じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 今年は例年になくクマゼミがたくさん鳴いているように思う。このほか、7月24日朝には、ツクツクホウシの初鳴きを確認した。
 写真は、岡大西門近くの石柱(遊歩道にバイクなどが進入しないように道の真ん中に立てられた柱)。近くには樹木もたくさんあるのだが、ここから羽化する蝉も少なくない。


2013年07月23日(火)

【思ったこと】
130723(火)選択のパラドックスと選択の技法(4)満足者(satisficer)と追求者(maximizer)の区別(4)追求者(maximizer)の行動特徴(2)

 昨日の日記に述べたように、「マキシマイゼーション尺度」(Journal of Personality and Social Psychology, 83, 1178-1197.)で採用されている質問項目は、必ずしも、追求者(maximizer)の特徴的な行動を表すわけではない。要するに、その質問にYES(反転項目があればNO)と答えた割合が、全体の高得点者で高比率、低得点者で低比率になっただけのことである。もちろん、論理的に言えば、回答者がウソをつかず、かつ正確に自己評定できるような質問内容であれば、質問にYESと答えたことと、そこに述べられている行動特徴が実際に見られるということは高い相関を示すであろう。しかし、追求者(maximizer)行動特徴の中には、回答者自身が気づかない(言語報告できない)ような癖もあるかもしれない。また、「とてもよく当てはまる」と答えた項目であっても、日常生活上での頻度はきわめて稀であるかもしれない。

 では、追求者(maximizer)は、実際にはどういう行動をするのだろうか。シュワルツの本の第4章では、追求者は、
  • 買い物のさいに、最高のものを選ぼうとして執拗に品定めや比較を繰り返す。
  • いい出来事があってもあまり楽しめない。悪い出来事を上手に乗り切れない。
  • くよくよ考え、思いわずらう。
  • 後悔尺度でも高得点を示す。
といった特徴を示すとされている。但し、これらは、マキシマイゼーション尺度への回答傾向(自己評定)、あるいは、シュワルツの体験や経験的知識に基づく記述が少なく無いようにも見受けられる。

 なお、これまで述べた限りでは、追求者(maximizer)は完璧主義者と同一であるようにも思えてしまうが、これに関してシュワルツは、
  • 完璧主義者は、高い水準の理想を掲げて近づこうとするが、それが達成できるとは思っていない。
  • 追求者は、その理想が達成できると思っている。
という形で区別している。但し、これは、シュワルツ自身の私見の域を出ない。

 もう1つ、追求者(maximizer)というと何から何まで最大化を求めるように思われてしまうが、実際には、関心領域に限定しており、特定の人が丸ごと追求者である可能性は低いというようなことも第4章で述べられていた。例えば、服装に関しては追求者だが食べ物の美味しさにはこだわらない(満足者)であるとか、ペットの犬の血統にはこだわるが(追求者)、庭先の草花はありふれた品種でもいい(満足者)といった具合である。もっとも、追求者傾向が本当に領域別(domain specific)であるとするなら、マキシマイゼーション尺度で一般的な傾向を測ることはできないようにも思える。

次回に続く。