じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 7月4日の日中、台風3号が九州→四国→紀伊半島を通過したが、岡山市の合計の雨量は9ミリ、最大瞬間風速は8.6メールであり、梅雨時のごく普通の雨降りと変わらなかった。もっとも、その後、7月5日になってから梅雨前線南下による雨が降り続き、深夜0時から午前8時までの合計降水量は、19ミリに達しており、台風通過時の雨量を上回っている。
 写真は、6月15日の日記で取り上げた、傘さし運転を止めようという啓発ポスターに協賛しているロングポンチョの販売。ちなみにこのポスターは、学生支援課、校友会、生協が連携して行っている傘さし運転と無灯火運転を止めようという安全キャンペーンのもとで作成されたものらしい。先日の津島地区安全衛生委員会で尋ねたところ、安全衛生部ではポスターの存在を知らなかったとのこと。


2017年7月4日(火)


【思ったこと】
170704(火)ボーム『行動主義を理解する』(44)目的と強化(6)

 6月28日に続いて、

ボーム(著)森山哲美(訳)(2016).『行動主義を理解する―行動・文化・進化―』 二瓶社.

の話題。

 本書の122頁以降では、「目的」の3つの意味として、「機能」、「原因」、「感情」が挙げられている。

 このうち、まず「機能としての目的」という意味は、機能的定義に連動しているようである。例えば、文鎮は紙を押さえる道具として定義される。行動の機能的定義としては、「(ラットが)レバーを押し下げる」(←「前脚を使って下向きに体重をかける」ということではなく、レバーを押し下げたかどうかで反応の有無をとらえる)、「家に帰る」(←ただ歩行するということではなく、家に向かって歩くことで定義される)などが上げられていた。重要な点は、それらの行動は、過去の経験と連動しているという点である。「本を探す」という行動の場合も、探すという行動のパターンは、過去に類似の活動が強化されることによって生じる。じっさい、パソコンを使ったことの無い人は、検索行動が強化された経歴がないので、検索してくださいと言われても適切な行動を生起させることができない。一方、かつて図書館カードで検索をしたことのある人は、タブレット画面にカード型の画像が呈示されて、指で画面に触れることでカードをめくるのと同じ操作ができるようなアプリに接すれば、タブレット操作に未熟であっても検索に成功する可能性が高い。

 ここでいう「機能としての目的」は、必ずしも、一定方向への指向性を前提とはしていないようである。例えば、「街中をぶらぶら歩く」という行動は、いっけん、何の目的も持たず、機能的に定義できないように見える。しかし、過去に、どこかの街をぶらぶら歩いて美味しいモノを見つけたり、街並みの美しさに接したりした人は、ぶらぶら歩くという行動自体が強化されている。よって、旅行先で、初めてその街を訪れた時にも、ぶらぶら歩くという行動を生起させやすい。

 2番目は「原因としての目的」であるが、これに関しては「目的的行動」、「目的的機械」、「結果による選択」、「創造性」という小見出しのもとに、かなり詳しく論じられている。

 まずは、
...将来の事象はまだ起こっていないのだから、その事象が私の行動を引き起こすことはできない。将来の事象を問題にすると、実際に起こった事象だけが結果をもたらすことができる、という科学の基本的なルールが破られることになる。私の行動を引き起こす原因は、過去か現在のいずれかになければならない。/... a future event, not having happened yet, cannot cause my behavior. That would violate a basic rule of science: only events that actually have happened can produce results. The variables on which my behavior depends must be in either the past or the present.
という点。そして、「○○するつもりだ」と言う場合、将来の事象の心的表象を仮定する必要はないと述べられている。心的表象を仮定することは心理主義に陥るからである。

 ここからは私の考えになるが、人間の場合、将来の事象を言語的にタクトすることはできる。「きょうは雨が降るでしょう」というタクトがあれば、それに基づいて、出かける時に傘を持参する。「明日は富士山に登る予定だ」と発言することもできるし、それに基づいて登山準備の行動が生じる。要するに、言語反応がどのようにして発せられるのか(類似反応の般化、派生的反応...)、その言語反応が将来の行動にどのように影響を及ぼすのかについてはしっかり検討していく必要があるように思う。

 次回に続く。