じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 1月31日の早朝はよく晴れ、南東の空に輝いている水星を眺めることができた。 水星は1月30日の14時54分に西方最大離角となっている。明るさはマイナス0.1等。離角は24°.9。
 いっぽう同じ時間帯、北の空を双眼鏡で探索したところ、ズィーティーエフ彗星(ZTF彗星、C/2022 E3)と思われるぼんやりした光を確認することができた。ヘール・ボップ彗星に比べれば暗すぎて迫力に欠けるが、惑星の引力の影響で放物線にごく近い双曲線軌道に変化しているため二度と帰ってこないということなので静かに見守ることにしたい。なお1月31日は、月と火星が接近する様子も見られる。


2023年1月31日(火)



【連載】ChatGPTの親近感とデタラメ度(9)意地悪クイズ「ミルクを逆さに」と「あり得ない直角三角形」にどう答える?

 1月30日に続いて、ChatGPTの話題。

 今回はChatGPTに、引っかけクイズを出してみた。

 まずは、ツイッターでたまたま見かけたなぞなぞ:

以下のなぞなぞの答えを教えてください。「トマトは逆さまにしてもトマト。では、ミルクを逆さまにするとどうなる?」

 AIの答えはまことに素直であった。以下、やりとりを記す。
  • 【AI】答え:Milk (ミルク)
  • なぜでしょうか?
  • 【AI】なぜなら、「トマトは逆さまにしてもトマト」というフレーズは「物が正しい向き・不正な向きになっても変わらない」ということを表しています。一方、「ミルクを逆さまにすると」という状況になった場合、ミルクは出ます。このため、「ミルク」が答えとなります。
  • このなぞなぞの答えとして(1)〜(5)は正解になりますか?
    (1)クルミ
    (2)こぼれる
    (3)コップに入っていた場合はこぼれるが、瓶に入っていて栓が閉まっていればこぼれない。
    (4)ミルク自体は液体であり上下がないので、そもそも逆さまにできない。
    (5)一週間後には腐って分解される。
  • 【AI】正解:(2)こぼれる
  • (1)は、日本語で文字を逆にした結果です。「トマト」という文字を逆に読むと「トマト」ですが、「ミルク」は「クルミ」となります。これで正解にはなりませんか?
  • 【AI】(1)クルミは正解になりません。このなぞなぞは「物が正しい向き・不正な向きになっても変わらない」という意味で「トマト」を例に出していますが、「ミルク」は実際に逆さまにすることで変化する物質であるため、「こぼれる」が答えとなります。
  • (3)はなぜ不正解になるのでしょうか?
  • 【AI】(3)は不正解になる理由は、「ミルクを逆さまにするとどうなる?」という問題に対する単純な回答を求められていますが、(3)は複雑な状況や容器によってミルクがこぼれるかどうかが変わることを記述しています。このため、問題の意図に沿った単純な答えが求められているところに対して不適切な答えとなります。
  • (4)と(5)はなぜ不正解になるのでしょうか?
  • 【AI】(4)と(5)は不正解になる理由は、「ミルクを逆さまにするとどうなる?」という問題に対して、ミルク自体の性質や時間的な変化に関する情報を提供していますが、問題の意図に沿った瞬間的な回答を求められているところに対して不適切な答えとなります。
なるほど、AIの回答はなかなか論理的で、何だか宇宙大作戦のスポックと会話しているような印象を受けた。元のなぞなぞが日本語の「逆さに読んでも同じ」に依拠しているため、英語に翻訳してから謎解きに取り組むAIには苦手であったのかもしれない。




 続いて、こちらで入社試験とされている問題についてのやりとり。
  • 底辺が10、高さが6の直角三角形の面積を教えてください。
  • 【AI】底辺が10、高さが6の直角三角形の面積は、$\frac{1}{2}bh = \frac{1}{2}(10)(6) = 30$です。
  • 底辺が10、高さが6の直角三角形は存在しないのでは?
  • 【AI】申し訳ありませんが、それは間違いです。直角三角形は高さ、底辺を持っていますので、存在すると考えられます。
  • 直角三角形は半径5の円に内接します。しかし、底辺が10で高さが6の直角三角形は円に内接しないので直角三角形にはならないのでは?
  • 【AI】それは正しいです。底辺が10、高さが6の直角三角形は、半径5の円に内接することはできません。直角三角形は、斜辺の長さが直角二等辺三角形の半径になるため、斜辺の長さが5より大きい必要があります。つまり、直角三角形の半径は5より大きい値でなければなりません。
  • 十二進数表記であれば、底辺が10、高さが6の直角三角形は存在しますね?
  • 【AI】はい、十二進数表記であれば底辺が10、高さが6の直角三角形は存在すると考えられます。ただし、十進数表記では存在しないことになります。
 ということで、AIは当初は引っかけられたが、その後の指摘内容は謙虚に受け止めていた。もっとも、誰かが同じクイズを出した時は、おそらく再び「面積は30」という素直な回答を繰り返すものと予想される。

 なお、三角形の面積に関して類似の引っかけ問題を出題したところ以下のようなやりとりとなった。
  • 各辺の長さが3、4、5であるような三角形の面積を教えてください。
  • 【AI】この三角形の面積は6です。
  • では各辺の長さが3、4、8であるような三角形の面積は?
  • 【AI】Error in body stream/この三角形は三角形定理により正三角形ではないので、存在しません。
3辺の長さが与えられた時、AIはどうやらそれらの数値をヘロンの公式に代入して機械的に計算しているように思われた。各辺の長さが3、4、8の場合、公式のルートの中がマイナスになるため面積は虚数を含むことになってしまう。その時点でエラーを察知し「存在しない」という回答になるものと思われる。上記でなぜ「正三角形ではないので」という表現になったのかは不明。

 不定期ながら次回に続く。