じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 妙善寺バス停南に10月21日にオープンしたスーパー「ハピーズ」を初めて利用してみた。東側には岡大の留学生施設や女子寮があるので、岡大に最も近いスーパーということになる。
 岡大(津島地区)周辺のスーパーというと、かつては、「中鉄ストア」と「ふじうら」の2店があったが、「ふじうら」は2004年12月に閉店、「中鉄ストア」はフレスタ・津島店(2020年10月からは、津島モールは「フレスタモールCAZL津島」)となり現在に至っている。
 今回の「ハピーズ」の開店により、岡大や岡山理大関係者、福居地区の高齢者はかなり便利になったように思われる。もっとも、私の家からは、ラ・ムー岡山中央店やマルナカ・中井町店のほうが近くにあるため、ハピーズ利用の頻度は限られることになりそう。

2020年10月25日(日)



【連載】「刺激、操作、機能、条件、要因、文脈」をどう区別するか?(31)1991年のHayes論文(1)

 10月22日の続き。

 今回からは、10月19日で取り上げた、

Hayes, S. C. (1991). The limits of technological talk. Journal of Applied Behavior Analysis, 24, 417-420.

について考察することにしたい。10月19日で孫引きしたように、この論文では以下の
  1. 正確さ (precision):ある事象に適用される言語構成物の数に関連する次元
    Precision has to do with the number of alternative verbal constructions that can be made about a given event.
  2. 広がり (scope):当該の言語的構成物によって問われうる事象の数に関連する次元
    Scope has to do with the number of events that can be encompassed by a given verbal construction.
  3. 構成(organization):言語構成物の当該セット間の系統牲と首尾一貫性の程度の次元
    Organization refers to the degree of systematization and coherence of given sets of verbal constructions.
  4. 深さ (depth):ある分析のレベル(例えば心理学的なレベル)での構成物とその他の分析のレベル(例えば人類学的なレベル)での構成物との間の首尾一貫性の程度
    Depth refers to the degree to which constructions at one level ofanalysis (e.g., the psychological level) cohere with constructions at other levels (e.g., the anthropological or genetic level).
という、言語的構成物4つの次元が論じられていた。この4点には見覚えがあるという方も多いのではないかと思われるが、じっさい、ウィキペディアの機能的文脈主義の項目には、
機能文脈主義は、関係フレーム理論として知られる言語理論の基盤になっており、その応用の中でもっとも顕著なものが、アクセプタンス&コミットメント・セラピーである。これはB.F.スキナーの徹底的行動主義を再検討し、機能的かつ文脈的要素を強調したものである。これはSteven C. Hayesによって初めて提唱され、心理的な事象(思考や感情、行動を含む)が生じる文脈における操作可能な変数に焦点を当てながら、それらの事象を正確さと広さ、深さを確保しつつ予測し変容させることの重要性を強調している。
【英語版】Functional contextualism serves as the basis of a theory of language known as relational frame theory and its most prominent application, acceptance and commitment therapy. It is an extension and contextualistic interpretation of B.F. Skinner's radical behaviorism first delineated by Steven C. Hayes which emphasizes the importance of predicting and influencing psychological events (including thoughts, feelings, and behaviors) with precision, scope, and depth, by focusing on manipulable variables in their context.
となっていて、上掲の4つの次元のうち、構成(organization)を除く3点がそっくり取り込まれていることに気づく。
 もう少し古い文献を探ると、Pepper(1942)の世界仮説では、視野(scope)と正確性(precision)が強調されており、このあたりのことは幻の名著『アクセプタンス&コミットメント・セラピーの文脈』の第1章(武藤2006「機能的文脈主義とは何か」)でも概説されている【2011年刊行の『ACTハンドブック』の第1章「機能的文脈主義とは何か」にほぼ同じ内容あり】。

 ところで、元のHayes(1991)だが、これは、『Journal of Applied Behavior Analysis』誌の特集号:

SCIENCE, THEORY, AND TECHNOLOGY: VARIED PERSPECTIVES

の一環として掲載されたもので、Hayesのほか、この日記でも何度も引用させているMorris先生のほか、Iwata、Baer、Lindsleyなど、よく耳にするお名前が並んでいる。なので、本来は、この特集号全体でどういう議論がなされていたのか、30年経ったいまどう進展したのかを総括する必要があるのだが、残念ながら、隠居人の私には、そこまで把握する力量が無い【←力量が無いことに加えて、最近の関連学術誌は出版社管理のもとで無料で閲覧できなくなり、私のように自宅パソコンで私的に情報収集している者にとっては、網羅的な収集がきわめて困難となっている】。

次回に続く。