じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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【インドネシアその31】エビの養殖

 ジャワ島北東部の海岸沿いを移動中、エビの養殖施設を何度も見かけた。こちらによれば、インドネシアのエビ養殖には以下のような特徴や課題があるという【要約・改変あり】。。
  • 品種としては特にバナメイエビの養殖に力を入れている。バナメイエビは主に中国、アメリカ、日本に輸出されている。
  • 2021年の農林水産省資料によると、日本のエビ輸入量は15万8714トン。国・地域別の内訳は、インド27%、、ベトナム17%、インドネシア15%、アルゼンチン10%、タイ6%などとなっている。
  • インドネシアからの農林水産物の輸入品目ではエビは天然ゴム、合板に次ぐ3番目に多い輸入品となっている。
  • インドネシアにおけるエビ養殖は通常淡水と海水が混ざり合う汽水域と呼ばれる地域で盛んに行われているが、汽水域にはマングローブが生い茂っており、エビの養殖池を設置するために大量のマングローブが伐採されてきた。また、エビの養殖に使用される人工飼料などが水質汚染を引き起こす原因になっていることが問題視されてきた。こうした問題に対して、海洋水産大臣は新たなマングローブ林の伐採を禁じる方針を打ち出し、将来的には植林を拡大していく方針を表明している。


2025年07月30日(水)



【小さな話題】虚数だけの世界は存在するか?(2)「3乗すると−iになる数」

 少し間が空いてしまったが、7月25日に続いて、

実数世界は虚数の世界を想定しなくても存在する一方、虚数世界は実数世界無しでは存在し得ない(もしくは、虚数だけの閉じた世界を作れない)

について考察する。

 さて、上記の命題に関しては

そもそも虚数を「2乗すると負の数になる数」として定義する限りは、虚数より前に実数である「負の数」が定義されていなければならない。なので実数世界無しで定義することはできないのではないか?

と当然指摘されるだろう。そこで、「2乗すると負の数になる数」ではなく、

「3乗すると−iになる数」すなわち、i3=−i

として定義したらどうか考えてみた。しかしChatGPTに提案したところ、以下の理由で却下されてしまった【一部制御文字を改変。「i」は「i」のままとした。】。

この発想は非常に面白く、「虚数を定義するために実数(特に -1)に依存せず、虚数だけで構築できないか」という問題意識は本質的な問いです。
ではご提案の「3乗すると -i になる数を i とする」というアイデアについて、順を追って正確に検討してみましょう。

## ? 結論(先に答え)
**残念ながら、「3乗して -i になる数を i と定義する」方法では、虚数だけを使った定義にはなりません。**
なぜなら、その定義の中にすでに「-i」という 未定義の虚数 が含まれており、循環定義(ループ定義) になってしまうからです。

## ?? 検討と分析
  • ### ?? 通常の定義の構造
    通常は:
    • * 実数 -1 が定義済み
    • * そのうえで「x^2 = -1 を満たす数」を「i」と定義する
    • * ⇒ i^2 = -1 を満たす新たな数として i を導入する
    この定義では、**i はまだ存在しない**前提で導入されます。
    それに対して…
  • ### ?? ご提案の定義:「x^3 = -i となる x を i とする」
    この定義には問題があります:
    1. **「-i」という表現自体がすでに i を使っている**
      * つまり「i を定義するために i を使っている」
      * ⇒ **循環定義(循環論法)になってしまう**
    2. **代数的に意味が通らない**
      * 「x^3 = -i」を満たす数があったとして、それを i とすると:

      i^3 = -i
      i^4 = -1  【←+1では?】
      i^2 = √-1

      というように、やはり **\$i^2 = -1\$ に戻ってしまう**
      * ⇒ 結局、**「2乗して -1」からは逃れられていない**


 なるほど、「x^3 = -i となる x を i とする」という「定義」が循環定義になっていることはよく分かった。さすがAIの指摘は鋭い。しかし、

●「○○」を定義するために「○○」を定義する

ということに関しては、「○○」や「××」が未定義であったとしても、

●「○○」と「××」を両者の関係に基づいて同時に定義する

ことは可能ではないだろうか。もともと数学の概念や定理は純粋な関係性とそこからの論理的推論と無矛盾性によって体系化されたものではなかったのか?

 数学以外でも例えば、

●ある種の生物たちが存在する。その中で全体が細長いものをA、一部が細長いものをB、全体が丸いものをCと定義する。

というように形状に基づいて分類した上で、A、B、Cそれぞれの運動特性についての理論を打ち立てることができるように思う。この場合、A、B、Cが原生動物かもしれないし、Aはヘビ、Bはゾウ、Cはカバなのかもしれない。あるいは想像上の妖怪の分類であっても構わないはずだ。

 でもって元の話題に戻るが、「x^3 = -i となる x を i とする」という「定義」が循環定義に陥らないようにするには、まず、虚数の中にZが存在すると仮定し、

