じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 8月15日の20時頃、西のほうで打ち上げ花火が行われていた。山の影になっていて、花火の上半分しか見えず、山が噴火しているように見えた。写真下はエルタ・アレの火映現象。

2020年8月15日(土)



【連載】新型コロナの感染の広がり方とPCR検査の問題(4)クラスターは「発生」ではなく「たまたま見つかった」だけ

 昨日に続いて、

高橋泰教授が新型コロナをめぐる疑問に答える 暴露と感染の広がり方、PCR検査の問題を解説

の話題。

 リンク先の3頁目では、「日本人のうち約3割が新型コロナに暴露しており、暴露した人のうちの98%は自然免疫で治り、発症は2%、重症化する人は暴露した人の0.01%にも満たない」という現状に対して、なぜ「ダイヤモンド・プリンセスは乗客乗員計3711名、うち陽性が712名で7月25日までに死者が13人」という結果になったのか、また中国全体では死亡率は低いのに武漢では他の10倍を超える高さになったのか、について説明が行われていた。

 記事によると、ダイヤモンド・プリンセス号では、年齢別の発症者数に基づく死亡者数予測は日本国内一般の分布と一致しており、死亡率が高くなってしまった原因は、環境要因により発症率の高さにあるという。すなわち、船内での食事がビュッフェ形式であったことなどから濃厚な暴露を受けたことなどが暴露率を高めたと推測される。武漢での死亡率の高さも、春節のパーティなどで直箸など濃厚暴露が起こったと推測できる。そう言えば、松江市にある私立高校のサッカー部の部員など91人が新型コロナウイルスに感染して事例でも、寮生活における濃厚接触がクラスターを発生させたものと思われる。やはり三密は避けるべきであろう。

 リンク先で説明されているように、こうした三密環境の中でも、多くの人は当初は自然免疫の範囲でウイルスに対処している。しかし、自然免疫では抗体ができないため、クルーズ船や武漢の野戦病院形式での治療環境では、暴露が繰り返されることで体力を消耗し、自然免疫の力が低下する。このことが、重症化を招いてしまったと推測されている。

 リンク先の4頁目では、都市型の感染拡大のしくみが詳しく解説されていた。日々の報道では、「○○県では、××人の感染が確認され、このうち△△人はどこどこで発生したクラスターによるもの、残りの人たちについては感染経路が不明」などと伝えられているが、本当のところは小規模の「隠れクラスター」が大量に潜んでおり、その中のごく一部、陽性者や重症者が発生した事例においてたまたまクラスターが見つかったというだけに過ぎないようである。もちろん、クラスターを1つずつ把握して、濃厚接触者を検査することは、重症患者の発生を未然に防ぐという点では有効であろうが、市中感染が広がってしまっている現状では、そういうやり方を続けていても感染者ゼロを達成することは殆ど不可能であろう。

 また、もしそうであれば、たまたま陽性者が確認されたからといって、その人の勤務先(あるいは、学校、飲食店、高齢者施設など)を一時閉鎖して徹底消毒を行ったからとしても、そういうやり方でその地域での感染が防げるという保証はない。モグラ叩きのゲームのように、次々と別の場所で新たな感染者が出てくる。であるとするなら、感染拡大の防止策としては、やはり、「誰もがどこでも感染しうる」という警戒態勢の持続、可能な限りの三密徹底、そして、何よりも、自然免疫力を低下させないための日々の精進が必要ではないかと思われた。



 次回に続く。