じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 少し前から、北福利施設(マスカットユニオン)入り口に「あなたはまだ、“傘差し運転”をやめないんですか?」というポスターが貼られている。文言も子どもの表情も、目を引く内容となっており、梅雨時の交通安全に大きく寄与すると思われる。ポスターの作成者は不明だが、プロではなく岡大関係者のお子さんがモデルになっている可能性がある。また背景は、農学部農場のように見える。


2017年6月14日(水)


【思ったこと】
170614(水)ボーム『行動主義を理解する』(30)進化と強化(3)

 6月13日に続いて、

ボーム(著)森山哲美(訳)(2016).『行動主義を理解する―行動・文化・進化―』 二瓶社.

の話題。

 昨日も述べたとおり、レスポンデント行動を、進化の中で形成された行動のセットとして捉える視点は確かに重要であろう。あくまで私の考えであるが、巨視的行動主義の立場であるならば、「同時に誘導されるレスポンデント行動」ばかりでなく、中長期的に継起していくようなレスポンデント行動に対しても、巨視的なラベルづけができるかもしれない。例えば、四季の変化に連動した動物の摂食、求愛・繁殖、冬ごもりなどに関する一連の行動である。

 さて、本書91頁のほうでは、徹底的行動主義の理解を進める上で、次の2点が重要であるとされていた。【改変あり。英文は第3版】
  • 適応度にとって重要な事象、例えば食べ物、配偶者、捕食者といった事象が、単純な反射と定型化運動パターンという行動的反応を確実に生起できるように自然選択はしたということ。/...it can ensure that events important to fitness (phylogenetically important events), such as food, a mate, or a predator, reliably induce behavioral reactions, both simple reflexes and fixed action patterns.
  • 自然選択によって種はレスポンデント条件づけが確実にできるようになったということである。/... it can ensure the susceptibility of a species to respondent conditioning.

 なお、この節の終わりのあたりで指摘されているように、適応上重要であったということと、現代社会で重要と考えられていることは必ずしも同一ではない。何百万年もの適応の歴史は、人間社会におけるほんの数世紀の間の劇的な変化には、系統発生的に対応できていない。であればこそ、現代社会では、急激な変化のもとでも人間が適応可能であるような仕組みを作る必要があると言える。また、人間以外の諸生物の生息環境を守ることも同時に求められる。

次回に続く。