じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 岡大・東西通りのハナミズキが見頃となっている。昨年4月に「岡大・東西通りのハナミズキ観賞ガイド」を作成したところであったが、その後大規模環境整備工事により、一般教育棟北側の景色が一変している。


2014年4月20日(日)

【思ったこと】
140420(日)長谷川版「行動分析学入門」第2回(5)行動、刺激を暫定的にどう定義するか(4)刺激の暫定的定義

 行動の原因を考えるにあたって、行動分析学では後述するように「刺激」という概念が重要になっています。もっとも、この節の冒頭で述べたように、これらの定義はあくまで暫定的です。刺激の定義について論じることもまた、行動分析学の内容そのものとなります。行動分析学入門の授業が完結した時点で、これらは本格的に定義されたとお考えください。

 まず、「刺激」の一般的な定義ですが、辞典では
  • 生体に作用してなんらかの現象や反応を起こさせること【大辞泉】
  • 人間・生物のからだに、外から働きかけて 何らかの変化を起こさせること(力)。【新明解第七版】
  • 生物に作用して特定の反応をひきおこす要因を,一般に刺激という。ふつう,外的条件の変化がそれに対応した感覚器でとらえられて刺激となるが,気温の変化のように全身的に作用する場合もある。【世界大百科事典 第2版、コトバンク
などと定義されています。いっぽう、行動分析学では以下の3タイプが重要であると思われます。但し、文中に出てくる専門用語はこれから先に解説しますので、現時点では特に覚えていただく必要は全くありません。
  1. (オペラント)行動の直後に出現したり消失したりすることによって、その行動の、のちの出現頻度を増やしたり減らしたりする働きを持つ刺激。好子(コウシ、正の強化刺激、正の強化子)や嫌子(ケンシ、負の強化刺激、負の強化子)。例えば、食べ物、お菓子、温度、性的刺激など。
  2. (オペラント)行動の手がかりとして利用される刺激。弁別刺激。例えば、交通信号など。
  3. (レスポンデント)行動において、行動を誘発する刺激。無条件刺激や条件刺激。例えば、唾液分泌を誘発する梅干しの味や写真など。
 行動分析学の専門用語としての刺激は、「生活体に反応を起こさせる」ばかりでなく、生活体が手がかりとして利用するような刺激、例えば、青信号と赤信号のような刺激(=弁別刺激)をも含みます。【私たちは青信号の時に横断歩道を渡りますが、別段、青信号に引き寄せられて勝手に足が動き出すわけではありません。このことについては、弁別学習のところで再度解説します。】




 さて、行動を実験的に分析するという場合、刺激の定義上重要なポイントが2つあります。

 1つは、刺激は、それを提示する側から操作的に定義されるという点です。例えば、「10ワットの青色ランプを5秒間点灯した」というのは、提示者(実験的行動分析であれば実験者)の操作としての定義です。提示された側は、もしかしたら目をつぶっているかもしれませんが、実験手続上は「提示した」と記述されます。これにより、実験の再現性が保たれるというメリットはあります。

 もう1つのポイントは、今述べた1番目と関連しますが、提示者が勝手にカテゴライズして刺激を提示しても、提示された側は必ずしも提示者側と同一のカテゴリーの刺激としては受け止めていないという可能性です。

 例えば、ネズミに「10ワットの青色ランプを5秒間点灯した」という提示操作を行っても、ネズミは色の区別ができないので【←遺伝子組み換えマウスは別】、「青色光」という刺激を提示したことにはなりません。

 また、例えば、サカナに三角形と円形の図形刺激を区別させたという実験を行った場合、実験者が左のような図形刺激を提示したつもりであっても、サカナは、それらの底辺部分、つまり右のような部分だけしか見ていないかもしれません。それでも2図形は区別できますが、手がかりとなっているのは、三角形か円かという図形全体ではなくて、底辺部分の横幅、あるいは、下向きに丸みがあるかないかという特徴の違いだけということになります。
もしそうであったとすると、左下の図のように、全体としては左側が円、右側が三角形に近い形に見える図形であっても、そのサカナは、左側を三角形、右側を円として区別するに違いありません。

 なお以上の議論は、「手続的定義」と「制御変数的定義」の違いとして後に解説する予定です。

 不定期ながら次回に続く。