じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 ウォーキング中、アナグマを見かけることが多くなった。近隣地域では、タヌキよりはアナグマのほうが生息数が多いように思われる。但し、夜間にどういう動物が出没しているのかは不明。 【関連記事が、2017年6月3日の日記2016年6月11日の楽天版にあり】

2020年5月20日(水)



【小さな話題】映画「今夜、ロマンス劇場で」

 5月16日にフジテレビ系列で放送された表記の映画(2018年2月公開)を録画・再生で観た。

↓↓↓↓↓以下、ネタバレ満載↓↓↓↓↓



 この映画は、「美雪(綾瀬はるか)と牧野健司(坂口健太郎)が初共演をしたロマンティックなラブコメディー。」と紹介されているが、私にはむしろ、映画の登場人物である美雪に恋をした牧野健司が、未完成だったその台本を書き終えて異次元世界に去って行く、という生涯を通じた純愛ものの映画のような印象を受けた。じっさい、晩年の牧野健司を演じた加藤剛さんは、この映画の公開から4ヶ月後に亡くなっているという。

 映画の初めのほうで、入院中の牧野健司さんについて看護師たちが噂話をしているシーンがあり、

●「でも、あのおじいちゃん可哀想ですよねえ。...いかにも孤独なおじいちゃんっていう感じじゃないですか」「でも、お孫さん毎日お見舞い来ていますよねえ」「その孫って言うのがヒドイみたいでさあ。散歩中に牧野さんが転んでも手すら貸さないんだって」

となっている。この「お孫さん」は終わりのところで「初めて」登場し、牧野健司が乗った車椅子に乗せて面会室のようなところに移動する。牧野は車椅子から長椅子に移るときにうっかり転倒してしまうが、「お孫さん」は抱き起こそうとしない。周囲にいた人たちは、「お孫さん」が助けてあげないことに非難の目を向ける。そのあと、牧野と「お孫さん」は、間隔をあけて長椅子に座り、映画の結末の話をする。もちろん映画の観客は、「お孫さん」が病院に面会に来た瞬間にそれが美雪本人であることに気づく仕掛けになっている。またそのことから、牧野が歳をとるまでずっと一緒に過ごしてきたこと、美雪自身は全く歳をとらないという推測がつく。そのあと、一連の回想シーンが流れることで、観客は自分の推測通りの展開したことを確信できる。

 この映画の「美雪は人のぬくもりに触れると消えてしまうという秘密」だが、確かに録画・再生を繰り返してみると、牧野と美雪は、最後のシーンまでは、一度も身体的な接触をしていないことが分かる。この映画が公開されたのは2018年2月ではあったが、何だか、新型コロナウイルス時代における三密回避を予言していたような気がしないでもない。実際、恋人同士であっても夫婦間であっても、いっぽうが感染確認された時は、濃厚接触を避けて付き合っていく必要があり、この映画で描かれているような「三密をさけた純愛」は大いに参考になるかと思う。

 もう一つ、病院での最後のシーンのところで美雪の「健司、見つけてくれてありがとう。たくさんわがまま聞いてくれて、ずっと隣にいてくれて、ありがとう。」というセリフがあるが、これは、夫婦のどちらかが臨終間際となった時の最もふさわしい言葉であるように思う。4月30日の日記にも書いたように、しょせん、夫婦というのは、ダメダメの欠点だらけの人間同士による共同生活であって、完全無欠の相手同士ということはまずあり得ない。にもかかわらず、自分を見つけてくれて配偶者として選んでくれたということは、それだけで最大限の感謝に値する。

 余談だが、この映画のロケ地についての情報がこちらにあった。新型コロナ騒動の有無にかかわらず、病院のロケ地などは訪れるべきではあるまいが、「あしかがフラワーパーク」の藤棚や、「横浜イングリッシュガーデン」のバラ園、虹を見たお地蔵さん(取手市?)、「東映プラザ劇場」(足利市)、そして河口湖音楽と森の美術館のオルガンホールなどは、コロナが収束したらぜひ訪れてみたいところだ。