●あらゆる虚数aiに対して、ai+z=aiとなるような虚数zが存在する

というようにzを定義する。このzは実数のゼロと同じ意味になるが、ここでは「虚数を先に定義して、その後から実数を定義する」という趣旨なので、zは虚数でなければならない。もちろん、
  • 虚数世界が複素数世界に拡張された時にzを実数としないと矛盾が生じる
  • あるいは、実数の0と虚数のzが別物であるとすると矛盾が生じる
と言った矛盾が確認されれば「zは虚数」を取り下げなければならなくなるが。

元の話題に戻るが、「虚数z」が存在すると仮定した上で、

●あらゆる虚数aiに対して「ai+bi=z」となるような「bi」を「−ai」とする。

と定めればマイナスの虚数は定義可能。それによって、

●「x^3 = -i となる x を i とする」

という定義の循環性を回避できるのではないかと思われる。




とはいえ、2番目の「代数的に意味が通らない」という指摘には反論が難しい。というか、そもそもイコールで結ばれる等式が何かということから出発し、

●ある等式の両辺にいかなる数をかけても等式は成り立つ

を保持しないと「豊かな数学」にはなりにくい。ここでまた「かける=乗法」をどう定義するのかという問題があるがここではとりあえずそれにはふれず、

●任意のn、m、kに対して、n=mが成り立つならばnk=mk

を保持しようとするとどうなるかを考えてみる。そうするとAIの指摘にあったように、「x^3 = -i となる x を i とする」という定義からは、両辺にiをかけた「x^4 = -i×i」が成り立つ。ここで「-i×i」が何になるのかだが、「-i×i=-(i2)=-1×(-1)=1としてしまうとこの時点で実数が出現してしまうことになる。つまりiの定義とセットにして実数の存在を認めていることになる。もちろん「-i×i」は存在しない、というか純粋虚数の世界では乗法は成り立たない(=実数世界で0による除算を認めないようなもの)として数学を作ることも可能ではあろうが、そこから実数世界の数学以上に豊かな数学が生まれるとは考えにくい。




 なおChatGPTからは以下のような代替のアプローチを教えていただいた【制御文字を一部改変。


### ? 可能な代替:「複素数全体を一次的に定義する」

たとえば次のように定義:
  1. 数の集合Cを以下のように定義:
    C:= { (a, b)|a, b ∈ R
  2. 加法:(a, b) + (c, d) = (a+c, b+d)
    乗法:(a, b)(c, d) = (ac - bd, ad + bc)
  3. 単位元 (1, 0)、虚数単位を(0,1)と置く ⇒ (0,1)^2 = (-1, 0)
このようにすると、i は (0,1)と定義できる**ので、「2乗して -1」を条件にしなくても i を代数的に構築できます。
ただしここでも、**実数(a, b)を前提にしている**ので、本質的には実数に依存しています。

## ? より抽象的には…
もし**実数さえ使いたくない**という前提なら、たとえば以下のような構築が可能です:
  • * **抽象的な体 \$F\$ 上の拡大体**として \$\mathbb{C} = F\[x]/(x^2 + 1)\$ を定義する
  • このとき「\$x^2 + 1 = 0\$」を満たす \$x\$ を \$i\$ とする
これは**任意の体**ででき、たとえば有理数体 \$\mathbb{Q}\$ や有限体上でも構築可能です。
ただし、やはり **\$x^2 = -1\$ を満たす元**という構造を使っているので、**「-1」を含む体が必要**です。

## ? まとめ
| 試み | 結果 | 問題点 |
| ------------------- | -- | ----------------------- |
| 「\$i^3 = -i\$」で定義 | ? | 循環定義になる |
| 複素数を \$(a, b)\$ で定義 | ? | ただし実数には依存する |
| 抽象代数的な拡大体として定義 | ? | やはり「\$x^2 + 1 = 0\$」は必要 |

## ?? 哲学的視点
虚数は**実数という秩序の中に現れる“異物”ではなく、実数との対称性の中で定義されるもの**です。
完全に実数に依存せずに虚数だけで世界を構築しようとすると、どうしても何らかの\*\*基準的スカラー(実数的なもの)\*\*が必要になります。


ということで、あくまで私の素人的な理解であるが、
  • 実数世界と完全に独立し対称性のあるようなパラレルワールドとしての虚数世界は作れない(作っても有用性がない)。
  • 虚数世界が実数世界無しに存在し得ないのは、「2乗してマイナス1になる数」というiの定義に実数の「マイナス1」が含まれているため。これを解消するには、「0で割った数をjとする」といった別の「虚数」か、四元数のような拡張を考える必要がある。

 なお、過去の関連記事として以下がある。

 あと、ネットで「虚数だけの世界」を検索したところ、こちらに、
エントロピー増大の法則っていうのは、エントロピーが指数関数的に単調に増大して行くということを主張している法則です。指数関数的に単調に増大する場合の振動数は必ず純虚数です。今のところ、我々の宇宙でエントロピー増大の法則に反する現象は見つかっていません。ですから、我々はエントロピーの時間変化を記述する振動数が純虚数だけでできている世界に住んでいるようです。
という投稿があったが、高校2年の時に物理学の選択を断念した私にはどういう意味なのかは理解に達しなかった。