じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 文学部の建物と旧・京山タワー(現在は太陽光発電による植物工場)に反射する太陽。真夏の強い日射しのもと、太陽がもう1つ輝いているように見えるほどの明るさ。

2016年08月07日(日)



【思ったこと】
160807(日)トールネケ『関係フレーム理論(RFT)をまなぶ』(87)アナロジー、メタファー、そして自己の体験(23)「般化オペラント」についての復習(6)般化オペラントとしての派生的関係反応

 昨日に続いて、

Hayes, S. C., Barnes-Holmes, D., & Roche, B. (Eds.). (2001). Relational Frame Theory: A Post-Skinnerian account of human language and cognition. New York: Plenum Press

の23頁あたりに基づく「般化オペラント」の復習。

 これまでのところで、「過去と異なる新奇な反応系列」「generalized attending」「般化模倣(generalized imitation)」を取り上げた。このうち般化模倣については、さらに慎重な検討が必要と思われる。というのは、少なくとも成人が、先生のマネをして外国語の発音を練習したり、ダンスのお稽古をするといった場合は、ルール支配行動が大きく関与していると思われるからである。「先生の言うとおりにマネをしてください」と言われて直ちにそれに従うのはルール支配行動であって、般化模倣とは言いがたい。般化模倣という事実は、ルール支配行動や言語行動の助けなしに生じるオペラントとして扱うべきであろうと思う。もっとも、その前提で議論を進めると、言語行動自体における般化オペラントをどう扱うかという問題が生じてしまう。

 さて、関係フレーム理論においてもっとも重要な般化オペラントと言えば「関係フレーム」であろう。これについては6月29日の日記で武藤(2011)から以下の部分を引用した。
般化模倣における「般化」とは,示範されるモデルそれ自体の物理的な類似性による般化を指し示す用語ではない。この「般化」は「模倣する」というフレームがヒトに内在するかのように,今までに模倣したことがない新奇なモデルに対しても,模倣反応が生起するという状態を指し示すために使用されている。さらに,そのような模倣は,いくつかの特定の模倣反応に対する強化率を変動させると,それと連動して他の強化されない個々の模倣反応も変動する,つまりフレームそれ自体が「一回り大きい反応」(higher-order/overarching response) として消長しているかのような状態なのである。また,このような般化オペラント,つまりフレームを確立する必要条件としては「複数の範例による訓練」(multiple-exemplar training)の実施が挙げられている。つまり,そのような般化オペラントも随伴性によって確立・維持されるものであるということを意味している。

 なお派生的関係反応は般化オペラントであると主張する実験研究としては、

Healy, O., Bames-Holmes, D., and Smeets, P. M., 2000, Derived relational responding as generalized operant behavior.Journal of the Experimental Analysis of Behavior. 74, 207-227.

があり、こちらから無料で閲覧することができる。

 次回に続く。