じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 農学部のコスモス畑。今年は背が低いうちに花が咲く早生種を育てているようだ。写真上は南側、写真下は東側から、いずれも金網越しに撮影。


2013年10月10日(木)

【思ったこと】
131010(木)高齢者における選択のパラドックス〜「選択の技術」は高齢者にも通用するか?(30)選択とうつ(2)

 昨日の続き。

 シュワルツの本の第十章202頁には、うつに含まれる症状として以下の特徴が挙げられていた。
  1. 日常生活行動において、関心や喜びが失われる。
  2. 活力が失われ、疲れやすくなる
  3. 自分を価値の無い存在だと見なし、自責の念にとらわれる
  4. 決断できなくなる
  5. 集中したり、はっきりと考えられなくなる
  6. 死について思い巡らし、時には自殺について考えが及ぶ
  7. 不眠症
  8. 性的関心が失われる
  9. 食べ物への関心が失われる
  10. 悲嘆。無力感や絶望感
  11. 自尊心の低下
 シュワルツが以上に挙げた項目は現役世代における「うつ」を想定したものであるが、高齢者の場合は、上記の傾向のいくつかは、好むと好まざるとに関わらず、加齢と共に必然的に備わってくるものと言える。よって、医療の対象として治療を目ざすべきものではなく、ある程度受け入れ、ある程度は工夫によって改善していくべきものであると考えられる。

 じっさい、上記の1.や2.などいくつかの項目は、当人が能動的に発する行動が適切な形で強化されるように工夫すればかなりの改善が可能。また、不眠症については、スリープマネジメントの手法があり、施設入居者でもかなりの有効性が確認されているようだ。

 この連載のメインテーマである「選択」に関して言えば、適切な選択機会を保障していくことは、決断力を磨き、無力感を無くし、自尊心低下をくい止める効果があるように思われる。


 次回に続く。