じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 キュランダ・コアラ・ガーデンズで飼育されていたアオジタトカゲ(blue-tongued lizard)。ツチノコの正体ではないかという説もあるという。残念ながら青い舌を出すところは目撃できなかった。

2019年3月4日(月)



【小さな話題】
岡山・池田動物園の将来

 3月2日放送のテレビせとうちせとうち経済のちからというローカル番組で、岡山市・池田動物園の経営危機問題を取り上げていた。

 番組によれば、池田動物園の2017年度の売上高は約1億3500万円で赤字分が約1000万円、累積赤字は約2億6000万円に膨れているという。

 リンク先にも記されているように、この動物園は岡山藩主池田詮政の孫池田隆政と昭和天皇の第四皇女池田厚子夫妻により1953年2月に株式会社池田産業として設立され、その後池田産業動植物園を経て1960年に現在の池田動物園となった。一般的な公立動物園では自治体による補助金が収入の半分近くを占めているところもあるが、池田動物園は私立であるゆえ補助金は貰えない。結果的に入園料は大人1080円、中・小学生648円となっていて、上野動物園の大人600円、小学生無料や、旭山動物園の大人820円、中学生以下無料に比べると極めて高い。動物園側としては公営化の要望を出しているが、岡山市としては動物園の将来像を示してもらわないと議論ができないという立場で、現時点での市営化には難色を示しているという。

 赤字経営が続いているため、老朽化した飼育施設を檻越しから分厚いガラス越しによる展示に切り替えるなどの改修も進まず、また、大型動物が死亡しても補充できず、空のままになっているという。

 直近の改善提言としては、
  • 新たな園の顔となる動物の導入
  • 企業・団体による貸し切りイベント
  • 動物サポーター制度導入
  • オリジナルグッズの開発
などが示されているということだが、率直に言ってこの程度の対策で劇的な黒字回復がのぞめるとは思えない。番組の終わりのところでは、 といった前向きの話題も紹介されていた。




 池田動物園の経営難問題は、これまでにもNHKや民放で何度か取り上げられており、私自身も2017年7月19日の日記で意見を述べたことがあった。2017年時点では、「3年連続赤字、負債は2億5000万円」となっていたが、上記の通り、今回は「累積赤字は約2億6000万円」と増えていたことからみても、いっこうに経営改善は進んでいないように見えた。

 動物園好きの私ではあるが、2017年7月19日の日記にも書いたように、この動物園は比較的近隣にあるにもかかわらず、30年ほど前に子どもたちを連れて数回来園しただけで、以後はすっかりご無沙汰している。妻の実家のある北九州に里帰りした時には毎回到津の森公園を訪れていることと比べると対照的であり、率直に言って魅力に乏しいと言わざるを得ない。

 ではどうすれば、入園者を増やすことができるか。2017年7月19日では、
コストのかかるキリン、チンパンジー、猛獣類まで飼う必要はない。子どもたちの人気がありそうなカピバラやプレーリードッグ、ミーアキャットなど、あるいは愛玩動物や、ヤギやポニーでもいい。また、とにかく、伸び伸びとした飼育環境が求められる。
と書いたところであるが、子どもたちばかりでなく、高齢者が喜ぶような癒やし系動物を増やし、介護施設からの団体客を呼び込めば、経営改善とまでは行かなくても、動物園としての社会的役割を果たせることになると思う。

 動物園の中には絶滅危惧種の保護・繁殖を使命としているところもあるが、地方都市の動物園としては、あくまで、人気のある癒やし系動物主体、人間との触れあいを主体とせざるをえない。また、名前だけはよく知られていても、檻の隅で一日中寝ているような動物では魅力があるとは言えない。それぞれの動物がもともと持ち合わせている行動リパートリーを発揮できるような行動展示があれば、1つの動物舎の前で長時間楽しむことができる(←一日中寝ている動物だったら、檻の前を通り過ぎるだけに終わってしまう。)

 そのほか、害獣扱いされているイノシシ、アライグマ、ヌートリア、シカなども、行動展示を工夫すれば人気動物になるはずである。そう言えば到津の森公園では、レッサーパンダとアライグマがすぐ近くで飼育されているが、子どもたちの人気はどちらも同じように見える。であるなら、経営難の池田動物園では、レッサーパンダの代わりに飼育コストの安いアライグマを飼ってもよいはず。

 もう1つ、以前、ブラタモリで旭山動物園(#119)を取り上げていたことがあったが、旭山動物園の行動展示は、地形をそのまま生かすという逆転の発想から生まれたということだった。池田動物園も京山の山麓にあることから、高低差を生かしたいろいろな展示が可能であろうとは思う。少なくとも、「自然の地形」、「高低差」といった特徴を生かした具体的なアイデアが含まれていなければ、改善提案とは言えまい。