じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 12月7日の朝はよく晴れ、西の空に月齢18.5の月が輝いていた。時計台前の黒正巌先生像とのコラボ。


2017年12月07日(木)


【思ったこと】
171207(木)加齢に伴い向上・維持する能力を発掘する(3)高齢者の記憶力(1)

 12月4日の続き。

 2番目の話題提供では、高齢者の記憶力の話題が取り上げられた。まず一般的に言えることは、加齢につれて記憶力が衰えるという点であり、買物忘れ、知り合いの名前忘れ、日時や曜日忘れなどが起こりやすくなっている。また横断的研究によれば、ワーキングメモリ、短期記憶、長期記憶、処理速度の成績は、20歳代から下降の一途をたどる。とはいえ、ある種の記憶力はあまり衰えず、実際、高齢になっても驚異的な記憶力を発揮している人がいるという。

 そう言えば、少し前のNHKの「偉人たちの健康診断「幕府崩壊、第2の人生の過ごし方 徳川慶喜と勝海舟」」という番組で、勝海舟の驚異的な記憶力や、雑談をしながら書をしたためるといった並行作業の効果の話題を取り上げていた。もっとも、晩年の勝海舟の記憶はかなりあやふやであったという説もあるようだ。

 話題提供のほうで取り上げられたのは、60歳(2006年当時)で円周率10万桁の記憶を達成した原口證さんであった。もうお一人、1987年に4万桁を達成した友寄英哲さんの話題も取り上げられた。友寄さんの達成も54歳の時であり、他の円周率記憶者に比べるとかなりの高年齢と言える。

 こうした記憶は、日本語の特性を活かした語呂合わせと、イメージ化、さらに、それらをつなげる物語化によるという。実際、私自身が覚えている円周率も、

●妻子、異国に婿さん怖く、泣く身に、身は死むに、虫散々闇に泣く...

というように語呂合わせしている。

 ということもあって、原口さんや友寄さんは、人並み外れた記憶力の持ち主というよりも、ある種の記憶術の熟達者であり、誰でもその記憶術をマスターすれば、かなりの記憶を保持することができると言うことができる。

 ちなみに記憶術を活用した記憶の場合は、呈示方法や再生方法によって、得意不得意の差が出てくる。例えば、原口さんの場合、数字を聴覚呈示した場合に再生できる個数は7個前後であり、一般人と殆ど変わらないという(←いわゆるマジカルセブン)また、数字を10行10列のようなマトリックスで呈示した場合の再生については、映像真記憶者(サヴァン症候群の人たちの中にみられるような、写真を写したような記憶)と異なり、記憶術活用者では再生困難となるような方向があり、かつ、再生時間にも違いが出てくるということであった。

 次回に続く。