じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



06月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る


 朝、文学部周辺で、アナグマが落ち葉の中の餌を探しているところを目撃した。6月6日に続いてこれで3回目となる。

2017年6月17日(土)


【思ったこと】
170617(土)ボーム『行動主義を理解する』(33)進化と強化(6)

 6月16日に続いて、

ボーム(著)森山哲美(訳)(2016).『行動主義を理解する―行動・文化・進化―』 二瓶社.

の話題。

 本書96頁以降では、強化や弱化の適応度を高める3つの生物学的要因について解説されている。

 まずは、剥奪化(deprivation、遮断化)と飽和化(satiation)であり、行動分析学の入門書では「確立操作(EO)」もしくは「動機づけ操作(MO)」などと呼ばれている。

 第2は、レスポンデント条件づけにおける準備性(preparedness)である。特定の刺激が条件刺激になりやすい例として、甘味が強化子になりやすいこと、蛇への恐怖が条件づけされやすいこと、他者からの承認や非難に敏感になりやすいことなどが挙げられている。ちなみに、私自身は、味覚嫌悪条件づけの修論研究を行ったが、味覚は、消化器系の不快症状(US)との対提示により条件刺激になりやすく、わずか1回の経験で条件づけができたり、長時間遅延後に不快症状が起こってもなお条件づけが可能であることなどが知られている。

 ボームはさらに、強化子(好子)や弱化子(嫌子)を無条件性(生得性)と条件性(習得性)に二分するのではなく、条件性のレベルが低レベルから高レベルまで連続性をなしているという見方を示唆している。そのレベルは自然選択による進化の歴史によって決まるとされている。

 第3は、あるタイプのオペラント条件づけの方法に対する準備性である。例としては、「発話」と「読み書き」の違い、車の運転と微積分学の違いなどが挙げられている。「発話」は幼少時に特別の教育を受けなくても学習されるが、「読み書き」は訓練が必要である。

次回に続く。