じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 岡大七不思議の1つ、「半田山幻の桜の園」が今年も出現した。「幻」というのは「遠くから眺めると桜がいっぱい咲いている花園があるように見えるが、その場所に行ってみると、高木の桜の木が低木の広葉樹に遮られて、花園らしい風景がどこにも見つからない」という意味。こちらを参照。

2020年4月4日(土)



【小さな話題】新型コロナウイルス対策のためのホテルの活用は、計画的かつ徹底的な分散化で

 新型コロナウイルスの影響で全国各地のホテル・旅館では予約のキャンセルが相次ぎ、危機的な経営状況に陥っているところもあると聞く。しかし、こういう事態であればこそ、宿泊施設の社会的役割を見直し、感染対策のために徹底的に活用する必要があると思う。

 期待される役割としては、
  1. 在宅勤務が難しい業種などにあっては、職場のすぐ近くのホテル等を出勤基地として活用(勤務先の近くのホテルに滞在し、週末だけ帰宅する)。これにより、通勤途中での感染を防ぐことができる(3月27日の日記参照)
  2. 陽性だが、軽症や無症状の人を受け入れるために活用。宿泊費用は政府負担。
  3. 海外からの帰国者が2週間程度滞在し、健康観察を受けるために活用。宿泊費用は政府負担。
などが考えられる。

 このうち2.に関してはアパホテル「軽症や無症状の人 全面的に受け入れ」新型コロナというような記事を見かけた。

 もっとも、ホテルや旅館というのは、宿泊者を保護あるいは隔離する施設として有効である反面、建物内での集団感染のリスクが常につきまとう点にも十分に留意する必要がある。周知のように、クルーズ船内での長期間待機は、船内での大規模な感染を引き起こしてしまった。あの悪夢を二度と繰り返してはいけない。

 では、どうすればよいのか。

 まず2.については、医療スタッフに常駐してもらうとともに、重症化が起こった時の病院への搬送体制を整える必要がある。また当然のことながら、一般の宿泊客の利用は禁止する必要がある(食事の提供や着替えの洗濯、シーツ交換などを考えるとフロアを分けたくらいでは防ぎきれないだろう)。

 次に3.であるが、この場合にこそ、クルーズ船での教訓を活かす必要がある。例えば、帰国者100人が同じホテルに2週間泊まった場合、その中の1人でも感染していれば館内全体に感染が広がってしまう。しかも、健康観察期間の終了間際に二次感染が起こった場合は、そのホテルが感染拡大の震源になってしまう恐れがある。とはいえ、このリスクを100%防ぐことは難しい。次善の策は、宿泊者の分散化を図ることだ。例えば、1つのホテルの宿泊者を20人限定とし、帰国者が100人の場合は、5グループに分けて別々のホテルに泊まってもらったとする。そうすれば、100人の中の1人が感染者であったとしても、二次感染は最大20人までで食い止めることができる。このことを考えると、3.のタイプの活用は、小規模な宿泊施設のほうが役に立ちそうだ。

 このほか、今後は、ホテル従事者の中で、感染を克服して免疫を獲得した人たちも増えてくるものと思う。あくまでご本人の自由意志が第一だが、免疫を獲得した人たちに2.や3.のホテルの管理業務を担当してもらえば、スタッフの二次感染を防止することができる。

 以上に述べたようなホテル活用は、各業者の自主的な判断・選択に委ねるのではなく、政府・自治体主導で計画的に割り当てる必要がある。

 少々大げさな言い方になるが、今回のような大規模感染をくいとめられるかどうかは、ホテルの活用のしかたにかかっている。