じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 10月20日(日)は前日深夜から当日19時台まで、ほぼ毎時間0.5〜3.0ミリの雨が降ったが、20時すぎからは月齢15.5の丸い月が顔を出すようになった。写真は、10月21日(月)早朝の月(月齢15.8)と本部棟。


2013年10月20日(日)

【思ったこと】
131020(日)高齢者における選択のパラドックス〜「選択の技術」は高齢者にも通用するか?(35)選択を階層的に捉える(5)

 昨日の続き。

 最近、一部の高齢者施設で「チョイス」を大切にしましょうという動きが広まっていると聞いている。「どちらにしますか?」、「どれがいいですか?」と尋ねることは、それ自体がコミュニケーション機会として機能しているし、選んだ理由を尋ねれば、その時の体調が間接的に分かるかもしれない。例えば、単に「お食事どうぞ」ではなく「お食事は、和食と洋食のどちらにしましょうか?」と尋ねれば、利用者さんの好みについての話題が生まれるし、さらに、もし「どっちでもエエ」という答えが返ってきた時には、あまり食欲が無いという可能性も考えられる。仮に形式的であっても、「チョイス」の機会を増やすことは、コミュニケーション活性化に有効であると考えてよいだろう。

 しかし、ここで、選択を階層的に捉えるという視点を加えれば、形式的なものではなくてQOL向上に貢献するような選択機会を構築することができる。

 そのカギは、単に「AかBか?」というチョイスの提示ではなく、Aを選んだ場合、Bを選んだ場合それぞれにおいて、その後に可能となる行動機会をしっかり支援できるように、あらかじめ、サポートプログラムを用意しておくことにある。例えば、カラオケで楽しみますか、オセロゲームがいいですか?という選択機会を有効にするためには、カラオケを選んだ場合にその人がどのくらいの時間歌えるのか、聴衆は誰なのか、といった配慮が必要であるし、オセロゲームを選んだ場合も、単に、机の上に道具を出すということではなく、適切な相手探し、もしくはパソコンでのレベル設定に配慮する必要がある。けっきょくのところ、選択の結果がどう評価されるのかは、選択自体の善し悪しではなくて、選択した後の行動がどこまで適切に強化されているのかにかかっていると言えよう。

 こう考えてくると、選択機会の頻度や、1回の選択機会における選択肢の数をやみくもに増やすことは全く無意味であることが分かる。むしろ、少数精鋭、良質でサポート体制の整った選択肢に限定したほうが喜ばれるであろう。

 次回に続く。