じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 岡大・マスカットユニオン2階の大学専用掲示板に、秋季安全衛生講習会のポスターが掲示されていた。今年のテーマは「新型タバコを理解する〜新型タバコは本当に無害なのか〜」となっていた。
 こうした禁煙支援の取組が継続的に行われていることはまことに喜ばしいことだが、問題は、この種の講習会を開催しても、喫煙者は誰も参加しないことにある。タバコ以外の安全衛生講習会を含めて、参加回数が個人評価に反映される仕組にすればもっと多くの教職員が講習を受けるようになると思われる。
 なお、新型タバコについての私の考えは、こちら【総合的な特設サイトはこちら】にあり。要するに、
いかなる方式のタバコであり、ニコチンという有害無益な依存物質に依拠していることは否定できない。まずは、国民の一部を薬物依存症という病人に陥れて金儲けをするというようなビジネスを合法化したままでよいのかどうかという議論から始めるべきであろう。その原則論に立つ限りは、加熱式タバコは、ニコチン依存を無くそうという健康増進の取り組みを妨げる動きと言わざるを得ない。
というように、あくまで、ニコチン依存の根絶をめざすべきだというのが私の持論。もちろん、新型タバコは無害だと思い込んでいる一部のニコチン依存者に対しては、その危険性を理解してもらう必要があるし、若年層に対して、紙巻きタバコ以上に悪影響を及ぼしている実態については、非喫煙者を含めて充分に理解を深める必要があるとは思う。

2019年10月29日(火)



【連載】#又吉直樹のヘウレーカ! 「あなたは何色に見えますか?」(3)3つの錐体で見える世界

 昨日に続いて、10月25日に放送された、

又吉直樹のヘウレーカ! 「あなたは何色に見えますか?」

の感想と考察。

 番組では虹の色に続いて、色覚のメカニズムについて簡単な説明があった。網膜には、L錐体、M錐体、S錐体という3種類があり、異なる波長(赤、緑、青)に対して感度が高くなるような仕組になっている。人は、これら3つの錐体がもたらす信号のバランスであらゆる色を判断するため、もとの光が違っていても全く同じ反応をしてしまう場合がある。例えば、黄色の波長の光が入ってきても、赤と緑の2色の光が入ってきても、錐体レベルでは同じバランスで反応するため、脳は黄色と判断する、と説明された。

 じっさい、光の波長と3種類の錐体の相対感度を示したグラフを眺めると、黄色の波長の光が目に入った時は、S錐体は殆ど反応せず、L錐体は95%、M錐体は80%レベルで反応することが見て取れる。よって、L錐体が50%程度で反応する赤い波長の光(この波長では他の錐体は反応しない)と、M錐体が50%かつL錐体が40%レベルで反応する緑色の波長の光(S錐体は殆ど反応しない)が同じ方向から目に入れば、黄色の波長が入ってきた時と区別することはできない。この「錯覚」があればこそ、人間は、RGBの3値だけで総天然色の画像を再現することができるのである。

 ここまでの色覚の仕組はある程度理解していたつもりであるが、私にはいまだに減法混色のメカニズムがよく分からない。なぜ光の三原色の1つであった緑が、絵の具の三原色で黄色に置き換わるのだろうか? あと、光源から直接目に入る時の色と、反射して目に入る色は違うなどと言われるが、目に入るときはどっちも同じ光で波長等の特性は変わらないはずだが、このあたりの仕組もよく分からない。

 番組ではさらに、人間は夜行性の生活をしていた時は2つの錐体しか無かったが、その後、緑の葉っぱの中にある赤く熟した果物を見分けられるようにM錐体が備わったこと、ニワトリでは錐体が5種類あること、魚の中にも4つの錐体を持つ種類があることが紹介された。いっぽうで、ネズミ、イヌ、ライオンのように、モノクロの世界に生きている動物もたくさんいることが知られている。

 4種類や5種類の錐体を持つ動物がどのように色を見ているのかを、3種類の錐体をもつ人間が感じ取ることはできない。これは、3次元世界に暮らす我々が4次元世界を直観的に理解できないことと同様であろう。但し、我々は、さまざまな波長の光を統制することができるので、特定の波長の色と複数の色を混合した光を弁別できるかどうかを実験すれば、その動物がどのような特性をもつ錐体を何種類持っているのかを推定することはできるものと思われる。例えば、本物のバナナの色と、赤と緑の混合(但し加法混合)で着色したニセモノのバナナの色は人間では区別できないが、動物によってはニセモノが全く違った色に見えている可能性がある。このほか、色覚検査のには、C型では数字が見えないが色弱者では見えるという図柄もある。4種類や5種類の錐体を持つ動物でも色柄によって、特定の模様が見えたり見えなかったりすることがあるものと思われる。

次回に続く。