じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 勝手にライトアップされるコブシとカイヅカイブキ。

 早朝散歩時に見かけたコブシの蕾(写真上)と、モミジの落ち葉をかぶったカイヅカイブキ(写真下)。どちらも、昼間にはなかなか気づかない。


2012年12月20日(木)

【思ったこと】
_c1220(木)“叱りゼロ”社会はなぜ実現できないのか?(8)罰的統制と互酬(3)

 昨日の日記では、私有制のもとで生じる格差や不労所得、さらに、国家間の経済格差をめぐる問題について述べた。もっとも、何度かお断りしているように、私は別段、私有制を悪いものだとは思っていない。

 その理由として、まず、私有を禁止しても、好子消失阻止の随伴性は必ずしも無くならないからである。かつての社会主義国家では私有制は相当程度に制限されたが、これはけっきょく、個人に代わって国家がモノを占有するようになっただけのことであり、人々は「○○という経済目標を達成するために日々奮闘しなければならない」という別の好子消失阻止の随伴性によって強化されることになった。また、不正や腐敗を摘発する自浄システムを持たなかったために、結果として官僚政治が横行することになった。また、自由競争が失われることで、製品の品質・機能向上努力を強化する随伴性が失われてしまった。

 私有を肯定するもう1つの大きな理由は、お金に貯蓄機能を持たせることは、より継続的で、努力の積み重ねにより達成できるような行動を強化することにつながるという点である。

 というようなことを考慮しつつ、実現可能なシステムとして考えられるのが、貨幣経済の二元化である。要するに、通常の法定通貨とは別に、特定のサービスに限って交換できるような別の通貨システムを造るというものである。その1つが、このWeb日記でも何度も取り上げてきた地域通貨であり、例えば、タイム・ダラー・システム(時間預託制度)などは介護・福祉面での有効性が期待できる。もっとも、現実の日本では、法定通貨に依拠した介護保険制度が定着してしまっているので、併用は困難と思われる。このほか、一時期に注目を浴びた各地の地域通貨システムが期待されたほどの効果をあげずに、「当初の目的を達成した」、「試行期間終了」などの理由でほとんど打ち切られてしまったことをみると、一人が複数のコミュニティに関与し、かつ、いろいろな出入りがある現代社会において、特定コミュニティ内だけで通用するような地域通貨を期待どおりに機能させることはなかなか困難ではないかと思われる。

次回に続く。