じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 大学構内各所で八重桜が見頃となっている。写真上は時計台前(文法経2号館東)、写真下は理学部南西側。
 時計台前の広場では本年度中に新しい建物が新設される見込みなので、この場所の八重桜はどこかに移植される見込み。理学部南西側の八重桜は、平成21年3月29日に理学部化学科の卒業生が卒後五十周年記念に植樹したもので「八重桜 松月」という品種名が記されている。背景はケヤキの新緑。

2017年4月25日(火)



【思ったこと】170425(火)心理パラドックス(4)文明は永遠に続かない

 昨日の続き。三浦俊彦先生の『心理パラドックス 錯覚から論理を学ぶ101問』(二見書房)の中に、「文明はなぜ永遠に続かないか」というのがあった(問題番号033)。

 もし文明が永遠に続くとすると、任意の時点で生まれた人間にとっては、過去も無限に近い長さまで続いているはずである。ところが、現代の人間が振り返ることのできる過去の長さはせいぜい137億年であり、有限の歴史しか存在していない。無限の過去を観測できない確率は極めて小さいはずで、これは事実と矛盾している。となると「文明は永遠に続く」という仮定が正しい確率も極めてゼロに近いというような論理である。

 上記の論理は、「ある起点から無限に伸びる直線上に任意の点を設定した時、起点からその点までの距離が有限の長さとして観測できる可能性は殆どゼロに等しい」と言い換えることもできる。と言っても、そういう点が存在しないわけではない。現代人は、有限の過去を観測できるという奇跡的な存在であると言えないわけでもない。

 もっとも、天文学の進歩により、地球や太陽系に寿命があることは分かっており、文明がそれを超えて存続できる可能性は極めて小さいと言わざるを得ない。

 以上述べたパラドックスに関連するが、

どのように科学技術が進歩しても、過去の世界に戻れるタイムマシンは作ることはできない。

という主張も成り立つ可能性が高い。もし、未来のいつかの時点でそのようなタイムマシンが実現していたとしたら、現在の世界にもタイムトラベラーが現れるはずである。しかし現実には、そのようなタイムトラベラーがやってきた事実は一度も観測されていない。ということは、
  1. 人類は、そのようなタイムマシンを作ることができないうちに滅亡した。
  2. そのようなタイムマシンは作られたが、タイムトラベラーはその時代の人々とは接触しないように常に姿を隠していた。
  3. そのようなタイムマシンは作られたが、人類誕生から現在までの時間には余り興味がなく、これまでのところ、やってくるタイムトラベラーは1人もいなかった。
のいずれかの可能性が考えられる。上記の2.はSF小説や映画でしばしば設定されるが、100%隠れることができるとは考えにくい。また、もし文明が永遠に続くとすると、無限の未来世界から無限に近い人たちがタイムトラベルによって現代にやってくるはずであり、2.や3.の可能性はきわめて低いことになる。

 タイムトラベルのパラドックスは他にも考えられる。もし、未来への旅行が可能となり、未来のある時点のほうが現在より暮らしやすい環境であると分かったら、タイムマシンが開発された時点ですべての人類は未来に移住してしまうだろうというもの。そうなると、未来のある時代は人類がゼロになる。結果的に、これは人類滅亡と同じ状態となる。