月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る
[今日の写真] ベニバナサワギキョウ。昨年夏に処分品を購入。花は殆ど終わっておりそのまま枯れたように見えたが、根が生きており今年は見事に花を咲かせた。なお、春と秋に青や白などの小さな花を咲かせるロベリアとこの花は同じ仲間。こちらのほうはルリチョウチョウという和名がつけられている。


7月26日(月)

【思ったこと】
990726(月)[心理]心理士にもいろいろある

 しんつま日記さんが7/25の日記で「心理士」のことを書いておられた。少し前に日本心理学会発行の『心理学ワールド』第6号で「心理の資格」をまとめた特集記事があったので、これを機会に「○○心理士」などと呼ばれる心理の資格についてまとめてみたいと思う。

 まず大まかに見ていこう。上掲書にリストアップされている資格は17種類ある。このうち国家資格は、精神保健福祉士と言語聴覚士の2資格のみ。臨床心理士、認定心理士、産業カウンセラーの3資格が法人認定。他は学会認定となっている。私のところにもたまに「カウンセラーの資格をとりたい」という志望者が出てくるけれど、カウンセラー自体は国家資格ではない。それから有料講座とか通信教育を受けることで「○○の資格がとれます」などと広告を出しているのもたまに見かけるが、中にはその団体が独自に認定しているだけで社会的には全く認知されていないものもあるので注意が必要だ。
  • 国家資格
    • 精神保健福祉士
      【厚生省1998年、4年制大学等で必要な各種指定科目を履修し、国家試験に合格した場合】
    • 言語聴覚士
      【厚生省1998年、指定の養成所や大学・短大等で必要知識及び技能を修得し、国家試験に合格した者】
  • 法人資格
    • 臨床心理士
      【文部省認定の日本臨床心理資格認定協会1988年。心理学専攻の博士課程前期または修士課程(いずれも特定の基準を満たした指定大学院に限る)を終了後1年以上の心理臨床経験を有する者で、資格審査に合格した者。】
    • 認定心理士
      【文部省認定の日本心理学会1990年。日本心理学会員であり、所定の科目38単位を修得した者。学会員になるためには大学の心理学関係の専門課程を卒業している必要がある。】
    • 産業カウンセラー
      【労働省認定の日本産業カウンセラー協会1992年。大学で心理学関連の科目を一定以上履修した者。協会主催の研修受講者。実践年数などに応じて、初級、中級、上級に分かれている。】
  • 学会認定
    • 心理リハビリテーション資格
    • 認定カウンセラー
    • 認定催眠技能士
    • 認定バイオフィードバック技能士
    • 家族相談士
    • 自立訓練法指導資格
    • 学校カウンセラー
    • 認定行動療法士
    • 認定応用心理士
    • 認定健康心理士
    • 学校心理士
    • キャリアカウンセラー
 学会認定資格はおおむねその学会の会員になっていることが認定基準に含まれている。比較的会員が多いのは、学校心理士(日本教育心理学会4340人)、認定カウンセラー(日本カウンセリング学会2900人)、学校カウンセラー(日本学校教育相談学会2600人)など。会員数はいずれも上掲書の資料による。

 『新明解国語辞典』(三省堂)によれば資格とは
  1. [一定の行動が許される]その組織内での地位
  2. その事を行ってもよいと公に認められる能力。
とされている。各種心理士において「一般の人には禁じられているが、資格を有することによって特に認められる行為」なるものが実際に定められているのかどうか、詳しいことは分からない。現実には、個人の修得目標として、また全体の技能の向上をはかる目的で設定されたものが多いように思う。

 医療行為の場合は、特定の治療法の有効性は、特定個人や機関の権力・権威などと独立してある程度客観的に実証することができる(データの公表を遅らせたり隠匿したりする事件が無いわけでもないが)。これに対して、心理的な療法には、これがより有効であるということを客観的に実証する方法が必ずしも伴っておらず、また、個体差が非常に大きいために、平均値の有意差として確認された「有効性」が特定個人に対しても確実に有効であるとの保証は得られないところがある。

 この点からみると、カリキュラムとか協会主催の講習会の受講などのようにかなり高度な内容まで必要要件に定めてしまうと、特定の流派の療法が固定化され、その枠組み自体を否定するような新しい療法の開発が押さえられたり、その流派に従わない研究・教育が排除されて、その流派だけの特権化が強められる恐れがある。極端な場合、このことが大学教官のポストをも拘束することにつながる。

 そういう意味では、個人的には、心理学関係の資格というのはきわめて基礎的な要件を満たすものに限定し、そこから先の実践活動については、他流派との比較を含めた客観的な外部評価にゆだねていったほうがよいと思う。そのほうが研究・実践の活性化にもつながるし、特定流派に偏らない臨床家の地位向上にもつながるように考えている。

 とにかく、各流派が国家資格の先陣争いを演じるようでは困る。「資格があるから何かができる」というような能力の固定化には反対。あくまで個人の当面の努力の目標として、各流派の技能向上の手段として資格認定制度が整備されることを望む。
【ちょっと思ったこと】
【新しく知ったこと】
【生活記録】
【今日の畑仕事】
  • 台風接近で風強し。水撒き、トマト大1個、キュウリ1本、オクラとミニトマトいっぱい収穫。
【スクラップブック(翌日朝まで、“ ”部分は原文そのまま。他は長谷川による要約。)】