じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 大相撲では、力士が土俵に上がったときに他の力士から力水をつける儀式があるが、リンク先にも記されているように、負けた力士は力水をつけることができないため、結びの一番で付け人が片肌を脱いで力水をつけることがある。この話は以前から聞いたことがあるが、テレビ中継ではなかなか確認することができなかった。1月15日(日)、ゲストにパトリック・ハーランさんを招いて「外国人も熱視線」というテーマで中継が行われた時にその場面が話題となり、片肌を脱いで柄杓を渡しているところが映し出されていた。

2017年1月20日(金)




【思ったこと】
170120(金)最近の喫煙事情(1)加熱式タバコ論議

 1月18日のモーサテで、加熱式タバコの話題【無料視聴可能】が取り上げられていた。

 番組ではまず、規制強化や健康志向の高まりから日本国内での紙巻きタバコの販売本数がピーク時の半分に減少しており(おおむね約3500億本/年から1800億本)、値上げでカバーしながら販売額(約4兆円)を維持しているという現状がグラフで示された。

 続いて、原宿駅の近くで加熱式タバコを販売しているIQOS(アイコス、9980円)の店が紹介された。取材時には「本日の整理券配布は終了」となっており、すでに200万台を突破しているという。特長は「副流煙や灰が出ず、ニオイも少ない」という点にあるという。

 続いて紹介されたのは、店内禁煙だが「IQOS使えます」という表示の飲食店。アイコスが牽引役となって、加熱式タバコは10億円規模の市場に急成長しているということであった。

 番組ではさらに、イギリスのブリテッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)が仙台市限定で販売している「グロー」が紹介されていた。

 いっぽう日本のJTは、ルーム・テック(Ploom TECH)という、他社とは異なる方式の電子タバコ(4000円)を販売している。吸うだけでセンサーが反応し、器具内の液体が蒸気化してタバコの葉を通過する仕組みになっており、現在は福岡市とインターネット販売限定だが、2017年中に主要都市に販売エリアを拡大する予定。但しJTは紙巻きタバコ重視の姿勢は変えていないという。

 こうした加熱式タバコの急拡大の背景には、健康増進法改正案で飲食店内原則禁煙が盛り込まれていることにある。加熱式タバコが仮に規制対象外となれば、さらなる市場拡大につながると指摘されていた。




 加熱式タバコ(電子タバコ、e-cigarette)についてはこのWeb日記でも何度か言及したことがある。私の知りうる限りでは、まず、岡大の敷地内全面禁煙には電子タバコも禁煙の対象に含まれており、電子タバコの喫煙は認められていない。航空機内でも、「including e-cigarette」といったメッセージが流され、禁煙対象になっている。「IQOS使えます」という表示の飲食店は入ったことが無いので実態はよく分からない。

 すでに禁煙が実施されているエリア、あるいは建物内で加熱式タバコの使用を認めるべきかどうかについては、受動喫煙防止という観点ばかりでなく、喫煙者自身の健康、喫煙者のニコチン依存、防火、(灰や吸い殻ポイ捨てによる)環境問題といった観点から論じる必要があると思う。

 まず原則論から言えば、いかなる方式のタバコであり、ニコチンという有害無益な依存物質に依拠していることは否定できない。まずは、国民の一部を薬物依存症という病人に陥れて金儲けをするというようなビジネスを合法化したままでよいのかどうかという議論から始めるべきであろう。その原則論に立つ限りは、加熱式タバコは、ニコチン依存を無くそうという健康増進の取り組みを妨げる動きと言わざるを得ない。

 いっぽう、火災予防という観点だけから言えば、加熱式タバコの普及は、大いに効果があると言える。どうせ吸うなら、従来型の紙巻きではなく加熱式でお願いしたいという気もする。

 受動喫煙防止に関しては、ニコチン排出ゼロにはならないことからみて、煙が出ないというだけで安全とは言いがたいように思う。むしろ隣席で食事をしている時、本人が気づかないうちにニコチンを吸わされるという事態が懸念される。

 煙が出ない、ニオイが少ないということで、ニコチン依存の教員が研究室内で、また、職員や学生がトイレ内で隠れ喫煙をすることは増えてくるかもしれない。これは実質的に取締ができないため、野放し状態になる恐れがある。対策としては、ニコチン依存や健康上の有害性と、喫煙そのものを止めることがいかに有意義であるのかを地道に訴えるほかはあるまい。そもそもニコチン依存から脱却すれば、加熱式タバコなどには目もくれなくなるはずだ。

 次回に続く。