じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 昨日の日記で「ちびまる子ちゃん」の話題を取り上げたが、マンガ自体は「りぼん」掲載のため読んだ機会が無く、もっぱらアニメのほうを楽しんだ。
 いっぽう、学生時代は研究室などに読み捨てのマンガ週刊誌が多数あり、けっこう読んでいた。写真は、私が秘蔵している3作品。
  • 西岸良平「レモンティーのみた夢」
  • 山上たつひこ「がきデカ」(最終回)
  • 松本零士「おいどん地球を掴む」


2018年8月28日(火)



【小さな話題】東京都英語村と英語上達に必要な発想

 8月28日のモーサテで

●すでに5万人が予約「東京都英語村」とは

という話題を取り上げていた。「英語村(TOKYO GLOBAL GATEWAY)」は、東京都が2年後のオリンピックも視野に日本人の英語力を強化しようと、総工費10億円のうち4億5000万円を補助して作られた施設で9月にオープン。施設には英語のみが通じる模擬レストランやホテルフロントなどが設置されているほか、英語で投資や茶道、テレビ番組作りなども学ぶことができるという。主に都内の小中高校生向けの学校単位での利用が想定されており、料金は半日で1人2400円から。今年度はすでに5万人の予約が入っているという。

 音声認識技術が向上しインターネットが普及している現在、わざわざお金を払って特定施設まで足を運ぶのは面倒という気もするが、対面型で発話能力を磨くこと自体は大きな効果をもたらすと期待される。

 もっとも、単に「型」をたたき込むだけでは英語力は向上しない。もっと根本的に、英語と日本語の発想の違いを理解する必要がある。このニュースでは「日本は英語力テストの結果がアジアの30カ国中27位」という情報も付け加えられていたが、日本人が英語が下手なのは頭が悪いからでなく、また単に英語と接する機会が少ないからでもない。日本語では、物事の捉え方が英語とは根本的に異なっており、その違いを理解せずにまるごと英文和訳や和文英訳的に置き換えようとするから妙な英語になってしまうのである。

 この件に関しては、金谷武洋先生の著作が大いに役に立つ(このWeb日記でも何度か言及させていただいたことがあるが、いずれ改めて連載形式で要約・感想を述べさせていただこうと思っている。こちらなど、批判記事もいくつか出ているようだが。)

 私自身は言語学者ではないので、学問として何が正しいのか間違っているのかといった議論については立ち入ることはできない。しかし、これは心理学の理論でもそうだが、そもそも絶対的に正しいとか間違っているといった理論は存在しない。何かのニーズに対して、どの理論が最も有効か、よりシンプルか、より発展性があるかといった観点から相対評価されるべきである。今回の話題に関して言えば、要するに、英語教育(あるいは外国人に対する日本語教育)にとって、どういう文法理論が有用なのか、どうすれば、より短期間でより正確な外国語習得を可能にするのかといった点から評価されなければならない。そういう観点から言えば、金谷氏の、
  • 英語が上達する秘訣は発声法と発想法である。
  • 英語の発想は誰かが何をした、という行為文中心の「する言語」、日本語はそうではなく、何かがどういう状態でそこにあるという存在文中心の「ある言語」である。
  • 日本語の基本文は動詞文・形容詞文・名詞文の3つである。どの場合も述語だけで文であり、大部分がもともとは「ある」を含む存在文だった。英語の基本文は全て動詞文で5種類ある。そのうち3つが他動詞文で、他に対する積極的行為が全面に出る。主語が選ばれない限り、動詞の形が決まらないから、主語と述語がどの文にも要る。主語は多くの場合、行為者である。他動詞文では目的語が不可欠である。「する言語」英語は日本語と対照的だ。
といった視点(金谷(2003)『日本語文法の謎を解く 「ある」日本語と「する」英語』から抜粋)は、日本人が英語を学ぶ上できわめて有用な視点を提供しているように思う。