じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 各所で紅葉が見頃となってきたが、この時期、半田山植物園では十月桜が見頃となっており、紅葉と同時にお花見を楽しむことができる。


2023年11月12日(日)




【連載】チコちゃんに叱られる! 「静岡はサッカー王国」「緊張すると尿意」「大昔の休電日と定休日の関係」

 11月10日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。今回は以下の3つの話題が取り上げられた。
  1. 静岡県はなぜサッカー王国?
  2. 緊張するとなぜトイレに行きたくなる?
  3. 美容院や床屋さんが月・火に休みが多いのはなぜ?
 もっとも、個人的にはあまり興味を持てる内容ではなかった。1.と3.は、チコちゃんの番組では時たま取り上げられる「過去の習慣や先人たちの努力が今に繋がっている」というスタイルをとっていたが、何度か指摘しているように、「由来はどうあれ、いまの原因はいまの世界の中から探すべきではないか」という気がした。バラエティ番組だから面白ければエエじゃないかと割り切って受け流す方もおられるとは思うが、過去の出来事の一部を現在の現象に過剰に結びつけることは真の因果関係の理解を損ね、対象によっては、結果的に予測や対策を誤らせる恐れがあるように思われた。

 さて、まず1.のサッカーの話題だが、そもそも静岡県がサッカー王国であるということは今回初めて知った。放送によれば、
  • サッカーワールドカップ(男子)日本代表の出身県Top5は、静岡県が17人、神奈川県が14人、大阪府9人、兵庫県6人、東京都5人、となっていて静岡がダントツで多い。
  • 都道府県別サッカーファン率Top5は、静岡県が32.9%、山梨県が32.0%、佐賀県が31.9%、大分県が30.8%、長崎県が30.1%、となっていて静岡県が一番多い【『スポーツ・サステナビリティ白書 2022』による】。
というように静岡でサッカーが根付いているというデータは確かにあるようだ。

 放送によれば、東京高等師範学校出身で1924年に新設の志太中学校(現在の藤枝東高校)の校長となった錦織兵三郎さんが校技として全校生徒にサッカーをやらせ、創部5年で全国制覇を達成した。1964年には日本初となるサッカースポーツ少年団が誕生。1967年には清水市で日本初の小学生リーグが誕生。また志太中学校はその後藤枝東高校となり国体・インターハイ・冬の選手権すべてで優勝し史上初の高校サッカー三冠を達成した。さらにその他の静岡県勢も大活躍しいつしか静岡県はサッカー王国と呼ばれるようになったという。

 放送では「錦織校長が全校生徒にサッカーをやらせたから」が正解であると説明された。確かに錦織さんがサッカー王国の礎を築いた偉大な先人であることは確かだろうが、それだけで現在に至るまで「王国」が続いているとは考えにくい。例えば、子どもたちが気軽にサッカーで遊べるような広い場がどれだけあるか、地元に強いチーム【←サッカーの場合は「クラブ」と言うらしい】がどれだけあり気軽に観戦できるかどうか、プロ野球などの別のスポーツとどの程度競合しているか、などが各県のサッカー人気に影響を及ぼしているものと思われる。




 2.の「緊張するとトイレに行きたくなる理由」は、放送では「神経が戦闘モードになるから」であると説明された。
 近藤幸尋さん(日本医科大学)によれば、人は緊張状態になると神経が研ぎ澄まされ体の異変にすぐ対応しようと戦闘モードに入る。これに伴い、膀胱の神経も敏感になりおしっこがたまったと勘違いし脳に誤った信号を送ってしまうことでトイレに行きたくなる、ということであった。緊張することで膀胱が収縮するせいではないかと思ったが、筋肉ではなく神経に関連した現象であるようだ。
 イマイチ分からなかった点としては、まず、緊張で尿意をもよおすという現象があるなら、同じ頻度で便意をもよおす可能性があるのではないかということ。もちろん大腸の弱い人ではそういうこともあるとは思うが、普通は尿意のほうが多いように思われた。
 もう1つ、緊張して尿意をもよおすのとは反対に、極度の緊張あるいは恐怖のもとでは尿意自体が消えてしまうことがあるように思うが実際はどうか?




 最後の3.の「美容院・床屋さんが月・火に休みが多い理由」について、橋爪紳也さん(大阪公立大学)は、

●お客さんが多い土日に営業して平日を休みにするという理由もあるが、一番の理由は「月・火に電気がお休みだったから。

と説明された。1939年の夏とその翌年の冬、雨が降らずダムが干上がり水力発電がストップした。またそれを補う火力発電も燃料の石炭不足だった。さらに日中戦争真っ只中で軍需工場の電気を優先するため、「休電日」が定められた。当時流行していたパーマをかける電髪機は電極が24本もあり電力を多く消費したため理容業界も休電日に協力せざるを得なかった。戦後に電気の供給が安定したが休電日の名残で月・火が休みの店が多くなった。床屋さんは昭和初期まで毎月7がつく日(7日、17日、27日)に休みが多かった。諸説あるが、その理由は日本初の床屋さんといわれる藤原采女亮(うねめのすけ)の命日7月17日にちなむといわれている。
 ここからは私の感想・考察になるが、過去に「休電日」があったとはいえ今から80年以上前の一時期のこと。休電日が存在しない現在にその慣行が維持されているとは考えにくい。やはり一番の理由は、

●お客さんが多い土日に長時間働いてくたびれたためその翌日に休みをとるため。

ということになるのではないか。ちなみに、私がよく利用するQBハウスは年始を除き原則無休となっている(但し商業施設内店舗はその施設の休館日に準じる)。先月初めて利用したプラージュも年始を除いて年中無休。
 なお、私のウォーキングコース沿いや近隣には何軒か理髪店があるが、通り過ぎながら店内を覗いてみるとたいがいはお客さんは一人も入っていなかった。格安床屋チェーンの出現で個人営業の理髪店は苦境に立たされているようにも懸念されるが、気の毒ではあるものの、物価高のおり理髪料金は可能な限り低く抑えたいという気もする。
 このほかの意見・感想は以下の通り。
  • 月・火に休業するお店は美容院・床屋さんばかりではない。それらがすべてかつての「休電日」の慣行を引きずっているとは考えにくい。
  • なお、月曜日ではなく火曜日を定休日にする店があるのは、月曜日は振替休日になることが多いためと考えられる。お客さんの多い振替休日を休みにするのは勿体ないし、また振替休日があるたびに休業日をいちいちずらすというのも混乱をきたす可能性がある。
  • 飲食店で月曜ではなく火曜日に休業する店があるのは、土日でさばききれなかった食材を月曜日に調整するためという俗説があるが、冷蔵・冷凍設備が充実している現在、その可能性は低い。
  • 開業医はたいがい、水曜午後か木曜午後を休診日にしている。
  • 半田山植物園の休園日は火曜日。

 いずれ週休3日制が本格実施されれば定休日の設定も変わることになるだろう。