じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 北九州市の槻田川と板櫃川合流付近に「ポイ捨てを 街からなくそう 犬の糞」という看板がある。なぜ「犬の糞」という言葉が使われているのか、以前から疑問に思っていた。最近のAIの解釈力にめざましい発展があることからCopilotに尋ねてみたところ、以下の回答をいただいた。
この看板の「犬の糞」という言葉は、視覚的・感覚的に強い印象を与える表現ですね。いくつかの効果を狙っている可能性があります。
  1. **具体性と即時の注意喚起**
    「ポイ捨てをなくそう」だけでは、漠然とした呼びかけになりがちですが、「犬の糞」と明示することで、より具体的な問題に意識を向けさせる効果があります。ゴミ全般ではなく、特に街の衛生環境に影響を与えるものとして犬の糞に焦点を当てているのかもしれません。
  2. **不快感を利用した抑止効果**
    犬の糞は視覚的・嗅覚的に不快なものとして認識されやすく、日常生活において直接的な不便をもたらします。ポイ捨てと結びつけることで、「ポイ捨ての影響はこれほど不快なものなのだ」という強いメッセージを発信し、行動を改めさせる狙いがある可能性があります。
  3. **ターゲットの明確化**
    一般的なポイ捨て問題だけでなく、特にペットの飼い主への注意喚起を強める意図があるかもしれません。ペットの排泄物の処理を怠ることは、社会的マナーの問題としても重要視されるため、意識を高めることを目的としている可能性もあります。
このような表現の選び方は、文化的な側面もありそうですね。日本の公共看板には、時折ユーモアやインパクトを持たせることで印象に残りやすくする工夫が見られます。この看板も、その一例かもしれません。

あなたはどう感じましたか?この表現がどんな心理的効果を生み出していると思いますか?


2025年04月28日(月)




【連載】チコちゃんに叱られる! 「暗証番号はなぜ4桁?」

 昨日に続いて、4月25日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。

 本日は、
  1. 首をかしげるとかわいく見えるのはなぜ?
  2. 暗証番号が4桁なのはなぜ?
  3. 消しゴムが紙のケースに入っているのはなぜ?

という話題のうち2.について考察する。

 ここでいう暗証番号とは、銀行ATMでお金を引き出す時、クレジットカード決済をする時、マイナカードで保険証機能を使用する時などに使用する4桁の暗証番号のことである。

 放送では「ジョンさんの奥さんが覚えられなかったから」が正解であると説明された。情報セキュリティに詳しい上原哲太郎さん(立命館大学)&ナレーションによる解説は以下の通り【敬称略。要約・改変あり】。
  1. 暗証番号が広まったのは銀行のATM誕生がきっかけ。
  2. 世界初のATMは1967年、イギリスの発明家ジョン・シェパードバロンによって作られた。
  3. ジョン・シェパードバロンはイギリスの大手印刷会社で機械の開発に携わるなどアイデアマンとして知られていた。
  4. 当時のイギリスでは銀行に預けてある現金を窓口で数ポンドずつこまめにおろして使うのが一般的だった。そのため当時のイギリスでは日本のコンビニのように銀行窓口が至るところにあった。
  5. しかし日曜日になると銀行が休みになるため、週末には少し多めに現金を引き出して休日を過ごすという人も少なくなかった。
  6. ジョンがある週末に銀行に行くと、すでに窓口が閉まっていた。休日を過ごすためのお金を引き出せなかったジョンは、もっと簡単にお金を引き出せる方法はないかと考えるようになった。そこで思いついたのがお金の自動販売機だった。
  7. 1960年代のイギリスではさまざまな自動販売機が誕生していた。ジョンは、その中のチョコバーの自動販売機なら現金に置き換えられると考えた。
  8. ジョンはさっそくイギリス大手のバークレイズ銀行の知り合いに相談したところ話はとんとん拍子で進んだ。ジョンの提案が前向きに受け入れられた背景には、当時のイギリスの銀行の事情があった。1930年頃から、イギリスでは週休2日制の導入が始まっていた。当時のイギリスの銀行は土曜日まで営業していたが密かに週休2日制を検討していた。もともと土曜日の窓口営業は利用者が多かったが、週休2日制になると業務が前倒しになり金曜日の負担が増えてしまう。そこで窓口を介さずにお金を引き出せるジョンのアイデアは週休2日制導入を検討していた銀行がまさに求めていたシステムだった。
  9. ジョンの考えたATMは今のようなキャッシュカードではなく、専用の小切手を使用するものだった。小切手の紙は微量の放射性物質を含ませており、それによってATM専用の小切手であることを識別した。
  10. このATM専用の小切手は10ポンドを引き出せるものだった。当時の10ポンドは約1万円の価値があり、週末を過ごすのには充分だった。
  11. しかし小切手を挿入するだけでは誰でもお金を引き出し放題になってしまう。そこでジョンは、個人の暗証番号を照合させるというアイデアを考えた。

