じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 ベランダに置きっぱなしのカラスビシャクが新芽を出していた。ペンギンがダンスをしているように見える。

2020年4月27日(月)



【小さな話題】「ステイホーム」行動の強化と課題(その3)オズの魔法使い「There's no place like home.」/虹の旗の由来

 昨日の続き。

 NHK BSプレミアムで4月18日、1939年のファンタジー・ミュージカル映画:

『オズの魔法使』(The Wizard of Oz)

を放送していた。この映画はこれまでにも何度も観たことがあり、DVDにもダビングしていたと思うのだが、今回久しぶりに観た映像は、デジタル・リマスター版なのかそれに類する加工がなされたのか、1939年の作品とは到底思えないほど良好な画質であり、改めて楽しむことができた。

 さて、この映画で最も有名なセリフの1つが「There's no place like home.」であった。日本語では
  • 「お家(うち)が一番だわ」
  • 「我が家に勝るところなし」
  • 「我が家ほど落ち着く場所は無い」
などと訳されるが、新型コロナウイルス感染拡大の標語「ステイホーム」との関連でいろいろ考えさせられるところがある。

 というのは、そもそも日本人の多くが「There's no place like home.」と思っているのであれば、小池都知事が呼びかけなくても、あるいは観光地の駐車場を閉鎖したりしなくても、殆どの人はGWは自宅で過ごすはずだからだ。そうでないとするなら、日本人にとっての自宅は、生きがいの実現拠点、あるいは最高の休息の場として機能していないということになる。

 もちろんこれは、大都市と農村では大きく異なるだろう。

 ポツンと一軒家に過ごす日とにとっては間違い無く「There's no place like home.」であろう。そこまでいかなくても、都市近郊の広い敷地で庭仕事や家庭菜園を楽しんでいる人は同じような感覚を持っているに違いない。
 いっぽう、大都市の3LDKあるいはそれ以下の間取りのマンションで暮らしている人たちにとっては、現住所地は必ずしも「There's no place like home.」ではない。そう言えば、少し前に安倍首相が自宅とみられる私室で犬とくつろぐ動画が公開されて話題になっていたが、私室で犬とくつろぐことのできるマンションというのは極めて限られているはずだ。
 マンションではなく一戸建てに住めばとりあえず犬は飼えるかもしれない。しかし、大都市圏で敷地の広い家に住むのは容易ではない。私が生まれ育った東京・世田谷では、私が子どもの頃は50〜100坪くらいの敷地は当たり前であり、散歩の時にはそれぞれの家の庭木の花を楽しむことができた。ところが、そういう家が相続などで取り壊されて分譲に出されると、敷地は2分割、3分割されて、敷地いっぱいの3階建てと、駐車スペースだけの家が密集して建てられるようになる。すべての住人が園芸を趣味としているわけではないので、庭をつぶして「駐車場と家屋だけ」にするのが別段悪いと言うつもりはないが、そういう一戸建てに住むくらいなら、眺めの良い高層階マンション(駐車場つき)のほうが快適ではないかと思ってしまうのだが、よく分からないところがある。但し、庭をつぶしてでも駐車場を作るというのは、休日は自宅ではなく、車でどこかに出かけることを楽しみにしているあらわれであることは間違い無い。

 けっきょくのところ、日本の経済は「There's no place like home.」を否定し、集合住宅と共有空間を生活圏とするような方向で発展してきた。なので、今さら「ステイホーム」と言われても、自宅は最高の居場所ではなく、自宅でどう過ごして良いか分からない、外出自粛はストレスになる、という人たちをつくりだしてしまったのだろう。




 ここからは新型コロナウイルスとは無関係の話題になるが、上掲の映画「オズの魔法使い」でドロシーを演じたジュディ・ガーランドは、神経症と薬物中毒に苦しみ、1969年6月22日に滞在先のロンドンで、睡眠薬の過剰摂取にてバスルームで死去。47歳の若さであったという。こうしてみると、劇中のドロシーには「There's no place like home.」が存在したが、それを演じたジュディ・ガーランドの人生には「There's no place like home.」なるhomeはどこにも無かったのかもしれない。

 今回、リンク先のウィキペディア記事で初めて知ったのだが、彼女は同性愛者に対して理解を示しており、「レインボー・フラッグ」が同性愛解放運動の象徴として用いられるのは、彼女が『オズの魔法使』で歌った「虹の彼方に」から由来しているとのことであった。【但し、こちらには別の説も紹介されている】。なお、LGBTの旗は当初は8色であり、その後7色、さらに6色バージョンが登場している。また、よく似た旗に生協などの協同組合が掲げる【←最近は見かけなくなったので「かつて掲げていた」としたほうが正確かもしれない】平和の旗というのがあるが、最も一般的なのは、上から紫、青、...赤の7色であるという【赤が一番上となる虹の色とは逆】。こんどどこかで虹色の旗を見かけることがあれば、上側が何色になっているのか注目したいと思う。