じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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文法経駐車場北側にあるミモザがいよいよ見頃となった。もう1本のミモザが強風で倒れたため、ここに咲いているミモザも倒木を防ぐために大規模剪定される可能性がある。これだけの咲きっぷりは今季で見納めか。

2021年3月5日(金)



【小さな話題】2021年京大・文系数学の整数問題はなぜ「pの4乗+4は素数でないことを示せ」ではなく「pの4乗+14は素数でないことを示せ」になったのか

 3月3日の日記で、京大・文系数学の整数問題:

●pが素数ならばp4+14は素数でないことを示せ。

を書き換えて、

●pが素数ならばp4+4は素数でないことを示せ。

としたらもっと美しい問題になるのではないか、あるいは、p=±1以外にp4+4が素数になるようなpが存在するのかどうかについて考察した。

 しかし、その後、p4+4は因数分解できたはずだということを、ふと思い出した。

 p4+4
 =(p2)2+2×(p2)×2+22-2×(p2)×2
 =(p2+2)2-(2p)2
 =(p2+2+2p)(p2+2-2p)

ここで、
  • p4+4>0なので、右辺において、p2+2+2pまたはp2+2-2pが0になることはない。
  • 右辺において、p2+2p+2またはp2-2p+2が1となるのは、方程式を解くとp=1またはp=-1となる。
  • 上記以外の場合、p4+4はp2+2p+2とp2-2p+2の積で表されるため合成数となる
ので、pが±1以外の場合は、p4+4が素数になることはありえない。
 ということで、もし「pが素数ならばp4+14は素数でないことを示せ。」という元の問題を

●pが素数ならばp4+4は素数でないことを示せ。

というように問題を書き換えてしまうと、「pが素数ならば」という条件は不要になり、問題としては美しくなくなることが分かった。また、この場合は、合同式を使う必要はなく、上記の因数分解で解答できるので、もっとやさしい問題になってしまう。
 もちろん、「pが素数ならばp4+4は素数でない」という命題自体は真である。しかし、「pが±1以外の整数であればp4+4は素数でない」も同時に真であるので、入試問題のような場で「pが素数ならば」を付け加えることは、受験生を惑わすヒッカケ問題として酷評されるだろう。

 もちろん、元の問題も、本当は、「pが素数ならば」ではなく、

●pが2の倍数でも3の倍数でも5の倍数でも7の倍数でもないならば p4+14は素数でないことを示せ。

とすべきところかもしれないがこれではゴテゴテしすぎて美しい問題とは言えない。




 以上で、この整数問題にかかわる疑問はほぼ解決した。私の数学力は高校1年〜2年レベルにとどまっており、65歳+αをすぎてこれ以上伸ばすことは困難であるが、自分の力のとどく範囲で、数学の色々な定理や未解決問題についてあれこれ考察することは老後の楽しみの1つになりつつある。もちろん、アルバム写真や家庭ビデオの動画を整理しながら過去を回想することも楽しみであるが、回想ばかりでは前に進む人生にはならない。自己満足的とはいえ、新しい問題に取り組んだり、教養科学番組の視聴を通じて、生命や宇宙について最新の知見を学ぶということのほうが、より能動的・積極的な生きがいになるだろう。しかも、こういう日々は、
  • ゴールを設定する必要がない。【受験勉強ではないので、達成目標を設定して義務的に勉強する必要はない】
  • 難しすぎる対象はそのまま放っておけばよい。
  • 興味が続く限りは対象は無限に広がっている。
  • 身体的機能が衰えてもあまり影響を受けない。【登山や旅行は、老化とともに遂行困難となるが、知的課題は、頭の働く範囲で対象を調整できる。】
といった点で、持続的な価値との接触に相当するように思う。