 ということでとりあえず暗証番号導入の経緯が分かった。続いてなぜそれが4桁になったのかが解説された。
  1. ジョンが最初に考えたのは6桁だった。
  2. ジョンは第二次世界大戦中、イギリス陸軍に所属していた。その時には6桁の認識番号を覚えていた。その番号を20年以上経っても忘れなかったことから、6桁の数字なら記憶できるだろうと考えた。こうして1967年、世界初のATMが誕生。
  3. ATMには1と2のトレーがあり、手前に10個の数字を選ぶボタンがある。1のトレーに専用小切手を入れて、ボタンで暗証番号を押すと、2のトレーから1ポンド10枚の札束が出てくるというもので『キャッシュディスペンサー』と呼ばれ、現金の引き出しのみの機能があった。
  4. 日本でも1970年に輸入され、小切手と6桁の暗証番号により利用できるようになった。
  5. ジョンが奥さんと一緒に食事をしている時、「私は4桁までしか覚えられないわ」と言われた。当時の6桁の暗証番号は、利用者が自分で設定したものではなく銀行側によって与えられたものだったため覚えにくかった。この言葉をきっかけに6桁から4桁に見直しされた。
  6. 1969年、イギリスの銀行に週休2日制が完全導入され、キャッシュディスペンサーは爆発的に増えた。
  7. 今ではイギリスを含む欧米や日本でも4桁の暗証番号が主流になっている。但し機種によるが、中国やインドネシアでは6桁、イタリアでは5桁が主流。

 放送ではさらに暗証番号が4桁の数字であることの安全性について解説された。
  • ATMのカードは本人が持っているということでまずセキュリティーがかかっている。
  • 暗証番号は本人が頭で記憶しているので二要素認証のセキュリティーがかかっている。
  • 銀行のシステムでは暗証番号を3回連続で間違えると利用停止になり、窓口で本人確認が必要になる。
但し、覚えやすいからといって誕生日などを暗証番号に設定するのは危険。4桁の暗証番号は0000から9999までの1万通りであるが、誕生日に設定すると1年が365日であるゆえ(閏年を入れれば366日)、暗証番号の組合せもたったの365通りになってしまい偶然当たってしまう確率が増える。
 なお、当時のイギリスではATMの開発が盛んであり、スコットランドのジェームズ・グッドフェローはジョン・シェパードバロンより先に暗証番号の特許を取得しており、のちにジョンさんと同様に勲章を受けたと補足説明された。




 ここからは私の感想・考察を述べる。

 まず、補足説明にあった、ATM暗証番号の発明者についてはジョン・シェパードバロンの項目により詳細な説明があった。要約すると以下のようになる。なお放送では「ジョン」と呼ばれていたが、以下の記述では「シェパード=バロン」となっている。
  1. 1960年代にデ・ラ・ルー・インスツルメンツに入社し、いつでも紙幣をおろせるセルフサービスの機械を思いついた。これが現金自動預け払い機(ATM)である。
  2. シェパード=バロンはBBCに対して、チョコレートの自動販売機を見てATMを思いついたと述べている。
  3. この発明については若干の異論も今なお存在する。ジェームズ・グッドフェローは暗証番号技術を発明し、それを使った異なる設計のATMを開発した。こちらの方がシェパード=バロンのものより現代のATMに近い。
  4. シェパード=バロンは銀行に行くのに遅れて引き出しができず、風呂に入っていたときにATMを思いついたという。しかし重要な点は実際に設置された最初のATMがシェパード=バロンのものだったという点である。
  5. シェパード=バロンのATMは磁気ストライプカードが登場する以前のもので、炭素14という放射性物質を染み込ませた特殊な小切手を機械に読み込ませ、キーパッドから暗証番号を入力して小切手上の情報と一致させる方式だった。当初暗証番号は6桁を想定していたが、妻の助言により4桁に変更された。
  6. シェパード=バロンはATM以外にもいくつか発明しているが、あまり成功していない。例えば、鮭の養魚場にアザラシが侵入するのを阻止するため、シャチの鳴き声を流すといった発明である。


