じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 岡山では7月に入ってから梅雨らしい天気が続いており7月7日までの7日間のうちの5日で0.5ミリ以上の降水量を記録している。写真は文法経グラウンドに出現している巨大な水たまりで、勝手に「岡大湖」と呼んでいる。


2017年7月7日(金)


【思ったこと】
170707(金)ボーム『行動主義を理解する』(47)目的と強化(9)

 7月06日に続いて、

ボーム(著)森山哲美(訳)(2016).『行動主義を理解する―行動・文化・進化―』 二瓶社.

の話題。

 翻訳書127頁からは、「原因としての目的」の一環として「結果による選択」という話題が取り上げられている。前節までですでに論じられているように、内的な目的があるような振る舞いは、実は、過去に体験された、このような状況での、このような活動の結果が、いまここで行われている行動と、これから先に再び起こりうる可能性を決めているのである。
[T]he past consequences of those activities in those situations determine that those activities will be likely to occur again in those situations (or situation categories).
【英語第3版90頁】
 なくしたものを探すという行動は、「特定のモノを見つける」という内的な目的に基づいて遂行されているように見えるが、実際は、過去に、いろいろなモノをなくしたときに、一連の特定のパターンで捜索し首尾よる見つかるという結果によって強化されているのであって、そうした捜索行動の強化履歴が、新たに別のモノをなくした時に捜索行動を起こりやすくしているということになる。
 こうした考え方は経験上納得できるところもある。なくしてしまったモノを探すという経験の乏しい人は、代替物を買ったり、他者に捜索をお願いするという行動をとる。これまたその人の強化歴が、そういう行動を起こりやすくしていると言える。また、室内でなくしてしまったモノを「探す」行動であっても、過去に、タンスの隙間や絨毯の下から捜し物を見つけた強化履歴を持つ人はそういう場所を優先的に探すであろう。スマホの置き場所を忘れた人は、しばしば、別の電話機からそのスマホの電話番号宛てに電話をかけて、呼び出し音でスマホを見つけるという行動をとるが、これまた、強化履歴のたまものである。でもっていずれの場合も、強化歴によってその人の将来の行動パターンを予測できるのであれば、それに加えて「内的な目的」を想定する必要は全くない。

 この小節の最後のところでは、山に登る人と山の写真を撮る人の違いという例も挙げられていた。この場合も、それぞれ、特定の目的で山に行くことは間違いないが、それぞれの人の強化履歴が分かれば、その人が山に行ってどのような一連の行動をするのかは予測できる。

 次回に続く。