1997年3月11日夕刻のHB彗星



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3月11日19時00分。リサーチパーク芳賀地区の空き地から。50mm、25秒。
この日は風が強く、夕空が澄み切っていた。「ファミコン少年になるのか、科学少年になるのか、それが問題だ」などと言って、ファミコンで遊んでいた息子を無理やり車に乗せ、15分ほど走って、空港近くの丘の上で待ちかまえた。夕日が沈んだあとの北東の空を目を凝らして眺めていたが、そもそも、どのくらいの高さに見えるのか見当がつかない。そのうち、シリウス、オリオン、北極星などが見え始めたが、いっこうにわからない。もう沈んでしまったのか、と諦めかけた頃に、北東方向の山のすれすれの位置に明るい星が見えてきた。以前に、小笠原沖の皆既日食を見に行った時に、船上から水平線ぎりぎりに初めてカノープスを見たが、その時の感動と似たものを感じた。
望遠鏡を覗くと、早朝に眺めた時よりずっとオレンジ色に染まって見えていた。すでに、月齢2の月明かりが西の空をかなり照らしており、このぶんでは28日頃までは、夕空での美しい尾は眺められそうにもない。また、今後は、大学のテラスからの観察を考えていたが、あの高さでは、半田山がじゃまをして、まだしばらく見られそうもないことがわかった。



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