じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 1月23日の昼頃、農学部農場のケヤキの大木の剪定が行われていた。2010年11月17日の日記にもあるように、ここのケヤキは紅葉の名所の1つにもなっている。剪定が行われたことにより、今年の秋の紅葉は若干樹形が変わって見えることだろう。



2013年01月24日(木)

【思ったこと】
130124(木)「純と愛」:「あかずのま」から立ち直らせる作戦

 1月21日から

NHK朝ドラ「純と愛

の話題が3回も続いてしまったが、あともう1つ、第15週の「あかずのま」について思ったことを記しておくことにしたい。

 番組のあらすじサイトに記されているように、この週は、
ある日純は、ニか月ほど部屋の外に出てこない「開かずの間」の客が首つり自殺しようとするのを見て食い止める。自らを世捨人と名乗る客の天野(佐藤二朗)は、純に励まされても生きる希望がないと再び部屋に閉じこもってしまう。純は天野に部屋から出て希望を持ってもらおうと、部屋の前で様々なことを試すがことごとく失敗する。天野の生き別れの娘から、小さい頃に本をいっぱい読んでくれたことが良い思い出だと聞いた純は、部屋の前であらゆる童話の本を不眠不休で読み聞かせる。サトや従業員たちも集まり歌い踊って天野を部屋の外に出そうとすると、皆の気持ちが通じて天野が外に出てくる。
というストーリーになっていた。この天野巌(あまの いわお)さんが自暴自棄で引きこもってしまった原因は、
努力して勝ち取った人生を、上司や親友、妻、信頼していた人々に裏切られ、事件をおこして服役し、出所後、仕事を探しましたが見つかりませんでした。すべてを無くしたあげく、酒におぼれ、近く結婚を予定している娘に拒絶されている。
ということにあるという設定になっていた。

 さて、この天野巌(あまの いわお)さんを部屋の外に誘い出すためにとった作戦は、
  1. 愛(いとし)が部屋の外で芸能人のモノマネをして誘い出す
  2. 部屋の外でカレーとサンマの匂いを漂わせる
  3. 「風が吹けば桶屋が儲かる」にちなんで、天野巌さんがこの世界で大切な存在であると訴える
  4. 部屋の外から、純が徹夜で童話を読み聞かせる。『きたかぜとたいよう』、『ねむり姫』、最後は『天岩戸』
  5. 部屋の外で、「里や」の関係者が沖縄の踊りを踊る。
というような内容であった。

 このうちの1.と2.は、動機づけの原理を応用したものであり、「外に出れば芸能人に会える」、「外に出れば美味しいカレーやサンマが食べられる」という形で、外に出るという行動の自発頻度を高めようとしたものであるが失敗に終わった。

 3.の「風が吹けば桶屋が儲かる」というのは、「自分は何の役にも立たないつまらない人間だ」という不合理な信念を論理的に打破するという一種の心理療法。(2001年1月8日の日記とその続編に関連記事あり。)もっとも、最近では「論理療法」とは呼ばず、異なる呼称を用いて、いくつかの学会、研究会に別れて研究・普及活動をしている模様である。

 でもって、この週は、純の読み聞かせに感動した天野巌が部屋から出てきて、銭湯で体をきれいにしてから胸をはって娘に会いに行く、めでたしめでたしという展開となっていたが、うーむ、娘に会いに行ってそれですべて解決するというわけではない。「事件をおこして服役し、出所後、仕事を探したが見つからず、酒におぼれ」という状態を解決するには、まずは、ちゃんと就職して安定した生活を確立する必要があり、それをサポートしてくれる人間関係も構築しなければならないがこれは至難の業である。といってもドラマの構成上はこれ以上、天野巌さんの出番は無かった。(←もしかすると、最終週あたりで、何かの縁で仕事がうまく見つかり、いまは娘さん夫婦と一緒に楽しく暮らしているというエピソードが語られることになるかも。)