じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真]  時計台近くの辛夷の花も満開になった。

 3/24の日記で、堀辰雄の“木曽路・大和路の話”と書いたが、新潮社の文庫本のタイトルは『大和路・信濃路』、また短編そのものは『信濃路』の中におさめられていることを確認した。

 あくまで作品の中での話だが、堀辰雄はこの時には辛夷の花を見ていない。僕はもう観念して、しばらくぢっと目をあはせてゐた。たうとうこの目で見られなかった、...と記されている。

 その少し前のところの“「あら、あれをごらんにならなかつたの」妻はいかにもうれしくつてしやうがないやうに僕の顔をみつめた。という描写がなぜか強く記憶に残っている。そして、私がこのWeb日記に妻のことを書くときにも、『辛夷の花』や『浄瑠璃寺の春』に記されている堀辰雄の妻についての描写を思い出すことがある。

 余談だが、この作品を読んだ頃は、この私でも多少は文学作品に関心があり、手書き日記を記したり、文芸部に入ってみたりした。また、この作品の影響で、わざと旧仮名遣いのエッセイを書いて気取ってみたりしたものである。


4月5日(月)

【思ったこと】
990405(月)[教育]授業内容について学生から評価を受けるわたし

 新年度になって初の出勤。大学では事務官が3年間程度で部署を代わる慣行があり、この時期に事務室を訪れるとスタッフの半分以上が新しい方に交代していて驚くことがあるが、最初に訪れた某係は昨年度と同じスタッフであるそうだ。もっとも、昨年来、事務官定員大幅削減にともなって業務の本部集中化・一元化が進められ、それに伴って事務官一人一人の負担が相当に増えているらしい。
 きょうはたまたま同僚教官が、新入生のオリエンテーションを行う教室番号を尋ねてきた。事務に電話したところ「配布資料に書いてあるはずですよ」と言って教えてくれなかったとか...。ま、もともと事務官は教官の部下でも秘書でも無いんだが、これからの時代は、事務官に時間的負担をかけることの無いよう、教官側のココロ配りも必要になってくるのだろう。

 今週後半からはオリエンテーションなど新年度の行事、来週からはいよいよ授業が始まる。今日はもっぱらその準備、それに加えて、投稿論文改稿中の留学生への執筆指導、新卒論生からのテーマについての相談など忙しい一日となった。

 そんななか、新年度授業の参考にするため、前年度一般教育教養科目「こころの科学」で実施された学生の授業アンケートの結果をながめる。これは、大学審議会答申を先取りする形で、岡大の全学教務委員会が「個々の教師がその結果を、真の学生像の知悉と授業の改善に役立てることを目的」として企画したもの。授業中に各教官が質問アンケートを配る。自由記述欄以外はマークシートに回答され、各講義別に機械的に処理される。実施するかどうかは教官の自主的な判断に任されているが、実際には785科目、のべ回答者数2万8000人にのぼったというから、かなりの教官が実施を希望したものと推測される。

 まず、この図は、各質問項目のうち、私の教え方についての回答分布を図示したもの。但し、質問文は長谷川のほうで簡略化してある。回答は全般に5段階評価となっており、「5」が最も望ましい評価、「4」はこれに準ずる評価、「3」はどちらとも言えない、「2」は、やや望ましくない評価、「1」はもっとも望ましくない評価となっている。一例を挙げれば、「最初にこの講義の説明が十分にありましたか」の問いに対して、「5」は、「説明が十分にあった」、「4」は「どちらかといえばあった」、「3」は「どちらともいえない」、「2」は「どちらかといえばなかった」、「1」は「説明が無かった」となっている。つまり、図の中の青と水色の比率が多ければ、受講生から望ましいとの評価を受けていることになる。但し例外的に、「教官が授業を進めるペースはどうでしたか」という問いについては、「3」が適度となっており、「5」は「速すぎる」、「1」は「遅すぎる」というように番号がふられている(図中、●印で示した部分)。

 次に、この図は、私の授業に対する評価をアンケートが実施された教養科目全体の平均値と比較したものである。上にも述べたように、「教官が授業を進めるペースはどうでしたか」の問いだけは、「3」が適度となっており、数値が多いほど望ましいというわけではない。

 全体を見渡してみると、私の授業は相対的に望ましい評価をうけており、ひとまず合格点をいただいたといってよいだろう。特に、「教官の声、話し方」、「質問への対応」、「教官の熱意」、「授業を受けた結果、この科目に興味をもった」、「この授業を受けたことは意義があった」などの項目で高い評価を受けたことをたいへん嬉しく思っている。そんな中、反省点としては、学生側の理解に対する配慮と、教科書や教材の使い方についてのいっそうの工夫が求められている。新年度の授業で改善していきたいと思っている。

 学生の授業評価については、この科目だけについての絶対評価を重視するか、それとも類似の教養科目の中での相対評価を重視するか、見方が分かれるところだろう。もし相対評価を重視するならば、5段階評価というのはほんらい順序尺度だから、複数科目の平均値をとることにどれほどの意味があるのか、集計方法の改善も必要であるように思う。となると統計的には、中央値(小数点以下は階級幅の按分)を求めるか、標準化や偏差値を算出したほうが妥当ということになってくる(←となると、いずれ、教官の給料が偏差値によって傾斜配分されたり、偏差値の低いキョウヂュがヂョキョウヂュに降格される時代がやってくるかも...)。

 このほか、絶対評価の場合でも、特定項目についての平均評定値が高いか低いかだけではなく、評価のバラツキ(散布度)にも注意を払う必要がある。もっとも小学校の授業とは異なるので、高い評価と低い評価に極端に分かれるような「個性的」な授業が一概に悪いとは言い切れない。また、例えば「授業を進めるペースが速い」と答えた学生が半数にのぼったからといって、直ちにペースダウンすることが望ましいとは一概に言えない。さらに、今回のアンケート結果は授業中に実施されたものであるから、授業に熱心に出席している学生だけが回答することとなり、結果的に好意的な方向に回答傾向が偏る可能性がある。もっとも、サボってばかりいる学生は、授業を聴いていないのだから評価もできるわけが無いんだが...。
【ちょっと思ったこと】
  • このところ西北西の夕空に金星が明るく光っている。2年前の同じ時期にヘールボップ彗星が見えたあたりで大変なつかしい。また、少し遅くなると、東南東の空に、人目で火星と分かる赤い星が現れる。
【新しく知ったこと】
【5LDKKG作業】
  • 昼休みにちょっとだけ雑草取り、ジャガイモの芽かき、エンドウの支柱立て。
【スクラップブック(翌日朝まで、“ ”部分は原文そのまま。他は長谷川による要約。)】