じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



09月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る


 いつも、キーフォルダーの束と一緒に印鑑ケースを持ち歩いているが、摩耗でボロボロとなり中身が飛び出してしまう恐れが出てきたので、100円ショップでミニミニサイズの新しいネットケースを購入した。定年退職以降は不要となるので、これが人生最後の取り替えということになる。

 キーフォルダーと一緒に印鑑ケースを持ち歩く理由は、いつでもどこでも押印できるようにしておくため。じっさい、授業終了時などいろいろな場所で学生から押印を求められることがある。また私の場合、昼食から戻ったあとに事務的な手続をすることが多いため、研究室まで印鑑を取りに行かずに押印を済ませるという利便性がある。 そもそも、三文判には何の証拠的価値も無いように思えるのだが、いまだに多くの書類では、手書きサイン不可となっていて、判子を押し忘れると呼び出されたりする。

2017年9月5日(火)


【思ったこと】
170905(火)ボーム『行動主義を理解する』(70)言語行動と言葉(7)

 昨日に続いて、

ボーム(著)森山哲美(訳)(2016).『行動主義を理解する―行動・文化・進化―』 二瓶社.

の話題。

 翻訳書188頁からは「よく見られる誤解」というタイトルのもとに、言語行動と他のオペラント行動の類似点、相違点について、本書の見解が示されている。概要は、
  1. 言葉に関連した行動の生成的(generative)特徴
  2. 話すことは、それ自体に言及できるという特徴
  3. 他の行動と違って、将来の出来事に言及できるという特徴
となっていた。

 まず、言語の生成的特徴とは、これまで語ったことのないような発話が生成されるという点である。もっとも、他のオペラント行動でも、再現性のない新しい行動が発せられることはある。言語行動の構造的規則性についても、他の行動、例えばレバー押しの手順にも見られるとしている。このあたりは、関係フレーム理論の考え方とはかなり異なっている。【昨年5月に関連記事あり。】

 2.については、行動分析学では「メタ発言」として扱われている。語りそのものが弁別刺激となりその制御を受ける言語行動である。言語自己報告も、自分自身の行動が弁別刺激となって生じる言語行動であり、このことは、ライトが弁別刺激となってレバーを押す行動と同じであるとしている。

 3.については、
  • 将来の出来事について言及しているかのような方法で私が語ったとしても、私の心の中やその他体の中のどこかで何かが生じていなければならないということはない。
  • 金曜日の約束について月曜日に語ったとしても、心の中に幻のイメージや意味を想定する必要はない。約束を結んだり、約束を守ったりするというのは、長い強化履歴からくるオペラント行動である。
などとしている。

 私的出来事の扱いもそうだが、本書の立場は、心理主義に陥らず、また行動主義のレベルにおいても新しい概念はできるだけ増やさないという点で徹底しているように見える。但し1.については、子どもが言葉を覚え使いこなす際の飛躍的なスピードをうまく説明できるのかどうか、また3.については、将来の不安や恐怖を強化履歴だけで説明できるのか(強化履歴上は全く無関係であるはずの対象にも不安をいだくのはなぜか)といった問題が残るように思う。

次回に続く。