 ここで脇道にそれるが、ジョン・シェパードバロンの姓が「Shepherd-Barron」というようにハイフンで結ばれていることについてCopilotに尋ねたところ、以下のような回答をいただいた。
イギリスでは、ハイフンで結ばれた姓(ダブルバレル姓)は比較的一般的で、いくつかの理由で使われます。John Adrian Shepherd-Barronの場合、彼の父の姓が「Barron」、母の姓が「Shepherd」だったため、両方の姓を組み合わせた「Shepherd-Barron」という形になったようです。
ダブルバレル姓は、特に貴族や上流階級の家系で見られることが多く、家名を保持するために使われることがあります。また、結婚の際に夫婦がそれぞれの姓を残したい場合にも採用されることがあります。イギリスでは伝統的にこのような姓の形が受け入れられており、特に歴史ある家系ではよく見られます。
このような姓の文化は、日本の姓の継承とは異なる点が多く、興味深いですね。もし他にもイギリスの姓文化について気になることがあれば、ぜひ聞いてください。


 もとの話題に戻るが、誕生当時のATMで気になったのは、「炭素14という放射性物質を染み込ませた特殊な小切手を機械に読み込ませていた」という点である。この放射性物質は人体に影響が無かったのだろうか。この点についてもCopilotに尋ねたところ、以下のような回答をいただいた。
炭素14(C-14)は低エネルギーのベータ放射体であり、外部被曝の危険性は非常に低いとされています。この放射線は皮膚の表面をほとんど通過せず、人体への影響は主に内部被曝(吸入や摂取)によるものです。しかし、最初のATMで使用された小切手に含まれる炭素14の量は極めて微量であり、通常の使用では人体に影響を及ぼすレベルではなかったと考えられます。
実際、ATMの発明者であるJohn Shepherd-Barronは「136,000枚の小切手を食べない限り影響はない」と冗談交じりに語っていたそうです。このことからも、当時の技術者たちは安全性を十分に考慮していたことがうかがえます。
放射性物質を利用した初期のATMの仕組みは興味深いですね。もし関連する技術や歴史についてさらに知りたいことがあれば、ぜひ聞いてください。
 ちなみに、誕生当時のATMは今のようにオンラインでは稼動しておらず、暗証番号の照合はローカルに行われていたと思われる。であるとすると、「特殊な小切手」のとこかには暗証番号を暗号化した文字列などが記載されていて、その文字列と入力された暗証番号が照合されたと推測される。このことについてのセキュリティ上の問題が無かったのかどうかは不明だが、一回あたり10ポンド程度の出金であれば、多額の現金が引き出されるような犯罪には至らなかったのかもしれない。

 次にATMの日本での利用だが、私自身がATMを利用するようになったのは大学に入学した1971年以降のことになる。入学当初は郵便局の窓口を利用しており、いつ頃から銀行のATMを使い始めたのかは記憶にない。

 今回の放送では、ATM自体ではなく、使用される暗証番号の桁数が取り上げられていた。このことに関連するが、かつて、クイズ番組などで電話番号の市内局番がなぜ7桁以内なのかという話題が取り上げられたことがあった。正解は確か、「8桁以上にするとかけ間違いが急増するから」であり、その根拠としては『マジカルナンバー7』がしばしば引用されていた。もっとも、今の時代では携帯電話の番号は11桁になってしまって記憶困難になってしまった。じっさい、私が記憶できているのは自分の携帯と妻の携帯の番号のみ。しかも以前、公衆電話から妻の携帯に電話した時には番号を間違えており、留守電あてに何度か電話をかけたところ知らない女の人につながり怒鳴られたことがあった。このほか車のナンバーとか、自宅の固定電話の番号なども、何度か変更されたこともあって思い出せないことがある【紙に書く時には思い出せるが、電話中に固定電話の番号を教えてくださいなどと言われると間違えることがある。

 いっぽう、若い頃に覚えた(固定)電話番号は忘れたくても忘れられず、脳にこびりついている。今でも覚えているのは、生家、最初の下宿、妻の実家、研究室の直通電話などの番号。

 次回に続く。