じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 岡山では9月1日以降、最低気温が20℃を下回る日が多くなってきた。(こちらの記録参照。)

 備前富士の朝焼けも秋の気配。(9月3日朝撮影)

2017年9月4日(月)


【思ったこと】
170904(月)ボーム『行動主義を理解する』(69)言語行動と言葉(6)

 昨日に続いて、

ボーム(著)森山哲美(訳)(2016).『行動主義を理解する―行動・文化・進化―』 二瓶社.

の話題。

 翻訳書187頁からは「言語行動の刺激性制御」の話題が取り上げられていた。

 まずは、「水」という語が、状況によって異なる機能を有する例が挙げられていた。ここで重要な点は、言語活動が生起する可能性と状況との関係は、刺激性制御の関係であって誘発の関係ではないこと、つまりあくまでオペラント反応としての言語行動の起こりやすさを変えるだけであるということである。

 188頁からは文脈の役割が強調されている。
他のオペラント活動のように、言語活動をそれらの結果だけで定義することはできない。普通、文脈も明らかにする必要がある。
 昨日の日記で、塩をとってもらう際の言語行動が表現によって不快感をもたらすと述べたが、これもまた文脈の影響と考えられる。

 なお、英語第3版のグローサリーには「context」という用語は掲載されていない。掲載されているのは「contextualism」のみであり、
Contextualism The view that scientific theories and experiments are influenced by cultural context and must be evaluated in the light of cultural context in which they occur.
となっていて、contextそのものについての説明は無かった。

 では、弁別刺激と文脈とはどう区別されるのか? 念のため「文脈 弁別刺激」で検索してみると、真邉先生の解説サイトがヒットした。それによれば、
3項随伴性とは、「弁別刺激」 − 「反応」 − 「反応結果」の3つの項からなる連鎖のことである。弁別刺激とは、個体を取り巻く外的環境の中で、特定の反応を行うときの手がかりとなりうる刺激のことである。...【略】...
 この3項随伴性は、「先行条件(Antecedent events)」−「行動(Behaviour)」−「結果(Consequences)」とも表され、英語の頭文字をとって、A-B-Cと表現されることもある。この3項随伴性にもとづいた分析をABC分析ともよぶ。
 ただし、言語などにおいては、同じ単語でも文脈によって意味が変化することがあるので、弁別刺激の前にさらに、文脈刺激あるいは条件性弁別刺激を加えた、4項随伴性によって分析を行う場合がある。
 また、『科学事典』の刺激性制御の項目では、
特定の刺激には特定の反応を示すが、類似する刺激には同じ反応を示さないとき刺激を弁別しているといえる。しかし、日常生活においては同じ刺激でも別の反応を示すこともある。これは、時間や場所あるいは文脈といった別の刺激が弁別刺激として働いている。
というように区別されていた。

 佐藤方哉先生の論文でしばしば強調されているように、弁別刺激を定義する際には、Sで強化され、SΔで強化されないことが必要となる。文脈の場合は、その弁別刺激自体が機能したり機能しなかったりする条件であるとも言えるが、分析がより進んだ段階では、複合的な弁別刺激としても記述できるようになる。例えば、あるレストランに立ち寄ろうとしたとする。まずは、レストランの店内に照明があれば営業中、真っ暗な時は閉店であったとすると、店内の照明は、その店に入る際の弁別刺激として機能する。しかし、店内に照明があっても、営業時間前の準備中であったり、定休日に模様替えをしている場合もある。この場合、店内の照明という弁別刺激は、時間帯や曜日という文脈に依存すると表現することもできるが、「店内の照明」、「曜日」、「時間帯」という複合刺激が弁別刺激になっているというように弁別刺激を再定義することもできる。

次回に続く。