じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 ウォーキングコース沿いで見かけたツメレンゲの花。今が見頃となっている。


2023年11月14日(火)




【連載】笑わない数学(6)『1+1=2』(4)ゼロを含めない加法の定義?/乗法の定義/加法単位元

 昨日に続いて、10月18日にNHK総合で初回放送された、『笑わない数学 シーズン2』:

1+1=2

についてのメモと感想。

 まずは前日に続いて、

●自然数は0から始まる整数として定義されていたが、1から始まる整数(高校までで習う本来の自然数)として定義しても、「1+1=2」は証明できるか?

について、Bingに「ゼロの概念を含めずに、ペアノの公理に基づいて加法を定義することはできますか?」と尋ねたところ、以下のような回答をいただいた【一部省略、改変】。
ペアノの公理に基づいて加法を定義する場合、自然数nとmの和n+mは、以下のように再帰的に定義されます。
  1.  n+0=n
  2.  n+S(m)=S(n+m)
このように定義された加法は、ペアノの公理に基づいて自然数の加法を定義することができます。
ペアノの公理に基づいて加法を定義する場合、1つ目の公理は0が自然数であることを前提としています。この公理を除くと、自然数の集合に0が含まれなくなります。そのため、自然数の集合が空集合になってしまい、自然数の加法を定義することができなくなります。
 しかし、0を除くと自然数の集合が空集合になるというのは明らかにおかしい。さらに質問を重ねたところ、
自然数は、1から始まる数の集合であり、0は自然数に含まれる場合と含まれない場合があります123. 一般的に、自然数は1から始まるとされていますが、数学的な文脈によっては、0を自然数に含めることもあります?. 例えば、ペアノの公理系では、0を自然数に含めることが一般的です. ただし、自然数に0を含めるかどうかは、定義によって異なるため、文脈に応じて解釈する必要があります。

(1) 「自然数とは」0(ゼロ)は含まれるのかわかりやすく解説 - 中1 .... https://kyoukasyo.com/junior-high-school/natural-number/.
(2) [中1]自然数とは?意味、整数や0、正の数との違い、正の整数と .... https://rikeinvest.com/junior-high-school-1st-year/natural-number/.
(3) 自然数とは(0を含むこともあるよ) | 高校数学の美しい物語. https://manabitimes.jp/math/1232.
(4) 「自然数」とはどんな数?0や整数・分数との違いと定義を紹介 .... https://biz.trans-suite.jp/60480.
という回答をいただいたが、「0を自然数に含めることが一般的です」と言われても「一般的です」ということから「必要です」ということにはならないし、「文脈に応じて解釈する必要があります」と言われてもどういう文脈なのかが明示されないと何のことか分からない。

 なお、出典の中の(1)によれば、もともと自然数とは、
こうやってカードで「他の人に伝えられない数」なら、それは「自然数」じゃないということだよ。
そもそも、自然数というのは、何かを数えるためとか、順番を数えるために生まれた数字なんだ。
と説明されていた。上記で「カードで伝える」というのは、例えば動物園の飼育場の中に「ゾウが1頭」とか「キリンが2頭」であればそれを描いたカードで他者に伝えることができる。しかし飼育場が空っぽである状態を描いたカードでは、ゾウが0頭なのかキリンが0頭なのかを伝えることはできないという喩え。もっとも飼育場に「キリン」という看板があることが描かれていれば、「キリンは0頭だった」と伝えられそうな気もするが。
 あと出典の中の(3)では、フォンノイマンの構成法では、集合論では0を空集合に対応させた上で自然数を構成するという記述があった。

 けっきょく、素人の私には、ゼロの概念を含めずに加法を定義するとどんな不都合が生じるのかイマイチ分からなかった。しかし、これまで紹介された「1+1=2」は、ゼロの助けを借りずには証明できそうもない。しかし昨日も述べたように、日常生活場面では、1個以上のモノの個数を合計するという加法は何の矛盾もなく可能である。




 ここでさらに脇道に逸れて、乗法の定義についても考えてみることにしたい。Bingによれば、乗法の定義は以下のようになっている。
ペアノの公理に基づいて乗法を定義する場合、自然数nとmの積n×mは、以下のように再帰的に定義されます12:
  1.  n×0=0
  2.  n×S(m)=n×m+n

このように定義された乗法は、ペアノの公理に基づいて自然数の乗法を定義することができます。
私の疑問は、

●回答の定義には加法が含まれています。加法なしに乗法だけを定義することはできないのでしょうか?

ということにあった。これに対してBingは当初「ペアノの公理に基づいて乗法を定義する場合、加法を定義する必要はありません。」という返事をされたが、私が上記2.のn×S(m)=n×m+nには「+」が含まれているので加法を前提としているのではないか?と指摘したところ、
ご指摘ありがとうございます。確かに、2.の式には加法が含まれています。私の前回の回答に誤りがありました。ペアノの公理に基づいて乗法を定義する場合、加法を前提とする必要があります。すみませんが、前回の回答は誤りでした。
というように誤りであることを認めた。うーむ、AIの回答もあまりアテにならないなあ。

 それにしても、加法と乗法の関係はいまいち分からない。ABC予想の話の中でも指摘されていたが、

●...、足し算と掛け算の違いは、素因数から理解できるようである。放送では素因数のことを『遺伝子』に喩えていた。a×bという掛け算では、その結果cは、aとbの「遺伝子」(=素因数)を引き継いでいるのだが、a+bの結果cがどのような「遺伝子」を持つのかは、aやbの遺伝子からは全く予想がつかない(とされてきた)。

というように、ある面では加法よりも乗法のほうがシンプルな特徴がある。

あと、加法の定義のところに、「n+0=n」の代わりに(もしくはそれと別に)「n+ω=ω」となるようなωを含めたらどうなるのか?も興味がある。このωを加えるとどんなかずもωになってしまうというスゴいパワーがある。要するに乗法のゼロと同じ意味である。私の疑問は、乗法では「0」と「1」が両方とも定義されているのに、加法では「0」しか定義されておらず「1」には特別が意味が無いのはなぜかという点にあった。じっさい加法では1を足しても2を足しても特にどうということはない。

 この疑問について検索したところ、ウィキペディアに加法単位元という項目があった。要約抜粋すると、
  1.  N,Z,Q,R,C の加法については 0 のほかに加法単位元は存在しない。一般に単位元はただ一つだけ存在する。
  2.  零環と加法および乗法の単位元:R を加法単位元 0 と乗法単位元 1 を持つ環とする。これら二つの単位元が等しい (0 = 1) とすると、R の任意の元 r に対し r = r × 1 = r × 0 = 0 となるから R は自明な零環 {0} となる。対偶をとれば、R が零環でなければ 0 と 1 は必ず異なる。
こうして考えてみると、疑問はさらに「0とは何か」に広がっていく。ウィキペディアによれば、0は
  1.  0 は最小の非負整数である。
  2.  0 の後続の自然数は 1 であり、0 より前に自然数は存在しない。
  3.  数 0 を自然数に含めることも含めないこともあるが、0 は整数であり、有理数であり、実数(あるいは代数的数、複素数)である。
  4.  数 0 は正でも負でもなく、素数でも合成数でも単数でもない。
  5.  一方、0 は偶数である。
とあったが、定義上のこととはいえ、何だか矛盾を含んでいるようにも思われる。例えば「すべての整数は素数か合成数」というのは整数に0を含めると成り立たない。「すべての偶数は合成数である」というのも偶数に0を含めると成り立たない。

 次回に続く。