じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 10月29日の夕刻はよく晴れて、南西の空に金星、南の空に木星と土星が並んで見えていた。
 なお、金星は10月30日の5時52分に東方最大離角を迎える。


2021年10月30日(土)



【連載】#チコちゃんに叱られる!「スペードのエース」「筋肉痛」

 10月29日に初回放送された、チコちゃんの番組の考察と感想。この回は、

  1. なんでスペードのエースだけ大きくて派手なの?
  2. なんで筋肉痛は次の日になるの?
  3. 目指せ寝正月!働き方改革のコーナー「調味料バトルを解決!科学の力で無問題」
  4. ソーセージとウインナーってなにが違うの?
という4つの話題が取り上げられた。本日はそのうちの1.と2.について考察する。

 まず1.のトランプの話題だが、以前にも一度取り上げられたのではなかったか?という気がしたので過去の記録をチェックしたところ、少なくとも、 という2つの疑問が取り上げられていたことが分かったが、スペードのエースについては触れられていなかったようだ。

 番組によれば、18世紀前半のイギリスでは度重なるフランスとの戦争で生じた財政難を補うため、「トランプ税」という新たな課税が行われるようになった。通常、トランプカードは、スペードの行が一番上の段になるように印刷されることが多かったことから、裁断して揃えるとスペードのエースが一番上になりやすかった。その頃のスペードのエースは他のスーツのエースと同じ大きさであったが、余白に納税証明のスタンプが押されるようになった。しかし、スタンプは偽造されることが多く、メーカーと役所の間でイタチごっこが続いていたが、その後、1765年には、スタンプではなく予め納税証明を印刷したスペードのエースが使われるようになった。そのデザインは簡単には真似できない複雑なものであったという。それでも偽造のイタチごっこは続いたが、その後税率が下げられ偽造のメリットが無くなった。その名残として、スペードのエースの複雑な模様は販売会社が自由にデザインされ、メーカーの顔としてオリジナリティに富んだものになったという。ということでこの疑問の正解は「脱税を防ぐため」とされた。
 なお、日本でも、1982年の消費税導入前までは「トランプ類税」というのがあり、トランプ、花札、麻雀パイに課されていた。税額は1962年以降はトランプ1組あたり40円であり、商品ごとにトランプ類税証紙が貼られていたという。私自身もそのような証紙は目にしたことがあった。確か、証紙の貼られていない子ども向けのトランプというのも売られていたが、枚数が52枚より減らされていたという。節税対策ということか。

 次の2.の筋肉痛の疑問だが、私自身は、筋肉を過度に動かしたあとに溜まる乳酸のせいかと思っていた。番組の正解は「1日かけて移動した物質が痛みを感じさせるから」であった。筋肉痛のメカニズムはまだ十分には解明されていないが、運動で傷ついた筋肉を治している時の痛みが筋肉痛という説が有力視されているという。筋肉は細長い繊維が集まってできているが、慣れない運動や普段使わない筋肉を使った時には、筋肉に傷が発生。それを治すために毛細血管などから白血球やタンパク質などが集まり炎症という反応が起こる。炎症が起こると白血球などは傷ついた部分を一度壊して新しく作り直す。この過程で、痛みを生じるような刺激物質が生まれるが、筋肉の繊維の中には痛みを感じる神経が無いのでこの時点では痛みは感じない。その刺激物質は1〜2日程度筋肉の中を漂ったあと筋肉を覆う筋膜に達する。筋膜には痛みを感じるセンサーがあるのでこの時初めて痛みを感じるのだという。これが筋肉痛が遅れて生じる原因の1つであるらしい。
 なお、筋肉痛の遅れ方が年齢を重ねるほどより遅れてくるという話についてはっきりした証拠はなく、むしろ、普段の運動量が関係しているという。番組では、東京タワーの階段を上り下りする実験が行われた。日体大出身で集団行動を訓練を受けたことのある新人ディレクターと普段運動不足の中年ディレクターで比較したところ、新人ディレクターは翌日には痛みを訴えていたが、2日後には回復。いっぽう中年ディレクターのほうは、1日後は痛みは無かったのに、2日後になって重度の筋肉痛を生じた。これについては「運動不足の人では、毛細血管が白血球などを運ぶ機能が低く、刺激物質の発生が遅いため」という説があるが、詳しくは分かっていないという。

 なお、私が思っていた「乳酸が溜まるから筋肉痛」というのはどうやら誤りで、乳酸は30分も経てば筋肉から排出されるらしい。
 個人的な体験から見ても、確かによく使う筋肉と使わない筋肉では筋肉痛の発生頻度は異なるように思う。私自身は毎日8000歩以上のウォーキングを続けており、半田山植物園内の坂道の上り下りもそれに含まれているため、どこかの山に登ったとしても足腰が筋肉痛になることはまずない。しかし、稀に、樹木の剪定をしたりすると、翌日以降に腕や肩に筋肉痛が生じるようになる。
 いずれにせよ、筋肉繊維の修復作業が筋肉痛の原因であるとすると、鎮痛薬とか貼り薬は根本的な治療にはなりそうにない。それよりも、日々、必要な筋肉を適度に動かしておくことのほうが予防に繋がるように思う。

 次回に続く。