じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 10月30日の朝、西の空に龍の形をした雲が見えていた。翌日の早朝には雨が降ったので、雨を呼ぶ龍と言えるかもしれない。
なお、写真の上端中央には月齢23.5の月がかろうじて写っている。

2021年10月31日(日)



【連載】#チコちゃんに叱られる!「食べ物と調味料との相性」「ウインナーソーセージ」「体のあちこちをぶつけなくするには?」

 昨日に続いて、10月29日に初回放送された、チコちゃんの番組の考察と感想。本日は、

  1. なんでスペードのエースだけ大きくて派手なの?
  2. なんで筋肉痛は次の日になるの?
  3. 目指せ寝正月!働き方改革のコーナー「調味料バトルを解決!科学の力で無問題」
  4. ソーセージとウインナーってなにが違うの?
という4つの話題のうち3.と4.について、また、上記のほか、「ひだまりの縁側で…」に寄せられた「どうしたら妻は体のあちこちをぶつけなくなりますか?」という疑問について考察する。

 まず3.の「調味料バトルを解決!」では、味覚センサー・レオという装置で、飲食物の味を甘味、塩味、酸味、苦味、うま味に分解して数値化し、食べ物と調味料との相性が、AIを使って調査された。それによると、
  • 目玉焼きとの相性
    第3位:豚カツソース95.2pt、第2位:塩97.6pt、第1位:しょうゆ97.7pt
  • ギョーザ(但し、今回の調査では辛味は測定できないためラー油は不使用)
    第3位:塩95.6pt、第2位:酢醤油97.0pt、第1位:レモン汁97.2pt(そのほか、第4位:豚カツソース94.7pt、第5位:酢胡椒94.1pt、第6位:マヨネーズ90.4pt)
となった【ptは相性度の大きさを示す】。
 ということであったが、そもそも食べ物と調味料との相性は、日頃の習慣や過去の食体験などによって個体差があり、客観的な味覚成分だけで一義的に決まるものではない。また今回のランキングでは1位と2位は僅差であり、1位だから絶対コレ!というわけでもないように思う。
 ちなみに私自身は調味料は殆ど使わない。目玉焼きは何もつけずに食べるし、ギョーザも、酢醤油があればそれにつけることもあるが、無ければ何もつけずに食べる。歳をとるにつれて、ますます調味料にこだわらなくなってきた、というか、薄味重視の素材志向。

 次の4.のソーセージとウインナーの違いだが、私は普段から「ウインナーソーセージ」と呼んでいることもあって、この疑問は、「クマとシロクマの違いは?」、「飛行機とジェット機の違いは?」という疑問と同類であって、大した意味をなさないように感じた。じっさい、番組の正解も「ウインナーはソーセージ」、すなわち、「ウインナーはソーセージの一種」と説明された。ということで「何が疑問なの?」と思わざるを得なかったが、いろいろなソーセージの分類基準は大いに参考になった。サラミ以外は太さを基準にして分類されているようだ。
  • ウインナー:ヒツジの腸または太さ20mm未満を使用したもの。ウィーンが語源。
  • フランクフルト:豚の腸または太さ20mm以上36mm未満の物を使用。
  • ボロニアソーセージ:牛の腸または太さ36mm以上の物を使用。
  • サラミ(ドライソーセージ):肉は豚と牛のみで水分が35%以下のもの。発祥はイタリア。
 若干気になったのは、ソーセージの中には、動物の腸ではなく人工の皮を使用しているものがあるという点であった。人工の皮として何が使われているのかネットで調べたところ、こちらで、天然ケーシング、コラーゲンケーシング、非可食姓ケーシングがあることが分かった。
 私自身は、以前は、発色剤などの添加物の発がん性が気になってハムやソーセージをできるだけ食べないようにしていたが、高齢になって今さらという感じがあり、最近はあまり気にせずに食べている。




 さて、番組の終わりの「ひだまりの縁側で…」では、「どうしたら妻は体のあちこちをぶつけなくなりますか?」という疑問が寄せられていた。健一さん(5歳+42歳)の手紙は、
僕の妻(5歳+41歳)は、常に体のどこかにいつもアザがあります。本人は、いつ、どこでぶつけたのか覚えていないのですが、そのうちDV疑惑が出るのではないかと不安な日々を過ごしています。どうしたら妻は体のあちこちをぶつけなくなりますか?
というものであったが、これに対しては、専門家からの受け売り情報として、
無意識に体をぶつけてしまうのは、自分の体の位置を正確に認識できていないから。怪我を減らすには「自分は体をぶつける」と意識して、周りをよく見ながら余裕をもって行動すること。【産業技術総合研究所・小林吉之先生】
という回答が紹介された、チコちゃんからも「私はぶつけるから、ぶつけないように行動するの、という肯定的な感覚を持つようにしましょう」と付け加えられたが、そんな「意識の変革」程度で事故が防げるようになるとは思えない。これではまるで、
  • 自分がよく忘れ物をするのは、自分の持ち物を正確に認識できていないからだ。忘れ物を減らすには「自分はよく忘れ物をする」と意識すればよい。
  • 自分がすぐに風邪をひくのは、自分の体を正確に認識できていないからだ。風邪をひかないようにするには「自分はよく風邪をひく」と意識すればよい。
と言っているようなもので、ちっとも具体的な解決にはつながらない。そんないい加減なことを産業技術総合研究所の先生が言うはずがないだろうと思って検索したところ、こちらの論文などにもあるように、ちゃんと、綿密な分析が行われていることが分かった。おそらく、放送時間の関係で、放送スタッフが小林先生の言葉を縮めすぎてしまったためにこうなってしまったものと思われる。
 では、私自身が訊かれたらどう答えるのか、ということになるが、まずは、ぶつけるという事故が、いつ、どのような場所で発生するのかデータをとる必要がある。例えば、
  • 暗闇なのか?
  • 家具や保管品のために通路が狭くなっているためなのか?
  • 当人に、視力低下、よろめき、静脈瘤といった健康上の問題はないか? こちらに挙げられているような疾患はないか?
などなど。その上で、
  • 暗闇でぶつかりやすいのであれば照明を明るくする。
  • 通路が狭いのであれば障害物を取り除いたり、危険な場所に目立ちやすいマークをつける。あるいはスポンジなどのクッションをとりつける。
  • 当人の健康上の問題が原因であればそれを治療する。
などの対応が必要であろう。いずれの場合も、「自分は体をぶつける」といった「意識変革」は必要ない。当人の行動特性と環境要因との相互作用のなかに解決策を見出すべきである。

 次回に続く。