じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 岡大一般教育棟構内(津島東キャンパス)の通称ヴィーナス像が重機で破壊され無残な姿を晒したことは6月28日の日記に記した通りであるが、その後、ヴィーナス池のほうも完全に埋め立てられ、現在は、土砂の山となっている。写真はいずれもその日の早朝5時半頃の撮影。


2013年07月4日(木)

【思ったこと】
130704(木)岡大敷地内喫煙ゼロをめざす安全衛生委員活動その後(7)学生から寄せられた質問に答える(6)「モラル向上」に代わる方策(2)公共空間にゴミ箱が少ない理由

 昨日の日記で、ゴミのポイ捨て対策の1つとして、ゴミ箱を増やして、適切なゴミ廃棄行動を強化する対策の可能性に言及した。じっさい、コンビニなどで購入したおにぎり、サンドウィッチなどの包装紙や、ジュースなどの紙パック、さらに、お菓子の箱やペットボトルなどが路上や空き地にポイ捨てされる一因は、ゴミ箱がちゃんと設置されていないことにもある。仮に、公園や道路に、10メートルおきにゴミ箱が設置されていれば、わざわざそれを無視して路上にポイ捨てするような人はまず居るまい。

 しかし、最近では、そうしたゴミ箱は極端に減らされている。仮に東京都心のコンビニで昼食用におにぎりと紙パックジュースを買ったとする。そして最寄りの公園で昼食をとった場合、公園にゴミ箱は設置されておらず、代わりに「ゴミはお持ち帰りください」という看板が目に入る。その後、駅に着いても、改札口周辺やホームにはゴミ箱は一切設置されていない。けっきょく、最寄りのコンビニの入口付近にあるゴミ箱に捨てるか、新幹線車内、あるいは空港内のゴミ箱まで運ぶほかはない。これだけ行動コストがかかると、その分、ポイ捨てするという行動は、それらの手間を省けるという嫌子消失によって強化されやすくなる。

 では、なぜ、これほどまでに、公共空間のゴミ箱は削減されてしまったのだろうか。

 第一の理由はおそらく、テロ対策であろう。じっさい、ゴミ箱に時限爆弾を仕掛けるという事件は、世界各地で起こっている。

 第二に、テロ以外のさまざまな犯罪にも悪用される恐れがある。例えば、通り魔がナイフを捨てたり、バラバラ死体の一部を廃棄することもありうる。もちろんそれらはいずれは発覚するが、犯行当時の初動捜査に手間をかけるかもしれない。

 第三に、大都市では、カラスの被害も無視できない。蓋のついていないかご形のゴミ箱に弁当の残りなどを捨てたら、たちまちカラスがやってきて、路上にまき散らす。これは結局、カラスに餌を供給することになり、繁殖を助けることにもつながる。

 このほか、ゴミ箱をたくさん設置すればするほど人手がかかりことになり、当該自治体の人件費を圧迫することも、理由の1つになっているものと思われる。

 いっぽう、岡山大学の敷地内でも、屋外のゴミ箱は殆ど見当たらない。大学の場合、ゴミ箱がテロや犯罪に利用される恐れはまずありえないが、カラスの被害は顕著である。岡大のカラスは特に悪質であり、ゴミ箱はもとより、コンビニで買ったサンドウィッチなどを自転車かごに載せたまま、ATMからお金を引き出そうとしたら、あっというまに、袋ごとカラスに奪われてしまうことさえある(←私自身はそういう被害に遭ったことはないが、近くの自転車かごに入ったレジ袋をカラスが丸ごと奪っているのを目撃したことはある)。

 このほか、大学構内でも、人件費削減もゴミ箱を撤去した大きな理由になっているものと思われる。

 ということで、ゴミ箱を増やすことでポイ捨てを無くすという対策は、理論上は可能であるが、現実には困難。但し、大学構内の場合は、各建物内には、可燃物、不燃物、ペットボトル、...といったように分別を促すゴミ箱がちゃんと設置されており、大学関係者であれば、屋外にポイ捨てしたほうが便利だというような強化因はあまり見当たらない。おそらく、建物への出入りが制限される夜間にベンチに座って飲食するような人が捨て場所に困ってポイ捨てしているのではないかと推測される。

 余談だが、高速道路のサービスエリアのゴミ箱ではしばしば、「家庭ゴミ持ち込み厳禁」という掲示を目にすることがある。連休などを利用して数日〜一週間程度の帰省や旅行をする人たちが、出発の日の朝までに出た生ゴミの処分に困って、SAに持ち込むものと推測される。しかし、そういう人たちにも言い分はあるはずだ。生ゴミの回収日は週に2回程度しかない中、自宅に生ゴミを放置しておけば腐敗し、ゴキブリや蝿の発生源になってしまう。また戸外に放置すれば、カラスや野良猫、ネズミなどの害に遭うかもしれない。前にも書いたことがあるが、高速道路の各ICの入口付近に生ゴミ回収場所を設置し、その自治体指定のゴミ袋に入れて持参した生ゴミに限って回収するようにすれば(←指定ゴミ袋はその場で販売してもよい)、SAへの家庭ゴミ投棄は無くなるはずだ。自治体の手間としても、各地域で回収するはずだった生ゴミの一部がICの所定の場所に集積するだけのことであるから、かえって手間が減り、また、ゴキブリや蝿の発生を抑えるという点で地域の衛生にもプラスになるはずだ。

 もう1つ、これも余談だが、自治体の生ゴミ回収とは別に、大学構内、特に農学部の販売所近くに、野菜ゴミ専用の無料回収所を設けたらよいと思っている。野菜ゴミはちゃんと処理すれば立派な肥料になるのだが、現実には、他の可燃ゴミと一緒に自治体によって回収され、焼却処分されている。焼却のためのエネルギー資源もムダになっている。地域貢献という点でもぜひ実現してもらいたい。

 次回に続く。