じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 岡大・一般教育棟A棟前の迷惑駐輪。先日まで、出入口付近への駐輪は皆無であったが、周辺の環境整備工事により駐輪場が遠方となったため、写真のような状況となった。なお、これは6月27日(木)の10時頃に撮影したものである。その時に事務方に改善を申し入れておいたので、おそらく、次の木曜日(7月4日)には、守衛さんに交通整理をお願いしているのではないかと予想される。


2013年07月2日(火)

【思ったこと】
130702(火)岡大敷地内喫煙ゼロをめざす安全衛生委員活動その後(5)学生から寄せられた質問に答える(4)「モラル向上運動」では問題は解決しない/橋下・大阪市長の禁煙対策に最大限のエールを!

 昨日の続き。

 敷地内での迷惑喫煙(指定喫煙所での喫煙を除く)や吸い殻ポイ捨てを無くすためには「モラルの向上」が必要だと説く人がおられる。学生からも、そういうふうに思っている(思っていた)という声が寄せられることがある。しかし、私は、そのような綺麗事をならべても問題は解決しないと考えている。例えば、上掲の写真は、岡大・一般教育棟A棟前の迷惑駐輪の状況を撮影したものであるが(6月27日木曜日10時頃)、ついこの間まで、この場所にこんなにたくさんの自転車が駐められることはなかった。原因は、周辺の大規模環境整備工事で、建物前にあった自転車置き場が撤去され、数十メートル離れた野球場北側の新駐輪場まで自転車を運ばなければならなくなったためである。木曜2限は、教養教育の主題科目関連授業が一斉に行われる日であり各学部の学生がこの出入口を利用するが、2限開始が近づくと、野球場北側まで自転車を置いてくる時間が無くなってしまう。また、すでに何台もの自転車が玄関前に置かれていると、そこに自分の1台が増えたところで、景色は殆ど変わらない(=自分の行動は、環境を変化させるほどの結果をもたらさない)。よって、誰も注意する人がいなければ、利便性という結果によって強化され、ついつい迷惑駐輪をしてしまうのである。

 同じような迷惑駐輪は、かつては文法経講義棟周辺(2007年5月24日の日記参照)や、一般教育棟C棟とD棟のあいだの出入口付近でも顕著であったが、最近はいずれも整然と駐められるようになった。理由は簡単で、混雑時に守衛さんが常駐し、所定の場所に自転車を駐めるように誘導しているからである。

 要するに、一般教育棟A棟前で迷惑駐輪が顕著になったのは、その場所に来た学生が突然、記憶喪失にかかったかのようにモラルを喪失して迷惑行為にはしったというわけではない。所定の駐輪場まで駐めに行くという時間と労力がかかる一方(好子消失による弱化)、すぐ近くに駐めることによる利便性がある(好子出現)、という状況のもとで、その人の迷惑駐輪行動が強化されているからにすぎない。同様に、守衛さん常駐によって文法経講義棟周辺や一般教育棟C・D棟前で整然と駐輪されるようになったのは、ウルトラマン変身みたいに、その場所に来た学生のモラルが突然向上したからではない。その場所で迷惑駐輪をする行動は、守衛さんの叱責(嫌子出現)やパーキングロック(しばらく自転車に乗れなくなるという好子消失)で弱化され、そうした、嫌子出現や好子消失を回避しようという阻止の随伴性によって、整然とした駐輪行動が強化されているからにすぎない。

 ここで念のため言っておくが、だからといって、モラル向上、あるいは公衆道徳を身につけさせるための教育が無意味だということは決してない。そういう教育が行われたことによって、何パーセントかの人々は、周囲に迷惑がかからないように日々努力をしている。現に私なども、すぐれた人格者であるなどとは毛頭思っていないが、駐輪禁止と書かれた場所に自転車を駐めることは決して無い。また、この連載に関連するポイ捨てに関して言えば、コンビニで買ったペットボトル、ジュースパック、パンの袋やおにぎりのシールなどを道端にポイ捨てするなどということは全く考えられない犯罪行為である。

 世の中には私などよりもはるかに厳格に公衆道徳を大切にしている人が少なく無い。教育によってそういう人たちを増やしていけば、迷惑行為は確実に減るであろう。とはいえ、やはり現実には、
  1. 最初からしっかりとしたモラルを身につけている人たち
  2. モラル向上の教育や働きかけをすることで、モラルを大切にするようになった人たち
  3. いかなる教育や働きかけをしても、相変わらず、傍若無人に振る舞う人たち
という3つのタイプがあることは避けられない。モラル向上は2.のタイプには有効であるが、3.のタイプに対しては全く無力であると言わざるを得ない。

 この連載の話題に戻ると、上記1.のタイプの喫煙者は、そもそも、今回のような大学敷地内全面禁煙の方針があろうとなかろうと、最初から、公共の場では喫煙を控えているはずだ。大学敷地外の喫煙が許された場所にあっても、灰皿のある場所で喫煙するか、もしくはポケット灰皿などを持参して、周囲に人がいないことを確認してからタバコの火をつけるはずである。

 次の2のタイプの人たちに対しては、指定場所以外での喫煙は禁止であるという強い訴えかけ(=弁別行動の形成)をすれば十分で、禁煙場所でうっかり吸ってしまった人も、一度注意されれば直ちに止めるようになるはずである。

 問題は3のタイプである。これらの人たちの問題行動をやめさせるには、強力な嫌子提示による弱化以外には、つける薬が無い。そう言えば、大阪市では、橋下市長のもと、勤務中の喫煙行為は懲戒処分、「勤務中はタバコを携帯してもダメ」とか、「隠れたばこ」を取り締まる査察チームも結成といった、厳しい禁煙対策が行われているようである。一般論として、橋下市長の発言や行動には首をかしげたくなる部分も無いとはいえないが、この禁煙対策に限っては、私は両手を挙げて大賛成、最大限のエールを送りたいと思う。そもそも、勤務中にくわえタバコなどというのは言語道断であるし、勤務中にこっそりとどこかの場所に行って喫煙するというのは、その時間部分だけ仕事をさぼっているわけだから減給、降格対象となっても当然。そういう指示を出してもなお守れない人というのは上掲の3.のタイプであり、相当程度に強力な嫌子提示で問題行動を弱化しなければならない。また、勤務時間中にもかかわらず禁煙が我慢できないというのは明らかにニコチン依存の病気であるからして、早めに、治療を受けるようにサポートしていく必要がある。

 次回に続く。