じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 このところ曇りの日が多く星空を眺めることができないが、8月31日の真夜中、2時15分頃たまたま外を眺めたところ、南西の空、天頂に近いところに異様な明るさで輝いている木星が見えていた。『天文年鑑』によればこの時期の木星の明るさはマイナス2.9等。木星は巨大な惑星であるゆえ一年中明るいが、それでもマイナス2.0等からマイナス2.9等のあたりで明るさが変わる。その中ではもっとも明るく輝いている時期と言える。ちなみに、木星と地球が最も近づくのは衝となる9月27日で、赤道視半径は24.9″となる。

2022年9月1日(木)


【連載】太陽系の基本知識を更新する(7)火星(1)太陽系の基本知識を更新する(7)火星(1)

 8月9日に続いて、NHK「コズミックフロント

●「冒険者たちが語る 太陽系のヒミツ」

についての備忘録と感想。今回から、火星を取り上げる。放送内容に入る前に、まず私自身の関わりから。

 火星と言えば、かつては多くの人によって、火星人や運河の存在が信じられていた時代があった。またそこまで高度な文明は無かったとしても、コケ類やバクテリアのようなものが存在する可能性は科学本の中でも記されていた。じっさい、私が子どもの頃に読んだ『宇宙のすがた』(鈴木敬信, 1962年、偕成社)には、
  • 火星には植物がはえています。もちろん水がなくなっても、なかなかかれないコケ類や地衣類のような、下等な植物だと思われます。
  • 火星にみられる暗緑色の地帯が、その植物のそだっているところです。むかしからゆうめいな、火星の運河というのも、水を通す運河ではなく、これらの植物が集団的にしげっているところが、すじになってみえるのだと思われます。
と記されていた。

 ところで上記の「火星の運河」だが、その後の着陸船や、火星表面を移動する探査機には、それらしき映像は見られない。となると、私が子どものところにはほぼ常識化していた「運河のような地形」というのは全くの錯覚だったのだろうか?ということになる。ウィキペディアには、
ウィリアム・ケネス・ハートマン(en:William Kenneth Hartmann)は、1960年代から2000年代までの火星像を研究する科学者であるが、「運河」は、山岳およびクレーターの風下側の、風によって引き起こされた粉塵の筋痕であると説明している。
と記されており、おそらく多くの観察者が、「ここには運河があるに違いない」という固定観念のもとに複雑曖昧な模様を運河の形であると錯覚してしまったものと思われる。




 以上述べたように、私が子どもの頃には、火星にはコケ類や地衣類は存在していると思われていたが、ウェルズの『火星人』の存在を信じる人は、幽霊や霊魂の存在を信じる人より遙かに少なくなっていたように思われた。
 もっとも、火星を舞台にしたSF小説にはそれなりのリアルさを感じるものがあった。特に、私の愛読書の1つ、

火星救助隊』(ムーア作、亀山竜樹訳、岩崎書店、少年少女宇宙科学冒険全集、1967年)

などは、実際にありそうな話であるような気がする。このSFに登場するのは、6本足のオオカミと、コウモリのような動物の2種類だけであるが、そのような「下等」な動物たちであればこそ火星に存在しても不都合はないという気になってくるのである。

 次回に続く。