じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 日曜日は午後から降雨の予報があったため、夕食後のウォーキングは中止し、代わりに朝9時台と12時台に、半田山植物園近辺を散歩した。写真上は、津山方面に向かう「みまさかノスタルジー号」。写真下は、昼頃、津山から岡山に戻ってきた同一列車。

 同じ車両であるが、写真上は前方を撮影しているため上部の白いライトが点灯しており、写真下は、岡山に戻る後ろ姿を撮影しているため、赤い尾灯が点灯している。

 なお、ウィキペディアに記されている通り、津山線では津山方面が「上り」、岡山方面が「下り」となっている。
正式な起点は岡山駅だが、列車運行上は津山駅から岡山駅へ向かう列車が下り、逆方向が上りとなっている。これは、岡山駅で接続する山陽新幹線・山陽本線・宇野線・吉備線、津山駅で接続する姫新線に方向をあわせたためである。なお、津山線の創業企業体である中国鉄道が津山を中心に考えた「上り」「下り」の表記を、国有化の時にそのまま継承したという説がある。


 津山線の車窓風景はYouTubeで楽しむことができる。

2016年06月12日(日)


【思ったこと】
160612(日)トールネケ『関係フレーム理論(RFT)をまなぶ』(45)派生的関係反応(17)派生的刺激反応と刺激機能の変容(6)

 昨日までのところで、派生的関係に基づいて刺激機能が変換する現象(「刺激機能の変換」)について、その証拠を示す諸研究を紹介してきた。原書74頁(翻訳書102〜103頁)はこれらを踏まえて次のようにまとめられている。
This brings us to the answer to the second question posed at the beginning of this chapter, regarding how verbal behavior interacts with human behavior as a whole. The effect that derived relational responding has on human behavior as a whole is a result of the fact that when derived stimulus relations are established, stimulus functions are altered. RFT refers to this as transformation of stimulus functions. In ordinary language, this means that something that has had a certain meaning acquires a new one. For example, events that had been neutral take on the function of triggering anxiety, an event that once functioned as a discriminative stimulus for drawing closer now becomes discriminative for avoidance, or a previously neutral event becomes reinforcing or punishing, and all of this can occur in the absence of direct contingencies for such new learning.
このことは,本章の冒頭で提示された2つ目の質問,どのようにして言語行動が人間の行動全体と相互作用するのか,に対する答えを導く。派生的関係反応が人間行動全体に対して及ぼす効果は,派生的刺激関係が確立されたときに刺激機能が変容されるという事実の結果である。RFTでは,このことを刺激機能の変換と呼ぶ。一般的な言葉で説明すると,これは,それまである意味を持っていた事柄が,新しい意味を獲得することである。たとえば,中立的だった出来事が不安を誘発する機能を有したり,かつては近づくための弁別刺激として機能していた出来事が今や回避を弁別するものとなったり,あるいは,以前は中立的だった出来事が強化的または弱化的になったり,といったことである。そして,これらのすべてが,そのような新しい学習が起こるための直接的随伴性が存在しない状態で,起こり得るのである。 【太字部分はアンダーラインに改変】
上記は、従来の条件づけ原理(レスポンデント条件づけ、オペラント条件づけ)以外のプロセスによっても、刺激機能の変換が起こりうることを明示している。もともと条件づけは「人や動物に対して、一定の操作により特定の反射や反応を引き起こすよう学習させることである。」と定義されており、派生的刺激関係がもたらす刺激機能の変換も、この意味では条件づけ、すなわち、レスポンデント条件づけとオペラント条件づけに続く「第三のタイプの条件づけ」と呼べないこともない。もっともそのような変換が生じるプロセスは、レスポンデント条件づけやオペラント条件づけとはかなり異なっており、しかも、これまでのところ、人間に限って生じる変容であると考えられている。条件づけの概念を拡張したほうがよいのか、それとも、条件づけの原理はレスポンデント条件づけとオペラント条件づけに限定して体系化しておき、それらに影響を与える新たな変容のプロセスとして別の枠組みで論じたほうがよいのか、議論が分かれるところではないかと思う。

 いずれにせよ、これまでの条件づけの原理では、ある中性刺激が条件刺激となったり、習得性好子(あるいは習得性嫌子)になったり、弁別刺激になったりすることは十分に説明でき、かつ影響を与えるプロセス(あるいはコントロールする手法)を明らかにすることができた。派生的刺激関係がもたらす刺激機能の変換は、これとは全く別のプロセスで、ある刺激に対して不安が生じたり、逆に、その不安反応を、古典的な消去操作以外の方法でも減じることができる可能性を示している点で、理論的にも、臨床場面への応用という点でもまことに興味深い。但し、本文にも記されているように、「...it is not enough to know that this is an ability human beings learn and that it has certain consequences. We need to know how contextual factors influence this behavior.
人間が学習を通じて身につける能力だということを知って,これが特定の結果を持つと知るだけでは,十分とは言えない。私たちは,どのようにして文脈的な要因がこの行動に影響を与えるのかを知る必要がある。
」 という点に留意しなければならない。従来の条件づけ原理で説明困難であるような不安症状の発現を何でもかんでも派生的刺激関係でこじつけてしまったのでは、何の解決にもつながらない。【もちろん、過去の履歴をたどることには限界があり、現在の症状は現在の文脈の中で解決していくことのほうが生産的である。過去に何が起こったのかをいちいち調べ上げなくても、特定刺激がいまどのように機能しているのか、さえ確認できれば解決は可能であろう。】

次回に続く。